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モミジ、色づく。  作者: 白木 一
第一章 仮面少女と王子様。
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第六話

藍澤あいざわ、俺の彼女になれ」


「はあっ⁉ ぜんっぜん、わかってないじゃん! 私は独りになりたいの。悪目立ちしたくないの。恋人になんて、なれるわけないじゃん!」


「俺と付き合うことが悪目立ちで、髪を染めることが良い目立ち方なのか? その考え方は、俺とは違うな」


「考え方だけじゃない! そもそも、私とあんたは──」


「似てるさ。俺と、藍澤は」


 松原くんと私が似ている? 何の根拠があってそんなことが言えるの。私には自信も勇気もなくて、いつも逃げてばかりで、結局は自分のことが一番大切。でも、そんな自分が嫌いで、傷付くことが怖くて、現実から目を背け続けている。

 本当の私は、弱くて、仮面にすがらないと生きられない。ちっぽけな存在でしかない。松原くんみたいに、変わろうとする努力さえできない私のどこが、あなたに似ているというの?

 それに、似てる似てないの問題じゃない。松原くんと私では比較にならない。住んでる世界が違うのだから。比べる手間なんてかけなくたって、私が誰かに勝てる要素は万に一つもないのだから。

 いつまで経っても松原くんは帰ろうとしない。

 どうして? どうして私なんかに構おうとするの?


「藍澤は、蒼浦高校一の美人だ。俺が保証する」


「冗談はやめて!」


「冗談でそんなこと言えるかよっ!」


 私は、かわいくない。

 私は、かわいくなれない。

 私は、かわいくなってはいけない。



 ──記憶の蓋が少し開いた。



 風に揺れる茶髪、少女の微笑み、赤い水たまり、腕に残る手形、甲高い笑い声……。


『あーあ、汚れちゃったねぇ』



 私が、かわいいだなんて、許されない。


「もう……、私のことはっといてよ。この部屋から、この家から、出ていって」


 まさかここまで固いとはな。たぶん、そう言ったんだと思う。そして、視界から彼が消えた。

 次の瞬間、全身に熱を感じた。火傷しそうなほどに熱い。でも、少しだけ、じんわりとした温かさもあった。

 彼の体温が移ったのか、私の身体もしだいに熱を帯びていく。抱きしめられているのだと自覚したそのとき、パシャリと小さな音が鳴った。正気を取り戻した私は、ゼロ距離にいる彼を突き飛ばす。


「何、したの……?」


 息が途切れ途切れになって、言葉が続かない。運動なんてしていないのに、心臓がせわしなく鼓動する。今まで経験したことのない感覚に、戸惑いを隠せないでいた。

 松原くんは、スマートフォンをポケットに仕舞って、言った。


「俺が藍澤を変えてやる。だから、俺の彼女になれ」


 それは、提案とか告白というよりは、脅迫に近いセリフだった。

 私に、選択肢はなかった。

こんにちは、白木 一です。

今、ニヤニヤしながらこの後書きを作っております。

変態終末期ですね。


とりあえず、あらすじに書いた部分までは投稿できました。

言うなれば、序章、ですね。

予告としましては、次話からはデート編です。


まだまだまだまだ続きます。

これからも、白木 一をよろしくお願いいたします。

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