表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モミジ、色づく。  作者: 白木 一
第五章 人魚姫の未来。
35/41

氷のラグーン。

 観客の反応は想像通りだった。驚いて、固まって、興がさめる。

 あからさまな非難や暴言が出てこないだけまだましだとさえ思う。

 確か放送委員長である司会も、教職員代表として舞台上に招かれている学校長も含め、みな一様に引いていた。



『そ、それでは、マーメイドコンテスト午前の部。まずは自己紹介から参りましょう!』


 本来の仕事を思い出したらしい司会が、動揺をにじませながらもプログラムを進行させていく。それでも数多くの視線が私に向けられたままだった。


『名前とチャームポイント、コンテストへの意気込み。それと、彼氏がいらっしゃるのかどうかも訊いてみましょう! まずは、一番の川本さんからどうぞ!』


 マイクが司会から一番の人に移る。

 空気もようやくコンテストらしいそれに戻った。


川本かわもと流南るなでーす。チャームポイントはおめめがくりくりなところ? 優勝したら人気がもーっと出るみたいだから、ルナ、頑張るね! 私の彼氏は――、この会場にいるみんな、だよ?」


 野太い歓声が会場を揺らした。

 名字は知らなかったけれど、ルナという名前はよく耳にする。

 女子生徒にとってのアイドルが亮介くんであるように、ルナと呼ばれる少女は男子生徒のアイドルで、ファンクラブも発足しているらしい。

 亮介くんとは違って同性からの人気はほとんどないけれど、有名人ではある。

 あざといけれど、かわいい。そんなタイプ。



「二番の、井土いづち果子かこ。チャームポイントは……、特にない。水泳部の部員獲得に繋がるから出場すべきだと勧められたのだが、嘘だったようだな。だけれど、勝負事には負けたくないのでグランプリはとりたい。恋人は――いる。えっと、よろしくお願いします」


 今度は女子の声援がまさっていた。

 見覚えのない人だけれど、かっこいいなと思う。コンテストに参加したきっかけは抜きにして、自信に満ちあふれている姿がかっこいい。

 それに、私も言えるようになりたい。

 違う、ならないとダメだ。

 ただ立ち止まったままでは、背中を押す手も意味がない。



三加元みかもと美環みかんです! 友達がかわいいと褒めてくれて、なら出てみよっかなぁって、それでここにいます。友達からは肌が綺麗だってよく言われるかな。彼氏はぁ、まだいないけど、好きな人はいるよ。その人のためにもグランプリは絶対にとる!」


 観客の反応は意外にも良かった。

 友達が友達がって謙虚を装いながら、最後には抜け目なく味方を増やしていく。まるで、彼女の――楓のやり方そのもの。

 嫌いだ。

 ずるい楓が。

 そして、そんな楓を羨ましいと思っている自分が、大嫌いだ。



 ミカがマイクを片手に近付く。

 あのときの楓と重なり、指先が痺れだす。

 マイクが差し出される。



 その手は、左手だった。

 楓の影がミカから消えた。


「藍澤さんを好きになる人はいない。意味、わかるよね?」


 私にだけ聞こえる声で、ミカは言った。



 マイクを受け取り、私は一歩、前に出た。

こんにちは、白木 一です。


次話、みじかいです。

代わりにあとがき長々と書こうかなとか思っていたりいなかったりします。

活動報告ももっとちゃんと書かないとなとかも思っているのですが、なかなかに難しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ