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鼠と骸骨  作者: 栗原 学
15/18

骸骨とフライドチキン15

---カーネリア邸裏庭---

「一体何の騒ぎだ!これは」

 骸骨の旦那がフィガロにとどめを刺そうとしたまさにその瞬間、裏門から入ってきた黒塗りのリムジンから出てきた男の声によってフィガロは命拾いした。

 その男はこの屋敷の主人、コール・カーネリア本人だった。

「見かけないと思っていたが外出中だったのか…。旦那、あの人がコール・カーネリアです」

「コールっていうとリーザの父親か。面倒くせぇタイミングで現れるもんだ」

こちらに気づいたコールがパワーローダーから引きずり出されて這いつくばっているフィガロと旦那の下に駆けていく。

「フィガロ!一体これは何だ!何故私の屋敷でパワーローダーと強化外骨格が暴れているんだ!説明しろ!」

 鬼の形相とは正にこのような顔を言うのだろう。コールは自分の屋敷内にパワーローダーが隠されていることすら知らなかったようだ。

「あ、いや、これは…その」

「それは私から説明させてもらいます」

 言い訳をしようとしているフィガロの言葉を遮って発言をしたのはリーザだった。その後ろには桐生もいた。

「リーザ。てめぇらいつの間に来たんだ。身を隠してろと言っといたはずだが?」

「そろそろパパが帰ってくる時間だと思ったのよ。信じてもらえないかもだけど、もう一度直接フィガロの事を話すべきだと思って。それでこっそり様子を見に来たらビックリだわ。正門が木端微塵なんだもの。玄関には車が突っ込んでるし。そしたら裏庭の方で大きな音がするじゃない?それでこっちに来たらちょうどいいタイミングでパパが帰ってきたってわけ」

 確かにちょうどいいタイミングである。パワーローダーは既に機能停止しているから危険はない。フィガロもまだ生きているから最悪本人の口から真実を吐かせてしまえばコール・カーネリアも信じざるを得ないだろう。

「リーザ。一体何が起きているんだ。その骸骨男は何者だ」

 ナチュラルに俺がスルーされている。まぁ骸骨の旦那の方が目立つし当然ではあるが。

「彼は私が雇った何でも屋さんです。ゴミの掃除を依頼したんですよ」

「ゴミ掃除ねぇ…」

 旦那がくつくつと笑う。確かにリーザがフィガロを見る目はゴミを見る目だ。

「パパ、そこにある軍用パワーローダーはフィガロが民間に払い下げられた物を秘密裡に購入した物です。フィガロはそれを誰も使わなくなった廃倉庫にこっそり隠していたのです。」

 後で聞いた話だがあのパワーローダーが隠してあったプレハブ小屋は元々倉庫として使われていたらしい。しかし、経年劣化により取り壊すことが決まっていたらしい。それをフィガロがこっそりと使用していたらしい。

「彼がここにパワーローダーを隠していたのは量産のためです。彼は購入したパワーローダーを分解し部品を複製し自分だけの軍隊をつくるつもりだったのです」

「軍隊だと?何のために…」

「あなたに取って代わってこのファミリーを牛耳ろうとしたのよ。ファミリーの取引先や顧客など金では手に入らない物を力で奪い取ろうとしたのよこの男は」

 聞いていた話よりもだいぶ深刻なようだ。フィガロを悪に仕立て上げるために話を盛っているのか。それとも元々俺たちを信用していなくて詳細を話さなかったのか。まぁ、最初に事情を聞いた時にはまだ信用など得ていなかっただろうが。

 おそらくは後者だろう。どうやらリーザも父親譲りで身内しか信用しないらしい。

「私はそれを知っていたわ。でも私がその事を伝えてもパパはおそらく信じなかったでしょう。あなたは身内には甘いから…。だから私は以前から交流があった桐生さんに相談に乗ってもらっていたのよ。その男がまさか桐生さんを殺そうとするとは思ってもいなかったけど」

 リーザがパワーローダーの方へ歩みを進める。

「フィガロ、私ね怒っているの。私の父を殺そうとしたこと。桐生さんを殺そうとしたこと。それと私をただの小娘だと思っていること」

 その手にはCh9c。旦那が桐生に預けていたものだ。

「あまり私を舐めないでほしいわ。これでも私はコール・カーネリアの娘なの。あなたみたいな小物がひっくり返っても私と同列には立てないわよ、一生ね」

 銃口をフィガロに向ける。

「や、やめろ!やめてくれ!し、死にたくない!」

「はぁ…。泣いて詫びれば許してあげようと思っていたけどダメね。怒りが収まらないわ。私もまだまだ未熟ね。いつかはパパの仕事を継ぐことになるけど今からこの短気な性格はどうにかしないといけないわね」

 そういいながらリーザは引き金を引いた。3発の発砲音。フィガロが倒れる。どうやら3発とも腹部に当たったらしい。まず助からないだろう。

「じゃあ、後始末お願いね。骸骨さん?あとこれ、返すわ」

 リーザがCh9cを骸骨の旦那に返しながら言う。

「俺の仕事はフィガロを殺す事だったはずなんだがなぁ」

 呆気に取られた旦那がぼやいた。

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