骸骨とフライドチキン6
---カーネリア邸---
「ここか…。でけぇ家だな」
「まぁ、ここら一帯を牛耳っている組織の一つですからねぇ」
クーペをカーネリア邸の近くの道路に駐車した俺たちは歩いて五分ほどの所にある大型トラックも通れそうな大きさの門の前に立っていた。当然カーネリアファミリーの拠点であるカーネリア邸の門だ。
「おい止まれ。貴様ら、何者だ」
門をくぐろうとしたところでやたらとガタイのいい、スキンヘッドに黒服サングラスというコテコテのマフィア構成員に止められた。旦那はともかく俺は一度、ここに来てるんだけどなぁ。
「俺は、アンタんとこのボスに依頼の報告に来たんだよ。殺しの依頼をしたとか聞かされてねぇのか?」
「知らないな。お引き取り願おう」
取りつく島もないな…、そう言って旦那は回れ右して帰ってしまった。
---車内---
文字通り、門前払いされてしまい一旦クーペの席に座っていた。先程とは違って旦那が運転席、俺が助手席である。
「それにしてもよぉ、こういった事は話が通してあるもんじゃねぇのかよ。どうなってんだネズミ」
旦那はハンドルの上に手を重ねて置いてその上に頭を乗っけている。俺じゃなくても不機嫌なことがわかるレベルでキレてる。非常にまずい。
「そもそもの話、殺しの件の依頼主はコール・カーネリアでいいのか?フィガロって奴が裏で絡んでるんだろ?」
「そのあたりも実はよくわかってないんですよねぇ。俺に依頼してきたのもコール・カーネリアの代理人でしたし」
今思うと、コール・カーネリアの代理人を名乗る男はフィガロ・サーターの差し金で、コール・カーネリア本人は今回の依頼の件には関わっていないのかもしれない。門前払いにされたのもコール・カーネリアが本当に何も知らなかったのだろう。
「もしかしたらフィガロって奴に一杯食わされたかもしれませんねぇ。最初から桐生を俺たちに殺させて、その後は知らぬ存ぜぬで依頼料も払うつもりもなかったのかもしれませんね」
ここらを牛耳っているマフィアのボス直々の依頼を断るやつはいないだろうと見越してコール・カーネリアの名前を出したのだろう。もし、俺らがそのことをコール・カーネリア本人に話してもおそらく身内しか信用しないというコール・カーネリアは身内であるフィガロ・サーターの方を信じるだろう。
「けっ、俺らはまんまと嵌められたってわけか。イラつくぜ」
旦那は苛立ちを隠そうともせずエンジンキーを捻る。ぎゅるるるる、と音を上げエンジンが始動する。フロアシフト式のシフトレバーをDに合わせサイドブレーキを解除すると結構なスピードで走り出した。
「ちょっと、どこ行くつもりですか!」
たまらず、声を上げる。まだシートベルトも巻いてないんですけど。
「金を寄こすつもりがねぇってんなら話が早ぇ。代金は奴の命で支払ってもらう。裏切りには報復を、だ。まずは装備を取りに帰る、トランクの中の物だけじゃ心許ないんでな」
「でもさっきの家には武器の類はなかったですよね?」
何もなさ過ぎて旦那が常に装備している拳銃を桐生たちのためにわざわざ置いていったくらいである。何か武器が隠してあるってこともないだろう。
「帰るってのは隠れ家じゃねぇ。俺の寝床だよ。マイホームだよ」
そうして、奇しくも俺は知りたがってた旦那の自宅にお邪魔することになったのだった。
この一週間忙しくて本文が短くなってしまった。次は頑張ります。