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14/22

俺の鑑定結果が、会議室を静かにした

 翌朝、品川のビルに向かった。


 会議室には鷹坂と神崎がいた。

 テーブルの上に、書類が数枚並んでいる。


 「昨日の報告、ありがとうございました」


 と鷹坂が言った。

 

 「管理局からうちにも確認が来ました。現地は既に封鎖されています」


 「護符は回収できましたか」


 「はい。同型のものがその区画でさらに2点見つかったそうです」


 「……3点か」


 神崎が口を開いた。


 「少し、情報をお伝えします」


 書類を一枚こちらに向けた。クラン名が並んでいる。


 「先月から今月にかけて、複数のクランで装備の不調報告が上がっています。全部が護符というわけではないですが、共通しているのは購入ルートが似ていること」


 「同じ業者から?」


 「同じではないです。ただ、仕入れ先の上流を辿ると、一か所に繋がっている可能性がある」


 俺は少し考えた。


 「護符の汚染を業者が知らずに流したのか、知っていて流したのか」


 「そこが分かっていない。ただ、ダンジョン内に直接設置されているなら、業者の話だけじゃない」


 「第三者が置いた」


 「その可能性が高い」


 会議室が静かになった。


 鷹坂がコーヒーを置きながら、ゆっくり言った。


 「真壁さん、率直に聞きます。この件、引き続き協力していただけますか。今後も同系統の汚染品が出たとき、鑑定をお願いしたい」


 「配信には出します」


 「もちろん。それを含めて、です」


 神崎が付け加えた。


 「あなたが配信で動いてくれた方が、広く周知できる。うちにとっても都合がいい」


 「分かりました」


 俺が頷くと、神崎は書類をまとめた。

 それだけで結論が出た。



   ◇



 ビルを出たところで、スマホに通知が来た。


 送信者:品川第七ふ頭ダンジョン管理局


 『先日ご発見いただいた護符の件につきまして、鑑定士として正式にご協力いただきたく、書面をご準備しております。ご都合のよい日時をお知らせください』


 「鑑定士」という単語が、少し引っかかった。


 俺に資格はない。ただ【鑑定】がある。

 それが公的な場でも通用する判断材料になっている。


 会社をクビになった一か月半前の自分に言っても、信じないだろうなと思った。



   ◇



 夜、九回目の配信を始めた。


 登録者は3,420人になっていた。


 「今日は配信外でいくつか動きがあったので、報告します。ダンジョンに罠が仕掛けられていた件の続きです」


 コメントがすぐ流れ始めた。


 『待ってた』

 『続報きた』

 『あの護符どうなったの』


 「管理局が現地を封鎖して、追加で同型のものが2点見つかったそうです。合計3点。全部、似たような場所に置いてあった。偶然じゃないです」


 『やっぱり』

 『誰が置いたんだろ』

 『目的は何』


 「目的はまだ分からないです。ただ、あれに触れた探索者は何が起きるか分からなかった。配信してなかったら俺も触ってました」


 『そう考えると怖い』

 『回収屋さん配信してて本当によかった』


 「これ以上詳しいことは言えないですが、関係する人たちと話し合いは始まっています。何か動きがあれば報告します」


 『信頼してる』

 『続報待ってます』


 配信を続けながら、今夜は上層の浅い区画を軽くまわった。

 目立った発見はなかったが、コメント欄は終始賑やかだった。


 視聴者が「一緒に考えている」感覚がある。

 前と違う。


 配信を閉じたあと、ひとつメッセージが届いていた。


 榊からだった。


 『真壁さん、罠の件、うちのチャンネルでも取り上げたいんですが。情報提供という形で協力してもらうことはできますか。コラボじゃなくていいです』


 コラボじゃなくていい、というのが気になった。


 榊が、一歩引いた形で来た。


読んでいただきありがとうございます。


現在、別作品も連載中です。気になったものがあればぜひお願いします。


・『俺だけ使える【アイテムボックス】がバグってるので、誰も運べないレイド報酬を独占します!』

 → 俺だけ能力 × レイド報酬独占の現代ダンジョンもの


・『加護なしの第七王女ですが、前世が限界社畜だったので離宮暮らしが快適すぎます!』

 → 冷遇王女 × 前世社畜記憶の、ほのぼの寄りハイファンタジー


作品一覧から飛べますので、よければのぞいてみてください。

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