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モミジ、色づく。  作者: 白木 一
第三章 シスターコンプレックス王子様。
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イモウト。

「好きな人ができたんだって」


 拍子抜けするほどあっさりと、蘭さんは答えを口にした。


「コンビニに来たお客さんに一目惚れしたあげく、気を引きたい一心で格好つけたことを言ってしまった、なんて恥じらってたわ。今の紅葉ちゃんと同じ、真っ赤な顔で。あら、心当たりでもあるのかしら。ねえ?」


 うふっ、とハートマーク付きの微笑みが添えられる。

 嫌だ! こんな色恋沙汰が主食のおばさんみたいな、どことなく私の母さんと似ている蘭さんを、私は見たくない!

 しかし、今ので変なスイッチが入ってしまったのか、蘭さんの様子がおかしくなったまま戻らなくなる。


「正直どう思ってるの? 亮介のこと。お似合いのカップルだとおねいさんは思うけど。

 一応付き合ってるみたいだけど、告白の言葉が脅し文句じゃあダメよね。亮介あの見た目で結構うぶだから、心配していたのよ?

 あれ? そんなことない?

 違う違う、紅葉ちゃんに馴れ馴れしいのは私のアドバイスがあったからよ。綺麗系で爽やかなイケメンが肉食系って、定番だけど萌えちゃうよね。

 大事な愛しい弟に、好きな人ができたのよ? 姉として応援しないわけがないじゃない」


 既にエンジンがかかってしまっているせいで、私には止められない。

 憧れよりも帰りたい気持ちが止まらなくなってきた。

 この空気から、状況から、解放されたい。いっそこれが夢だったらよかったのに。

 なおも蘭さんのマシンガントークは続き、銃口が私に向いた。


「紅葉ちゃんの肌、とっても綺麗ね。そこいらの子とは透明度がまるで違う。それに高校生とは思えないほど垢抜けていて、大人っぽい。私のマネージャーや社長さんに紹介したいくらい。

 芸能界に興味ない? 紅葉ちゃんならあっという間に売れる、絶対よ。将来仕事に困ったら相談に乗るわよ。まあ、早いに超したことはないけれど。考えといてね。

 それにしても、こんなにかわいい子に目をつけるなんて、亮介見る目あるわね。流石、私の弟。

 あーあ、紅葉ちゃんみたいな妹が欲しいなぁ。ねえ紅葉ちゃん、いっそのこと私のイモウトになっちゃいなよ。二年後の高校卒業と同時にさ。

どう? 亮介の経済力に不安があれば、私が養ってあげるのもありね」


 な、何を言い出すのだ!?

 蘭さんの妹になるということは、つまり……その、そういうことで…………。

 とにかく、私、まだ、十六歳なんですがっ!?

 将来の夢もこれからの進路も決まっていないのに、気が早すぎる!

 亮介くんとの関係も、始まりは渋々付き合っていて、デート以降気持ちが変わったと言っても、そんなに先を見通したものじゃない。

 亮介くんが好きで、彼の優しさが嬉しくて、一緒にいると楽しい。それだけで幸せになれる。

 亮介くんをもっと知りたいとは思うけれど、今が精一杯で、未来に目を向けたことはなかった。

 蘭さんの妹に、つまり、亮介くんの――。


「紅葉ちゃんが家族になったら、松原まつばら紅葉もみじかぁ。いい響きね」


 松原紅葉。悪くないかもしれない。淑やかな大和撫子のように感じられて、いい。

 はっ、私は何をしているんだ。好きな人の名字と自らの名前を合わせて喜ぶだなんて。頭がおかしくなったのかと言われても、否定できない。


藍澤あいざわ亮介りょうすけもいいわね」


 誰か、蘭さんを今すぐ止めて!

 私にはどうすることもできない。止めるどころか巻き込まれてしまいそうで、それに、もう影響を受け始めている。

 このままでは危険な扉を開けてしまう。

 後戻れなくなってしまう。



 だが、新世界への扉が開くことはなかった。

 彼の声が、私を現実へと引き戻した。


松之葉まつのはさん、出番ですよ」


「あ、はいっ! って、あら、お帰り。亮介」


 よく通る返事をした蘭さんの視線の先には、なぜかものすごく怒っている亮介くんが、立っていた。

 それはそうと、何? 今のやりとり。

こんにちは、お盆休み? 何それ?? な、白木 一です。

お盆休みも普通にお仕事ありましたよ?

一流企業にはあるみたいですけれど。


さて、久し振りの投稿ですが、早速暴走しております。

おねいさん、もとい、松原姉、私そっくり恋愛暴走トレインでした……。

私の場合はただキュンキュンしたいだけなのですが、蘭さんには一応そういうふうになった理由があります。

その辺りはおいおい、ということで。


脳内お花畑、恋愛脳の痛い気100%な私の書いた恋愛小説を、どうぞよろしくお願いいたします。

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