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予備校

 高校2年の夏休み前、「勝負の夏休み」の直前となり、横田基典の進学校受験ライフもいよいよ、本格化してきた。



 あれから十数度のテストがあったが、未だに「鉄30」には入れず、偏差値も65.0には届いていなかった。



 (これは、独力の勉強では限界があるな。塾か予備校に通うかなぁ。)  最近、彼はこのことばかりが頭をよぎっていた。



 この中核都市にも大手予備校の支店や分校はある。


 予備校は、自社の模試の偏差値ランクを基準に、生徒達をクラス分けしている。


 東大京大クラス・早慶クラス・関関同立クラス・MARCHクラス・医科歯科受験クラスなどなど、実に10階級以上に細分化され、その各クラスから実際入学・合格に至る生徒は86%と言われていた。



 基典は、予備校に通うことを決心した。両親も快く了解してくれた。授業料は数十万円もする。中流家庭の横田家にとっては、新車の買い替えを延期するということで、一人っ子で長男の基典の将来に投資しよう!と結論が出た。


 いろいろ、塾・予備校の情報を仕入れ、彼は「川井塾予備校」にしようと決心し、夏休みの始まる海の日から、一年半ばかり、頑張ると誓った。



 基典は、川井塾予備校の表向き、最上位クラスの「旧帝大7校文系クラス」に入る権利を、同社模試結果から獲得している。


 「表向き」、と書いたのはどの予備校も、裏メニュー・裏最上位クラスが存在するからだ。


 裏最上位クラスとは?


 これは、横田家の面々はついぞ知る事はない、真の最優秀クラスなのだ。



 個人情報の取り扱いで、どの業界でも企業コンプライアンスが声高に言われているが、それとは裏腹に、個人情報は闇から闇へと流通しているのが現状。進学校の生徒たちの成績もその例外ではない。



 公立・私立を問わず、高校の成績が業界上層部に出回っている。本当に成績優秀者と言われる生徒は(六高なら上位10人は)、予備校の方から家庭に接触し、無償で入会してほしい、という話になる。その最優秀生徒群は予備校など行かなくても良い充分な成績なのだが、予備校サイドが、合格実績の上方化のため、勧誘するのだ。基典の現成績では、お呼びはかからない。



 さて、7月20日から、横田基典は、川井塾予備校旧帝大7校文系クラスに通うこととなった。。。

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