― 無限供給(アンリミテッド・ギフト) ―
とある夜の漫画タイム
夜の書斎。
お姉ちゃんは久しぶりにゆっくりと紅茶を飲みながら、
一冊の漫画を読んでいた。
その漫画にはこう書かれていた。
『逆に考えるんだ。――あげちゃってもいいんだ。』
お姉ちゃん:「……あげちゃっても、いいんだ……?」
妹:「お姉ちゃん、何読んでるの?」
お姉ちゃん:「悟りの書よ」
そして、なぜか瞳がキラリと光った。
お姉ちゃん:「ねぇ妹。
あなたが“欲しい”って言って困ってたの、私が間違ってたかもしれないわ」
妹:「え?」
お姉ちゃん:「“与えたら減る”って思ってたけど――
無限に出せばいいのよ!!!」
妹:「え、ちょ、なにその結論!?」
お姉ちゃん:「だって、あげ続ければ誰も困らないじゃない!
靴? ドレス? 宝石? 婚約者? 全部あげちゃえばいいのよ!!」
妹:「……婚約者も!?」
お姉ちゃん:「ええ! それすら無限に出せば問題ないわ!!!」
光の柱が現れ、女神アモーレが現れた。
もう顔に「また来た」の文字が浮かんでいる。
女神:「……今度は何を願うの?」
お姉ちゃん:「女神様! 私、“あげるスキル”がほしいんです!」
女神:「……嫌な予感しかしないけど、どんな?」
お姉ちゃん(目を輝かせて):
「靴も! ドレスも! 宝石も! 婚約者も! 無限に“生み出して”他人にあげるスキルです!」
女神:「……つまり、“無限供給型物質生成+贈与特化”……」
女神:「神界ではそれ、“経済破壊スキル”って呼ぶのよ」
お姉ちゃん:「でも私、あげたいんです!」
女神:「(ため息)……いいでしょう。あなた、本当に与える覚悟があるのね」
女神が杖を掲げると、光が空に広がった。
女神:「授けましょう。その名も――《アンリミテッド・ギフト》。
あなたが“誰かにあげたい”と心から思ったものを、
どんな数でも、どんな形でも、現実に具現化します」
お姉ちゃん:「やったわ!!」
妹:「……それ、世界の資源やばくない?」
女神:「まあ、神界ストレージから出すから……たぶん大丈夫」
翌日。
妹:「お姉ちゃん!? 庭が宝石だらけよ!!」
お姉ちゃん:「ええ、村のみんなに配るの」
妹:「ドレスも靴も無限に出てるけど!?」
お姉ちゃん:「季節限定よ。春の大贈与フェアなの」
女神:「(空から)いや、フェアとか言わないで!」
通りがかった村人たちが、喜びの声を上げた。
「伯爵家が神になったぞ!」「ドレスが降ってきた!」
「でも婚約者まで二人増えた!」
アルベルト:「……お嬢様、なぜ私が三人いるんですか?」
お姉ちゃん:「あげたのよ」
アルベルトA:「誰に!?」
お姉ちゃん:「他の私たちに」
アルベルトB&C:「よろしくお願いします」
妹:「もう意味わかんないぃぃぃ!!!」
女神:「……マルチバース婚約制度、神界で禁止になるなこれは」
エピローグ ― あげる幸せ
数日後。
屋敷の前には、幸せそうな村人たちと、まぶしすぎる宝石の山。
妹:「……なんだか、世界が平和になってる気がする」
お姉ちゃん:「そうね。あげちゃったら、何も争わないもの」
女神:「あなた、本当に恐ろしい思想家になったわね」
お姉ちゃん:「でも、いいこともあるでしょ?」
女神:「そうね。与えることは、世界を軽くする」
お姉ちゃん(紅茶を一口):
「じゃあ、次は“平和を無限にあげる”スキルをお願いしてもいいですか?」
女神:「……その前に、紅茶一杯くれる?」
お姉ちゃん:「もちろん!」
――空に、光のリボンが走った。
与えられるたび、世界は少しだけやさしくなっていく。




