貴族
適当にかいたらこうなった
私は貧乏な家庭で育った。馬宿のような家に育って、腹が膨れるということは一度も無かった。それでも、幸せだったのは両親に恵まれた事だ。
私の両親は人間への理解が素晴らしく、ご飯よりも重要な教育を与えてくれた。行儀作法は厳しくしつける一方、好奇心を伸ばすようにいろんな物事へ興味が向かうようにしてくれた。
ある日、貴族の使いと名乗る人間が現れ私を引き取りたいと言ってきた。話を聞くと、どうやら私は有力貴族の一人娘だったらしい。勢力争いが激しく、暗殺も日常茶飯事だったので私を護る為に信頼出来る従者に私への教育を任せたらしい。それに加えて、貧乏を知る事は子供の為になるという教育的な配慮もあったようだ。
私は晴れて実家に戻る事が出来たが、無駄に広いだけの豪邸に疲れるだけだった。
その後、私は学園に入園することになった。私は一番の有力貴族の一人娘であるので親の顔をたてるために新入生代表挨拶をさせられた。
教室に入ると、私を見るなり同級生は私にたかってきた。蛙の子は蛙とは良く言ったものだが、ご多分に漏れず私に媚を売ってきた。こういった日和見主義者はいずれ裏切るが、敵に回すと面倒な事この上ないので適当に愛想を振りまいた。
教室の中ではさっそくイジメがあった。先の権力闘争で私の父に負けた貴族だ。見ると机や教科書がズタズタに切り裂かれている。私は、彼女に静かに言った。
「虐めた相手を言え、助けてやろう」
と。
その子は私の言葉に驚いたが、すぐに
「結構です」
と答えた。私の見込んだ通り、かの日和見主義者どもより骨があると思った。私は、
「分かった」
と答えてその場を去った。後で聞いた話だが、イジメの主犯格は犯罪を冒し、この学園にいられなくなったらしい。子供の犯罪は親の責任にもなるので、その貴族の面目は丸つぶれだろう。
私は転んでもただでは起きない彼女に旋律を覚えつつも興奮した。