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モミジ、色づく。  作者: 白木 一
第二章 赤色の過去と紅色の未来。
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第九話 距離を縮める揺れる箱。

 駅に停車するごとに乗客は増えていく。私たちが乗り込んだときから座席は埋まっていたけれど、車内自体は空いていた。それが今は、身動きがとれないほどに混んでいる。

 そして……、なぜか私は……松原くんに、抱き締められていた。電車が揺れたり急停車したりすると、私の頭部が彼の胸に押さえつけられるのである。

 恥ずかしくて抵抗しようにも、狭いし、不意打ちだし、力が強いから、されるがままになってしまう。

 私より頭一つ高い松原くんに抱き締められるたびに、彼の心臓の音が脳内に反響する。

 片道四十五分の道のりが、永遠のように感じられた。



 都市近郊のショッピングモール、それが彼の目的地だった。

 ここに来たのは初めてだけれど、蒼浦高校の近くには系列店がある。わざわざ電車に乗ってまで来る必要がある場所とは到底思えない。

 それに……、電車での一件で体力もあまり残っていない。


「藍澤は欲しいものとかあるか?」


「別に……。それより、何でここまで来たの?」


「何でって、同じ学校のやつらと会ったら面倒じゃん」


 面倒? 私とデートしているところを見られるのが? デートに誘ったのも彼女になれと脅したのも松原くんでしょ。それこそ、自業自得というものだ。そんなに気になるのだったらデートなんてしなければいいのに。

 確かに、私だって学校で目立つようなことは避けたい。私を隠して毎日を過ごしているのもそのためだ。結局、信じられるのは私だけ。苦しんでいても哀しんでいても、誰も手を伸ばしてはくれないのだから。


「だってさ、俺、目立つから」


 真っ白で健康的な彼の歯が、きらりと光った。


「男連中に見つかったらからかわれるしさ、女子に見つかったらうるさいし。俺は慣れてっけど、藍澤にまで迷惑はかけたくないからな」


 私にも配慮した上での、ここなのか。考えてみれば、満員電車の中で私を抱き締めていたのも、バランスを崩さないように気遣っての行動だったのだろう――と思いたい。

 松原くんを、もう少し信じてあげるべきかもしれない。


「藍澤、はぐれるなよ」


 彼はそう言って、私の手を握った。



 やたらと私の身体に触れてくるのだけは、正直勘弁してほしい。

こんにちは、白木 一です。


突然ですが、私、満員電車にあまり縁がありません。私が縁を切っているのですが。

日常生活で電車を利用することは多々ありますが、満員電車は嫌いなのです。避けたいのです。

なぜなら、人肌こわい、スリこわい、降りられなくなったらこわい、人ごみで酔うからこわい。

なので、私は、満員電車を避けています。


行程通りに予定が進んでいないとこわくなってしまうほどのチキン、白木 一でした。

では、次話で逢いましょう。

これからもよろしくお願いいたします。

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