表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
与える姉と、欲しがる妹の終わらない朝  作者: はるかに及ばない


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/24

― スキル:ほひーーー!! ―

屋敷の朝はいつも通り。

お姉ちゃんは紅茶を淹れ、妹はまつ毛を整え、

風はやさしく吹いていた。


だが、妹は鏡を見つめながら、突然つぶやいた。


妹:「……ねぇ、お姉ちゃん。

 私、思い出したかもしれない」

お姉ちゃん:「……何を?」

妹:「“ほひー”の、本当の意味を」


空気が一瞬止まった。

まつ毛が微かに震え、風が逆流する。



妹:「“ほひー”ってね……“ほしい”の進化系なんかじゃなかったの」

お姉ちゃん:「えっ?」


妹の瞳が淡く光り、世界が歪んだ。


妹:「あれは、世界そのものの言語だったの。

 “ほひー”は、“観測された世界を更新する”音……

 言霊そのものだったのよ」


女神アモーレ(即座に転移してくる):「ちょ、ちょっと待って!

 それ以上思い出したら世界が再コンパイルされる!!」


お姉ちゃん:「世界がなに!?」


妹:「でももう、止まらない……」



妹の身体が光に包まれ、

空、地、時空が同時に振動した。


妹:「――スキル、ほひーーー!!」


ドォォォォォン!!!


その瞬間、世界が再起動した。

色が反転し、音が後から追いかけてくる。

観測者(=読者)ですら巻き込まれた。


女神:「もうダメだ! 世界が“妹仕様”に最適化されていく!!」

お姉ちゃん:「どうすれば!?」

女神:「彼女の“欲望”が、宇宙言語になってるの!!」



人々の言語が「ほひ語」化していった。


メイド:「ほひーございます」

執事:「紅茶をほひーいたします」

両親:「お姉ちゃんなんだからゆゆゆゆ譲りぃぃぃぃぃぃ(ほひ語版)」


お姉ちゃん:「……これもう終末よね?」

女神:「終末というより、“再起動の予兆”。

 “ほひー”が“ほひーーー!!”に進化した今、

 宇宙のバージョンが上がるわ」


お姉ちゃん:「宇宙にバージョンとかあるの!?」



空が開き、かつてのマルチバースの妹たちが一斉に現れた。


妹たち:「ほひーーー……」

妹:「……みんな、帰ってきたのね」

お姉ちゃん:「まさか、このスキル……呼び戻したの!?」

女神:「ええ。

 “ほひーーー”は――すべての妹を統合する音。

 観測されたすべての妹が、一人に還ろうとしているの」


妹:「……お姉ちゃん。私、もう一人じゃない。

 すべての“欲しい”を統べる存在になるの」


お姉ちゃん:「(泣きそう)そんなの、寂しいじゃない……!」



妹は微笑んだ。

そして、まつ毛を一筋、お姉ちゃんに渡した。


妹:「観測してね。

 私が消えても、“ほしい”が悪いことじゃないって伝えて」

お姉ちゃん:「……うん、絶対に」


妹:「じゃあ――

 最後にもう一度だけ言うね」


お姉ちゃん:「……うん」


妹:「――ほひーーー!!」


世界が光に包まれ、

風も音も涙も、すべてが一瞬で静かになった。



エピローグ ― ほひの記憶


次の朝。

お姉ちゃんは目を覚ました。

すべてが元に戻っていた。

妹も、屋敷も、紅茶の香りも。


ただひとつ違うのは――

空の色が、ほんの少しだけ“妹のまつ毛色”になっていたこと。


お姉ちゃん:「……ねぇ、妹。

 観測してるよ。今も、ずっと」


風が吹き、遠くから声がした。


妹の声:「……ありがと、ほひー」


お姉ちゃん、微笑む。


「……やっぱり、“ほひー”が一番ね」



スキル:ほひーーー!!編

――完。

妹:「ぼえー!しか言えないなんて言ってない!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ