骸骨とフライドチキン3
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今回の件について話すにはまずカーネリアファミリーの成り立ちから話す必要があります。
父、コール・カーネリアは元々、とある都市のスラム街の孤児でした。親の顔すら知らず、身寄りのない子供たち十数人で身を寄せ合い暮らしていたそうです。
戸籍を持たない彼らは、金を稼ぐ手段もなく盗みで生計を立てていました。盗む物は食糧、衣類が中心だったそうです。一度、貴金属の類を盗んだことがあったそうですがそれが売れることはありませんでした。盗んだ相手が悪かったのです。
彼らが盗みを働いたのは都市一帯を牛耳る大地主。そこから盗み出した貴金属を、それも戸籍も信用もない子供たちから買い取ろうと考える人などいなかったのです。
彼らはスラム街に住み着くことすらできませんでした。大地主の怒りを買った彼らは大地主から逃げるようにその都市から逃げるしかなかった。
それから彼らは別の町に住み着きました。彼らはそこでも盗みをしました。今度は金品は取らずに自分たちが生活するための最低限の食糧、衣類だけを盗った。それでもいつかは目を付けられる。彼らはその度に拠点を移した。
彼らは少しずつ数を減らしていった。食糧を得られず餓死する者、劣悪な生活環境により病死する者、拠点を移す際に逃げ遅れ殺された者。いつしか彼らは半分以下にまで数を減らしてしまいました。
このままでは皆死ぬ。父は、コールは生きるために必死でした。コールは彼らを迫害していった大人たちを観察し自らの知識として吸収しました。そして次第に狡猾さを覚えていったのです。
彼はその狡猾さでのし上がりました。自分たちをカーネリアファミリーと名乗り街を牛耳るマフィアの一つとして…。
---桐生診療所---
「で?その話と今回の暗殺の件はなんの関係があるんだ?」
リーザの話に骸骨の旦那が割り込む。
「カーネリアファミリーはパパが孤児だった頃の子供たちと一緒に立ち上げたもの。幹部は全員当時の仲間たちだそうよ。孤児の時は汚い大人たちに利用されて死んだ仲間もいたそうよ。だからパパは身内しか信用しないの。私の結婚相手に幹部の息子を宛がうつもりだったらしいわ」
「なるほど。素性も知れない他人よりも信頼できる身内に娘を任せたいってことですかね。わからなくもないですが」
仲間しか信用しないコール・カーネリアにとって桐生正人という男は信用できないのだろう。
「それでもいきなり暗殺ってのはどうなんだ。相手はただの医者だぜ?」
「パパは仲間を信用しすぎなのよ!あの男、フィガロは私と結婚してカーネリアファミリーを自分のものにするつもりなんだわ!今回のことだってあの男が仕組んだのよ!」
フィガロ・サーター、カーネリアファミリー幹部ラル・サーターの息子だったはず。コール・カーネリアがリーザの結婚相手として宛がうつもりだったのも彼なのだろう。
「あの男はパパが身内しか信用しないことも、その理由も知っている。それを利用して自分の結婚の邪魔になる桐生を排除しようとしたのよ!桐生さんは私を手籠めにしてカーネリアファミリーを支配するつもりだとパパに密告したのよ!」
リーザが旦那の両肩をつかむ。
「ねぇ、死神さん。桐生さんとパパを助けて。お金ならいくらでも出すからフィガロを殺して!」
リーザの目には涙が浮かんでいた。
「…一つ、言っておくが俺は死神じゃねぇ。ただの骸骨だ。それと、アンタから金をとる気はない」
シャコン。そんな音を立てながら旦那の右腕の装甲から腕と同じ長さくらいの刃が飛び出してきた。
「えっ…?」
「金は、アンタの親父からたんまり貰うことにする」
そう言って桐生に向き直った骸骨の旦那は右腕の刃を振り下ろした。
全然、書くことが思いつかなくて短くなってしまった。
適当に書いたらリーザの口調がなんかおかしくなった気がする。