― 女神様、スキル授けてほひーん ―
世界を巻き込んだ“ほひーーー”現象から一夜明けた朝。
屋敷は静かで、紅茶はちょうどいい温度。
お姉ちゃん:「……夢だったのかしら」
執事:「昨晩のログによると、世界は一度再起動しておりました」
お姉ちゃん:「ログって言うな」
そこへ、パタパタと妹が元気に駆けてくる。
妹:「お姉ちゃーん!」
お姉ちゃん:「おはよう、妹。今日も元気ね」
妹:「うん! それでね、お願いがあるの!」
お姉ちゃん:「(いやな予感)なに?」
妹:「女神様にね、スキル授けてほひーんだけど!」
お姉ちゃん:「……え?」
妹:「スキルほしいの! じゃなくて!
スキル“授けたい”の!」
お姉ちゃん:「誰に!?」
妹:「女神様に!」
お姉ちゃん:「逆!?!?!?」
女神アモーレ(即座に転移):
「呼ばれたわ……って、ちょっと待って。妹ちゃん? 今なんて?」
妹(きらきらした目で):
「女神様にスキル授けてほひーんです!!」
女神:「……あのね、普通は神がスキルを授けるの」
妹:「でも、いつも私にいろいろくれるでしょ?
たまにはお返ししたいの!」
女神:「……えっ、なんか優しい……」
お姉ちゃん:「(感動してる!?)」
妹:「“おつかれスキル”とか、“昼寝10分延長スキル”とか、
“あわてんぼう防止スキル”とか、どうですか?」
女神:「(うっ……泣きそう)
あの……もしかしてあなた、私の残業見てた?」
妹:「はい! 夜にこっそり紅茶補充してるの知ってます!」
女神:「……この子、尊いわ……」
女神は微笑みながら杖を掲げた。
女神:「じゃあ、あなたの優しさに応えて、
私にもスキルを授けてもらいましょう」
妹:「本当!?」
女神:「スキル名は《ホヒーン・ブレス》。
“誰かの善意を増幅して返す”力よ」
お姉ちゃん:「それ……もしかして最初からこの世界に必要だったんじゃ?」
女神:「ええ。あなたたちの“欲しい”がずっと進化して、
ようやく“与えたい”になったの」
妹:「えへへ……私、女神様にスキルあげちゃった!」
その瞬間、空に小さな光が広がった。
雲がハート型に開き、風が優しく吹く。
女神:「……ふふ、これが“与える喜び”の光ね。
あなたたち、もう神クラスよ」
お姉ちゃん:「いや、それは遠慮したいです」
妹:「でもさ、お姉ちゃん。
“ほひー”って、欲しいって意味だけじゃなかったんだね」
お姉ちゃん:「そうね。“ほひー”は、誰かを想う音だったのかもしれない」(錯乱)
女神:「ほんと、あなたたちから学ぶこと多いわ……」
エピローグ ― ほひーの循環
夕暮れ。
お姉ちゃんと妹は紅茶を飲みながら空を見上げた。
妹:「ねぇ、お姉ちゃん。
もしまた新しいスキルができたら、今度は一緒に授けにいこうね」
お姉ちゃん:「そうね。……ほひーん、って言いながらね」
二人:「ほひーん。」
風が頬をなで、
遠くで女神がくしゃみをした。
女神:「……あら、またもらっちゃったかも」




