第1話 五年後
設定固まんねeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee
右手に宿した紋章から大剣を顕現させる。
モンスターは俺を中心に群がっているので後は簡単だ、ただ回ればいい。
「ソニック!」
遠距離攻撃用の大剣技で斬撃を飛ばすものだ、普通は敵に向かって斬りつけるものだがこのゲームは色々とリアルというかテキストの盲点をついた仕様が多い。
グルリと一回転、これで終わりだ。斬撃は俺を中心に放射状に広がっていく。そう、この技は斬撃を飛ばすのだ、大剣の奔った軌跡に従い俺を中心に円形の斬撃が飛ぶ。
HPバーが空になったモンスター達は細かな塵のように霧散し、ドロップ品だけが残った。
「さて、今日も五時間以上ここで粘ったんだそろそろで、ったぁぁ!」
足早に駆けより野球のボール程の大きさの球を拾い上げる。
「やっと出てきてくれたね、俺の紋章球ちゃん。これでやっと強化ができるのね」
思わずおねえ言葉になってしまう、まあその場のノリだ。
ドラクレには一風変わった紋章システムというものが存在する。
紋章を自分の体に宿して魔法を使ったり、俺のように武器を顕現させることもできる。
紋章武器と呼ばれるこの武器の利点は耐久性が無限なこととインベントリに余裕ができることだ。
ただ普通に売っているやユニークドロップに比べ攻撃力が低くなっており、紋章武器自体の強化も手間がかかる。
ちなみに宿せる紋章の数は両手のひらと甲、一部の紋章は額と足に宿すことができる。基本は両手に二つずつだ。
「ついに、ねんがんの大剣の紋章球をてにいれたぞ!」
「殺してでも うばいとるね」
そんな声と同時に背後から何かが迫ってくる。
即座に振り向きこちらに迫るそれの腹を叩いて軌道をそらす。
「おい、何しやがる!」
そこにはよく知った男の姿があった。
「いや、お前がネタを振るからついね」
「ネタじゃねぇぇぇぇ!仮にネタだとしてもやめろ、お前の覇槍はさすがにシャレにならん」
「とか言いながら今まで全部躱してっけどね…」
「一応【捌き】とか【受け】の防御系は結構マスターしてっからな」
あれぐらいなら何とかできる。
さて、いきなり俺に奇襲かましてくれちゃったりするこいつはテンジ。五年前の正式稼働初日にビギナークエで組んで以来一緒にPTを組んでいる。
リアルであったことはないがドラクレも半分リアルみたいなものだ、多分知りあいの中じゃ一番仲がいいだろう。
「にしてもマゾいね紋章武器は、わざわざ覇までランク上げといて言うのもなんだけどっね」
「確かにな、剛を作るのに通常の紋章球が百個。覇を作るのには剛の紋章球が百個」
「しかも上位紋章は下位紋章からじゃなきゃ作れないときたもんだ、一万個の紋章球は地獄だったね」
「それでもなんとか一万個目の大剣の紋章球を手に入れたわけだし、さっさと戻るか。」
帰還アイテムを使いホーム登録をしてる町まで戻り、俺はさっそく紋章屋に行く。
店にいるのは一目で魔法使いとわかるようなローブを着ているNPC
「いらっしゃい。今なら鑑定の紋章球が安いよ」
そんな言葉には耳を貸さずに紋章合成を選択し、九十九個目の剛大剣の紋章球を作り、右手のひらに宿してある紋章を抜き取る。そして百個になった剛の紋章球を合成し、覇大剣の紋章球を作りだす。
「これでライヤも覇武器持ちだね、長かったー。一体何時間紋章球狩りに付き合わされたんでしょうボク?」
「お前の時は俺が手伝ったろうが、これであいこだよ」
「ま、そうだね。これからどうする、どっか潜るかい?」
武器のエディットを弄るか、それとも試し斬りに行くか。
外装を弄るのはオフでいいか、まずは覇武器の性能チェックからだな。
「あと二万位でレベル上がりそうなんだ、付き合ってくれ」
「りょーかい」
覇大剣を右手に宿しテンジと一緒にダンジョンへと向かう。
一時間ほど新しい武器の感触を確かた後、明日の集合時間を決めそろってログアウトした。
事実は小説よりも奇なり。
俺は、いや俺とテンジは、数日後その言葉を身をもって知った。
そこのあなた、私に文才をください