― 欲望、爆ぜる ―
あの時間加速事件のあと。
世界は落ち着きを取り戻した――はずだった。
だが、妹の目がまた輝き始める。
妹:「お姉さまのペン、きらきらしてる! ほしい!」
お姉ちゃん:「え、ちょっ、また!?」
妹:「お姉さまのペンがほしい!ほしい!ほひい!ほひいい!!ほひーーーー!ほひーーーのーーー!!」
お姉ちゃん:「……女神様ァァァァァァァ!!!」
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お姉ちゃん:「お願いです女神様! もうエレガントも野生も要りません!
シンプルに、妹が“欲しがったら困る”ようにしてください!!」
女神アモーレ(疲労気味):「あなたの家、スキル履歴がカオスすぎて、もう私の管理画面バグってるのよ……」
お姉ちゃん:「お願いします! 今度こそ効果的なやつを!」
女神:「……わかったわ。
じゃあ、“欲望が爆発して形を失う”スキルを授けましょう」
お姉ちゃん:「えっ、爆発って……比喩ですよね?」
女神:「多分ね。……多分」
翌朝。
妹:「お姉ちゃんの髪飾り、ほひ――」
――ドガァァァン!!
屋敷の二階が軽く吹き飛ぶ。
花瓶が宙を舞い、メイドが悲鳴を上げた。
妹:「えぇぇ!? なんで爆発したの!? 欲しかっただけなのに!!」
お姉ちゃん(震え声):「……本当に比喩じゃなかったのね……」
妹:「お姉ちゃんの靴、かわ――」ドカーン!
妹:「その本もおもしろそ――」ボゴーン!
妹:「婚約者さ――」イ〇ナ〇ン!(特大)
屋敷の壁が波打ち、空に煙の花が咲く。
お姉ちゃん:「もはや戦場よ……!」
執事(煤だらけ):「お嬢様方、もう屋敷の在庫がございません!」
女神(上空から):「すごい……欲望の爆縮による浄化現象……人類の進化かもしれない……!」
爆発の余波で庭が丸ごと焦土と化したころ、
妹はふらふらと立ち上がり、すすけた顔で呟いた。
妹:「……もう、何も欲しくない。
“ほしい”って思った瞬間、全部吹き飛ぶんだもの……」
お姉ちゃん:「妹……!」
妹:「気づいたの。欲望って……火薬みたいなものなのね……」
お姉ちゃん:「(感動して泣きそう)……成長したのね……」
妹:「ううん、ただのPTSDかも……」
女神:「というわけで、妹さんの“欲しい病”は完治したわ。
副作用として屋敷が更地になったけど」
お姉ちゃん:「ええ……でも静かになりました」
女神:「それがいちばんよ。
“欲”を抑えるには、時に派手な爆発が必要なの」
お姉ちゃん:「……名言みたいに言わないでください」
7.エピローグ ― 灰と紅茶
数日後、再建された屋敷の庭。
姉妹は瓦礫の上で紅茶を飲んでいた。
妹:「ねぇ、お姉ちゃん。もう“欲しい”って言わない代わりに……」
お姉ちゃん:「なに?」
妹:「“ありがとう”って言うようにするね」
お姉ちゃん:「……それがいちばん素敵なスキルよ」
女神(遠くでメモを取りながら):「“デザイア・デトネーション・フォー・ヒューマニティ”……論文にできそうね」
そして、風に乗って小さな爆発音がひとつ。
――ポンッ(紅茶のティーポットがまたやられた)
お姉ちゃん&妹:「……まぁ、これくらいなら平和ね」
爆発スキル編
――完。




