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モミジ、色づく。  作者: 白木 一
第五章 人魚姫の未来。
37/41

魔女のお仕事。

「すごいよ! 完璧だった! 紅葉ちゃんは舞台度胸があるみたいだねっ。今までで一番のできだった!」


「――っ!?」



 十二時四十五分、ある空き教室にいた私は、知りあいのお姉さんに襲われていたのだった……。


「姉ちゃん……、そろそろ紅葉放してやれよ」


「えー? ひょっとしていてるの?」


「ちっ、違うわっ! 紅葉が苦しそうにしてるだろっ!」


「きゃっ、ごめんね……紅葉ちゃん。生きてる?」


 本当に死ぬかと思った……。

 ドアがノックされて、開けたら、蘭さんに押し倒された。一連の流れを終えるのにわずか三秒。そこから抱き締められることおよそ三十秒。

 蘭さんが離れても、まだ蘭さんに抱き締められているみたいだ。鼻の奥に残る蘭さんの匂い。甘酸っぱい柑橘系の香り。

 死んでも、いい。


「勝手に弟の彼女を殺すなよっ! てか、何で紅葉は幸せそうな顔してるんだよ!?」


「亮介くん、うるさい」


 ハグの余韻にひたっているの。邪魔しないで。


「何で俺が怒られたんだ……」


「残念ね、亮介。おねいちゃんの方が魅力があるってことよ。ねぇ、紅葉ちゃん? いっそ、おねいちゃんとお付き合いしちゃいましょ?」


 首に回される蘭さんの腕。再び匂いが強くなる。

 亮介くんと比べると柔らかくて、スベスベで、もちもちで。同じ女性だとは思えない。神様に愛されているのではないかと想像してしまうほど、次元が違う。

 幸せすぎて思考が停止してしまいそうだ……。

 蘭さんとお付き合い……恋人……いいかもしれない……。


「姉ちゃん、いい加減にしろっ! 紅葉は、俺の、彼女だ!!」


 教室が水をうったように静まりかえった。

 一拍遅れて、亮介くんの顔が赤くなる。私の身体も熱くなる。

 蘭さんの匂いが離れ、背中を押された。


「そうだよねー、紅葉ちゃんは亮介くんの彼女だもんねー。はい、紅葉ちゃん、未来の旦那様がお待ちですよー」


 だっ……。

 私は、まだ高校生で、けっ結婚なんて、考えてないっ。早いし、想像できないし、ましてや亮介くんが……私の……。


「おっ、おい、紅葉!? 目の焦点が合ってないぞ!? てか、姉ちゃん。いや、松之葉さん、出番だ!」


「はいっ――ん? 亮介、何してるの?」


「それはこっちのセリフだ。今日ここに来た理由、忘れてないだろうな?」


「あー、そうだったね。じゃあ、紅葉ちゃん。着替えましょうか」


 はっ! もう十三時だ。まだお昼ご飯も食べていない。

 それに――。


「あの、助っ人の方がまだいらっしゃっていないみたいなんですけれど、大丈夫ですか?」


 蘭さんも亮介くんもきょとんとしている。

 どういうことだろう。意味が通じていない? いや、蘭さんが電話で仰っていたことなのだから、伝わっていないはずがない。少なくとも蘭さんが知らないなんておかしい。

 もしかして、逆? 来られないという連絡が、私に伝わっていなかったのだろうか。

 それもありえない。ここ数週間前からメールチェックと着信履歴の確認は逐一行っている。一日に最低でも十二回は。だから、蘭さんと亮介くんからの連絡を見逃す確率はゼロ。

 なら、どうして二人は不思議そうにしているのだろう。

 そもそも、助っ人が来るという話自体が私の勘違い?

 まさか、そんなはずは……。


「ひょっとして、紅葉、聞いてないのか?」


 肩をつつかれたと思ったら、亮介くんが私を指差して、その指を蘭さんに向けた。


「今日一日、紅葉の助っ人をする松之葉蘭だ。そういうわけだから、よろしく。とりあえず飯にするか」


 蘭さんはにこにこしていた。

こんにちは、そして、お久しぶりです、白木 一です。

本日から投稿再開します、よろしくお願いいたします。


と、マジメな挨拶をしておりますが、本編は少々……。

恋愛妄想暴走列車な作者についてきていただきたいです……。

本当に、よろしくお願いいたします

_(._.)_

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