Ⅲ 初めてだらけの日 part 2
「お嬢ちゃん、こいつは多分『古代の魔物』だ!!そこらの魔物とは桁違いだぁ」
「ふ~ん、それにしても何か迫力がないね」
古代の魔物という名前の割には、神秘的なオーラを感じない。でも何か強そうな雰囲気はある。
「チェンジ」
今回は女の状態でやったため、装備が変わる程度の変身だった。魔法の杖と不思議な帽子、神秘の衣といった神々しい装備である。
「あんた・・・まさか!?」
「お前、死にたくないなら遠くへ行け、じゃないと巻き込まれるぞ。この魔物のことは兵士にでも言っておけ」
「は、はひぃ!!」
超光速スピードで逃げていった。これって世界最速と呼ばれていたあの男と同じ速さじゃねって思った。
魔物は、こちらに殺意を抱いていないようだ。なぜ、俺には殺意を向けないのか
「・・・・・!!」
何を言っているのか全くわからないので『自動翻訳』を発動した。
「あ、あなた様はもしかして・・・」
その言葉を発してからは息が詰まって声がでない状態のようだった。
日本語が通じるかどうかは知らないけど、喋ってみることにした。
「そのさぁ、俺はただの異世界人なんだけど、何でそんなに驚くの?」
「でも、あなた様はあの方と同じオーラを感じます。」
「あの方って誰よ。」
「『混沌の魔女』と呼ばれていました。光と闇の両方を司り、神の魔法まで扱うことができる最も神に近い存在の一人です。」
「でも俺はそんな強そうな魔法少女じゃないぞ?」
「ちょっとステータスを見せてもらってよろしいですか?」
「あぁ。構わない。」
魔物は端から端までじっくりステータスを見ている。何だか恥ずかしくなってくる。
「ステータスを見たところ、やはりあなた様には混沌の魔女と同じ体質ということがわかりました。今はまだ開花してはいませんが、努力をしていれば必ず開花しますよ」
「俺には分からんがな」
「いずれ分かるようになりますよ。そういえば、あなた様はお金に困っていませんか?」
「まだ1コインすら手に入れていない。」
「それじゃぁ、あそこにある倉庫からありったけもらってください!!」
随分と太っ腹だなぁっと思った。しかし本当に持って行っていいのか?
「僕は魔物ですし、食料はここで自給自足できるのでお金はいらないです。」
なら遠慮なく貰っていくか。
-城下町-
「はぁ・・・はぁ・・・ハァ・・」
「どうしましたか?」
「古代の森でおおきい魔物がいたんです!!」
「それでどうやって逃げてきたんですか?」
「えっと『魔法少女』が助けてくれました。」
「っ!!二度と魔法少女などと言うな!!」
「え?あ、はい。すいません・・。」
-古代の森林-
「しかし価値がよくわからないな」
「えっと、銀が銅100枚分の価値で、金が銀100枚分の価値で・・・」
長ったらしい説明を聞き終えたあと、ゴブリンの巣を探しにでかけた。
お金の価値を簡単にまとめると プラチナ(純金100枚)>>純金(金100枚)>>金(銀100枚)>>銀(銅100枚)>>銅=1円(仮)
日本円に直すと、プラチナ=1億円 純金=100万円 金=1万円 銀=100円 となる。要するに純金以上は、貿易かよっぽどのお金持ちしか持っていないということになる。だが、倉庫に山ほど純金とプラチナがあった。なので、プラチナ200枚純金50枚、金30枚、銀200枚くらい貰っていった。 合計200億5032万分貰っていった。
こんな大金をジャラジャラと持ち歩くわけにはいかない・・・。でも次元魔法ならなんとかなるんじゃね?と思った俺はイメージを十分な状態にして「次元魔法」と言うと異空間が現れた。そこの中にプラチナと純金、そして金20枚と銀150枚くらい預けた。 あれ?俺って凄くねって思った瞬間だった。
ゴブリンの巣に辿り着いた・・・しかしゴブリンが一匹もいない。
最初は森の散策でもしているのかなぁって思ったけれどゴブリンの気配が感じられない。・・・一回報告をしにいこう。