― ゴリラをあげたい人 ―
女神アモーレは、神界の机に積まれたおハガキを1枚ずつ読み上げていた。
「“家族に時間をあげたい”……いいわね」
「“世界に静けさをあげたい”……詩的だわ」
「“妹にまつ毛をあげたい”……もうやめて」
そして、運命の100通目。
おハガキには力強い筆跡でこう書かれていた。
『誰かに、無限にゴリラをあげたいです。』
女神:「……」
お姉ちゃん:「……」
妹:「……」
三人:「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
その瞬間、女神の机の上が光を放った。
おハガキから放たれる“野生波動”。
風が唸り、ジャングルの幻影が広がる。
妹:「ちょっと待って、まさか“ほひー・ゴリラ編”が再起動するの!?」
お姉ちゃん:「……でも、あげたいっていう気持ちは尊いのよね」
女神:「問題は、無限に出ることなのよ!!!」
ズズズ……ッ!!
空が割れ、光が溢れる。
――現れたのは、銀色に輝く巨大な影。
「ウホォォォォォォ!!!」
女神:「……まさか……神界由来の“アルティメット・ゴリラ”が召喚された……!」
お姉ちゃん:「“誰かに無限にゴリラをあげたい”って……
つまり、この世界全員にゴリラが届くってこと!?」
妹:「うちの屋敷、また森になるぅぅぅぅ!!!」
瞬く間に、世界中に“プレゼント・ゴリラ”が転送された。
村にも、城にも、海の上にも。
女神:「……もうだめ、ゴリラが市場を支配していく……!」
お姉ちゃん:「でも、みんな笑ってるわ」
女神:「え?」
街角で。
小さな子どもがゴリラに花を渡して笑っていた。
老人は肩にゴリラを乗せて日向ぼっこをしていた。
そして村人たちは――
「ありがとう、伯爵家さん!」「ウホウホが止まらねぇ!」
妹:「……なんか、平和だね」
お姉ちゃん:「そう。“あげたい”は、どんな形でも世界を変えるのよ」
女神:「……まさか、ゴリラが“与える心”の究極形だったなんて」
女神はおハガキをそっと掲げた。
「この100通目のおハガキ……誰が書いたのか、私にもわからない。
でも、“誰かに無限にゴリラをあげたい”という願いが、
こんなにも優しい世界を作ったの」
お姉ちゃん:「ねぇ女神様。
次は“無限に紅茶をあげたい”人を募集してもいいかしら?」
女神:「……それは私が欲しい。」
エピローグ ― ゴリラとともに
その後、世界は穏やかだった。
どこの町にも一匹ずつ“贈与ゴリラ”がいて、
人々は彼らを“ほひーの使者”と呼んだ。
妹:「お姉ちゃん、今日の紅茶、ゴリラが入れてくれたよ」
お姉ちゃん:「すてきね。少しバナナ風味だけど」
女神:「まぁ、それも平和の味ね」
風が吹き、どこかでウホウホと優しい声が響く。
肩にゴリラ乗せてる老人のサイズ感がわからない。




