壊れた装備が、30万円になった
予約投稿ミスりました……汗
今日は4話構成でお楽しみください笑
浅田から連絡が来たのは、翌日の昼だった。
「認証端末の件ですが、解析が出ました。内部の術式が外部から書き換えられた痕跡があります」
「外部から、というのは」
「誰かがダンジョン内に直接入り込んで操作したということです。使われた手法が、先日ご報告いただいた呪詛護符の術式構造と、かなりの部分で一致しています」
俺は少し黙った。
「同じ人間が、やったと考えていいですか」
「断定はできませんが、可能性は高いと思っています」
護符の汚染が業者の話だったのが、ダンジョン内の設置物になり、今度は境界の認証端末まで繋がった。点が線になってきた。
「真壁さん、正直に言うと、これは管理局単独で追える話の規模を超えているかもしれません。今後もご協力いただけますか」
「もちろんです」
電話を切って、しばらく考えた。
誰かがダンジョンの管理システムに手を入れながら、探索者の装備にも汚染を混ぜている。
目的が分からない。ただ、規模は小さくない。
◇
夜、十一回目の配信を始めた。
登録者は4,380人になっていた。
今夜はB4Fを中心に回る。
認証端末の件は配信では触れない。
浅田から「公開はまだ待ってほしい」と言われていた。
三十分ほど進んだところで、通路の角に大きなものが転がっていた。
大剣だ。
全長は1メートルを超えている。
刀身が根元から折れていて、柄だけが壁に立てかけてある。
折れた刀身は床に放置されていた。
「デカいですね。完全に折れてる」
『拾う?』
『折れてたら価値ないよね』
『でも鑑定してほしい』
念のため、柄の部分に【鑑定】を向けた。
――――――――――――――――――――
魔鋼大剣・上位種(損壊状態)
希少度:A
現在価値:低(損壊のため)
修復可否:可能
修復後推定価値:28万〜35万円
備考:魔鋼の純度が高く素材価値は健在
折れた部分は再鍛造で接合可能な状態
修復には専門の鍛冶師または魔鋼専門業者が必要
推奨:魔鋼修復専門業者への持ち込み
――――――――――――――――――――
「……修復できます。しかも修復後の価値が28万から35万円」
コメントが止まった。
「折れてるので今の状態では値段がつかないんですが、材料としての価値が生きてる。ちゃんとした業者に持ち込めば直せると出ました」
『え、折れた剣が30万?』
『素材が高品質ってこと?』
『修復費用いくらかかるの』
「修復費用は業者によりますが、たぶん3万〜5万円くらいです。それ差し引いても十分残る」
『それ完全に儲かるじゃん』
『捨てた人が知ったら泣く』
『回収屋の真骨頂これだよな』
柄と刀身の両方を回収した。
重い。
配信しながら持ち帰れるか微妙だったが、帰りに引きずりながら、なんとか外までもっていくことが出来た。
「今日はこれを持って帰ります。修復の様子はまた報告します」
『絶対報告してほしい』
『完成品見たい』
『続きが楽しみすぎる』
◇
配信を閉じたのは日付が変わる少し前だった。
視聴者のピークは4,700人を超えていた。
スマホを見ながら帰路につくと、見慣れないアカウントからの引用通知がいくつか来ていた。
榊の動画がアップされていた。
タイトルは「ダンジョン配信界の異端児・回収屋の正体に迫る」
内容は、呪詛護符の発見から認証端末の件まで、主人公の配信を中心に据えた10分程度の解説動画だった。
動画の中で何度も「回収屋チャンネル」という名前が出てくる。
コメント欄には「初めて知った」「チャンネル登録してきた」という書き込みが並んでいた。
翌朝、目が覚めると登録者数が5,240人になっていた。
◇
昼ごろ、神崎からメッセージが来た。
「護符の汚染ネットワークについて、新しい情報が入りました。できれば今日か明日、お時間いただけますか」
「明日の午前中であれば」
「ありがとうございます。鷹坂から詳細を送ります」
いつもより文面が短い。
急いでいるか、あるいは書けないことが多い内容なのか。
どちらにしても、動きが速くなっている。
読んでいただきありがとうございます。
現在、別作品も連載中です。気になったものがあればぜひお願いします。
・『俺だけ使える【アイテムボックス】がバグってるので、誰も運べないレイド報酬を独占します!』
→ 俺だけ能力 × レイド報酬独占の現代ダンジョンもの
・『加護なしの第七王女ですが、前世が限界社畜だったので離宮暮らしが快適すぎます!』
→ 冷遇王女 × 前世社畜記憶の、ほのぼの寄りハイファンタジー
作品一覧から飛べますので、よければのぞいてみてください。




