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与える姉と、欲しがる妹の終わらない朝  作者: はるかに及ばない


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13/24

― まつ毛、空を征す ―

ある日。

伯爵家の庭で、妹は優雅にまばたきをしていた。

そのたびに風が渦を巻き、花びらが竜巻のように舞い上がる。


お姉ちゃん:「……また強くなってない?」

執事:「以前より風圧が2倍に……もはや暴風域です、お嬢様」

両親:「譲りなさいの前に……防風ネットを!!」


妹:「うふふ……お姉ちゃん、最近わかってきたの。

 このまつ毛、風を操れるのよ」


お姉ちゃん:「やっぱり!!!」



妹は日夜、鏡の前で研究を重ねた。

まつ毛の角度、まばたきのリズム、風の抵抗。

それらすべてを極めたとき、妹の背中に“風の羽”が見えた。


妹:「お姉ちゃん、見ててね――!」


――バサササササッ!!!


風が巻き起こり、妹の体がふわりと浮かび上がる。

地面を離れ、屋敷の上空へ。


お姉ちゃん:「妹ぇぇぇぇぇ!?!?!?」

妹:「やった……! 私、飛べる!!!」


まつ毛航空理論の誕生である。




それから数日。

妹は空を飛びながら、風を使ってメッセージを届けた。


「空も……欲しい!」


――そして、空が震えた。


まつ毛が空気中の微粒子と共鳴し、

雲を編み、風を支配する巨大な“まつ毛ネットワーク”が広がっていった。


まつ毛帝国の始まりである。




女神アモーレ(上空で紅茶を飲みながら):

「……えぇ、もうどうしようもないわね」


お姉ちゃん:「女神様、止めてください!!」

女神:「無理。空、全部まつ毛になった。」



村人たちは空を見上げてざわめいた。


「なんか……雲が毛深い……?」

「違う、あれはまつ毛だ!」

「まつ毛が風を操って……雨を降らせてるぞ!!」


――そう、妹のまつ毛はついに気候制御まで到達したのだ。

雨、風、雷。

すべてが妹のまつ毛によってバランスを保つ。


妹:「これで世界は私のまばたきひとつで平和になるのよ……!」


お姉ちゃん:「平和ってそういう意味じゃないぃぃぃ!!」


ある夜。

空いっぱいに広がる“まつ毛の雲”の下、

お姉ちゃんは光る瞳で妹を見上げた。


お姉ちゃん:「妹……あなたはどこまで行くの?」

妹(風の中から):「私はただ、“欲しい”を極めたかったの。

 でも今は、“守りたい”って思ってる。

 この空を、お姉ちゃんを、世界を――まつ毛で。」


お姉ちゃん:「……(涙)もう、わけわかんないけど、泣けるわ」


女神:「つまり、“美と欲望は紙一重”ってことね。

 (メモ)“まつ毛哲学、成立”」



エピローグ ― 風の姉妹伝説


その後。

妹は“風の女王”として空を統べ、

お姉ちゃんは“光の伯爵令嬢”として地を照らした。


二人の力が交わるたび、

空と大地の境界に美しい虹がかかる。


村人たちはその光景を“姉妹のまばたき”と呼び、

やがてそれは一つの祝祭になった。


お姉ちゃん:「……ねぇ女神様、これで本当に平和なんですよね?」

女神:「ええ。ちょっと毛深いけどね。」


風が吹き、

遠くの空でバサササ……とまつ毛の音がした。




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