俺、鍛冶屋になります!
この巻は1章のみとなっております
プロローグ
「不幸だ…。」
どうして神はいつも味方をしてくれないのだろう。どうして自分だけこんな目にあうのだろう。と、つくづく思ってきたがここまで酷いのは初めてだ。目の前で『ボー」という効果音じゃ生温いくらいの勢いで灼熱を吐く赤帝龍を見ながら俺はそういった。
第1章:見ててください!俺の転生!!
現在、俺こと羽針神樹は人生の中で初めて初対面の人に土下座をしている。今この状況を『人生』というジャンルに入れてもいいのか分からないがそういう事にしておく。
「せめてもの慈悲として理由だけは聞いておこう。なんでこんな事したの。」
俺の目の前で100均にでも売ってそうな杖を片手に仁王立ちしたまま、おっさ………神様がそんなことを聞いてくる。
「いや〜いけると思ったんスよ。」
軽い感じで俺がそう返すと、
「はぁ…」
ため息をついて呆れられた。
そう、時を遡ること多分2時間前…
「へぇ〜、リスカってカッターでやっても死なないだ!」
自宅を警備するのを仕事としていた学生の俺はいつもと同様に彼女とイチャイチャしていたら、何を血迷ったのかリストカットの事について調べていた。
「人生何事も挑戦だよな!やってみないと分からない、偉い人にはそれが分からんのですよ!」
そして俺は何を血迷ったのか台所へ行き銘刀HOUCHOを取り出した。
「やっぱスリルって大事だよな。俺、頑丈だし大丈夫でしょ!」
どうやら俺は相当アホで厨二病だったらしい。その後俺は銘刀HOUCHOでリスカをして、血が止まらず、多量出血で死亡したらしい。
「んで、これからお前はどうすんの?」
おっさ……神様が聞いてくる。
「どうって…どうしようもないんじゃねえの?ザオ○クがあるわけじゃないし。俺は死んだから後はおっさ…神様が天国か地獄かに送るんじゃね?」
俺がそう返すとおっさ…んはニヤリと笑って
「もしザオ○クみたいな呪文がある世界があるとすればお前はどうしたい?」
「んなもんあるわけねえが、あるなら行ってみたいよな。絶対楽しいだろうし。」
俺は彼女とイチャイチャしていた時はよくゲームをやっていたからそういったファンタジー系は大好きだ。
「それがあるんだなぁ」
と、おっさんが言った。
「ゑゑ!?マジで!?行きたい!超行きたい!」
俺はおっさんに詰め寄った。
「分かったから!近いんだよ!それじゃあその方針でいこうか。」
「いよっしゃーーーー!」
マジかよ。そんな世界が実在するなんて。
「ああ、そういや2つほどコースがあるんだがどうする?」
「コース??」
何その生命保険みたいな感じ。
「1つ目はその世界で1からやり直すコース。もう一つは体の成長は今のまま、1つだけ特殊能力を持った状態で行くコースがある。」
「ふむ、なるほど。1からやり直すコースはメリットがあるのか?」
ふと気になったんだ。前者の1からやり直すコースが1つもメリットがなかったからな。
「もちろんある。大魔法士や賢者と言われるようなとんでもない能力を身につけることができる。」
なるほどな。1からやり直して桁外れの能力や才能を手にするか、その手間を省いて特殊能力を1つだけ身につけて行くか、か。どちらも捨てがたいが、俺は
「現状維持の状態で行く。」
とはっきり言った。
「分かった。特殊能力は何がいい?火を扱ったり、壁の通過をしたりなど様々あるが…」
「創造能力」
「即決かよ…」
おっさんが言い切る前に言ってやった。俺が特殊能力で一番欲しいのは創造能力とずっと前から決めていた。
「ただ、創造能力はチート級に強い分ペナルティーがあるぞ。」
ペナルティー…?やはり各能力の差が開きすぎないように制限がかかっているのか。
「まあいいぜ。ペナルティーぐらい克服してやる。」
「そうか…頑張れよ…」
おっさんが可哀想なものを見る目で見てきた。……ま、いっか。
「じゃあ、そこの魔方陣の上に立ってくれ。」
おっさんが魔方陣の上に行くように促す。
俺が魔方陣の上に立つとおっさんが何かを詠唱し始めた。
「全能の神のが命ず。ハバリシンキに新たな人生を与える!」
「もうこれ以上みんなの涙は見たくない。みんなに笑顔でいて欲しいんです!だから見ててください。俺の!転s……」
魔方陣が輝いて俺を新世界に飛ばした。…って、名台詞ぐらい最後まで言わせろぉぉぉぉぉ!
みなさん、おはこんばんちは!カナシロカです。この度転生鍛冶屋の不幸章を書かせていただきました。面白かった!や続いて欲しいと思って貰えれば幸いです。今巻は1章で終わっていますが、後々書かせていただきますのでどうかよろしくお願いします。