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モミジ、色づく。  作者: 白木 一
第五章 人魚姫の未来。
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人魚姫の宝石箱。

「なあ、いつになったら昼飯にするんだ?」


 亮介くんは不機嫌そうに机に腰かけていた。

 すっかり忘れていた。緊張やら興奮やらで昼食の存在が頭から抜け落ちていたらしい。


「亮介、何か買ってきてよ。その間に紅葉ちゃんをお着替えさせるから。紅葉ちゃん、食べたいものある?」


「――いらないです」


「もう、遠慮しなくていいってばー。何食べたい?」


 遠慮しているわけでも、お腹が空いていないわけでもない。その必要がないから。

 今日この日のために、コンテストの他にも準備していたことがあるから。


「お弁当、作ってきたのでいらないです――四人分ですけれど」


 蘭さんは口に手を当てて仰々しく驚いた。

 亮介くんはぽかんと口を開けて呟いた。


「模擬店あるのにわざわざ面倒なことしなくて――も゛っ!?」


 蘭さんの拳が飛んだ。

 亮介くんには悪いけれど、自業自得。



「亮介、おいしい? どう、おいしい? 紅葉ちゃん手作りのお弁当、おいしい?」


「はい、おいしいです。すごいうまいです。模擬店なんて必要ないです」


 こんなやり取りが既に十回も繰り返されている。

 暴走した蘭さんを止めるのが亮介くんの役目らしいけれど、力関係ではお姉さんである蘭さんの方が上で違いないのか。

 蘭さんに頭の上がらない亮介くんが、新鮮な感じがして、かわいい。

 それと、蘭さんの機嫌を損なうと後が怖いことも知った。



「「「ごちそうさまでした」」」


 一人分多めに作ってしまったけれど、蘭さんも亮介くんもおいしそうに食べてくれて、完食だった。空っぽのお弁当箱を見るだけで、作ってよかったと思う。


「じゃあ、俺、展示回ってくるわ。終わったら観客席で待ってるから」


 亮介くんは立ち上がって出口に向かう。

 その背中に蘭さんの声が投げられる。


「紅葉ちゃんの変身、見なくていいの?」


 彼は振り返って言った。


「あっちで楽しみにしとくからいい。あと、弁当の味付け、結構好みだった。おいしかったよ、紅葉」


 言葉の力はすごい。

 心のこもった言葉には、他の人の心をも動かす力を持っている。たとえそれが、悪意であったとしても。

 亮介くんのおいしかったの一言で、私の心も満たされる。喜んでくれたのだと、お腹を満たせてあげられたのだと知れて、嬉しい。

 また作ってあげたいと思う。

 食べてもらいたいと願う。



 次は、私が、心を込めた言葉を贈る番だ。

こんにちは、白木 一です。

最近まともな後書きをかけていないなと思いながらも、今日もまともに書けません。


次話がコンテスト編最終話です。

次章からテイストガラリと変わります。

そして、私の生活も変わります。

来週はヘルウィークといっても過言ではないでしょう。


次話は投稿できると思いますが、次章の投稿には時間をいただくことになるかもしれません……。

今月は全然更新できておりませんが、本当に申し訳ないです。


とりあえずエタらない宣言をしておきますな脳内お花畑、恋愛脳の痛い気100%の私の作品をどうぞよろしくお願いいたします。

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