― 欲望、覚醒 ―
伯爵家に平和が戻って数日。
お姉ちゃんの「バーリア!」スキルによって、
妹の“ほひぃぃぃ!”も、両親の“うりぃぃぃ!”も完全封印されていた。
お姉ちゃん(紅茶を飲みながら):
「……静かね。紅茶がこんなに香るなんて、何年ぶりかしら」
執事:「まるで別邸のようでございますな」
だがその瞬間、背後の窓が“ベキッ”と音を立てて割れた。
妹(乱入):「お姉ちゃああああん!! バリア切ったー!!!」
お姉ちゃん:「な、なにを言ってるの……?」
妹:「“バリア切ったー!”って言えば、バーリアが切れるんだもん!!!」
女神(上空から悲鳴):「なっ!?
そ、そんな……神の権能が……子供の言葉で……ッ!?」
妹は得意げに腰に手を当てた。
妹:「だってさ! “バーリア”って言葉が力になるなら、
“バリア切ったー”って言えば解除できるでしょ? 当たり前じゃん!」
お姉ちゃん:「理屈があまりにも小学生!!!」
妹:「お姉ちゃんのリボン、ほしぃぃぃぃぃーーーー!!!」
お姉ちゃん:「バーリア!」
妹:「バリア切ったー!!!」
――パキンッ!!
空気が弾け、まるでガラス細工のようにバリアが砕け散る。
女神:「うそ……! 言霊の理が逆転した……!?
この子、バーリアの上位互換“アンチバーリア”を自然発動している……!」
お姉ちゃん:「女神様ぁぁ! どうすればいいの!?」
女神:「し、知らないわよこんなの!? 物理法則の外側よ!!!」
妹:「やった! バリア切ったー! ほひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
お姉ちゃん:「ぎゃあああああっ!!(ドレス奪われる)」
空が割れ、眩い光と共に新たな声が響いた。
???:「我こそは“対抗呪文の女神・オブジェクト”!」
女神アモーレ:「ちょっと! 勝手に出てこないで!」
オブジェクト:「この状況は放置できぬ! 言霊バトル、フェーズ2に突入する!!」
お姉ちゃん:「あの、女神様たちがケンカしてません?」
アモーレ:「落ち着いて! 姉妹の力は拮抗してる!
“バーリア vs バリア切ったー”は、まだ決着してないのよ!!」
妹:「じゃあ勝負だね、お姉ちゃん! “言葉の力”でどっちが上か!!」
お姉ちゃん:「……やるしかないわね(恥ずかしいけど)」
その日、伯爵家の庭では奇妙な声が飛び交った。
「バーリア!!」
「バリア切ったー!!」
「バーリア二重!!」
「バリア切ったー×2!!」
「バーリア反射ぁぁぁぁ!!!」
「うおおおおお!!! バリア吸収ぅぅぅぅぅ!!!」
執事:「……お嬢様方のご遊戯、まことに壮絶でございますな」
女神たちは天界でため息をつきながら、メモを取っていた。
アモーレ:「……この世界、子供の遊びの言葉が実際の魔法体系を上書きしてるわね」
オブジェクト:「ええ……たぶん文明崩壊します」
エピローグ
夕暮れ。
姉妹は泥まみれで芝生に倒れ込み、笑っていた。
お姉ちゃん:「もう……あんた、最悪よ」
妹:「でも、楽しかったでしょ?」
お姉ちゃん:「……まあね」
女神(小声で):
「結局、最強のスキルは“姉妹喧嘩”なのよね……」
空には虹。
そして小さく聞こえる――
「バーリアぁぁぁ!!!」
「バリア切ったぁぁぁ!!!」
世界は今日も、平和でうるさい。
バーリア!編
――完。




