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与える姉と、欲しがる妹の終わらない朝  作者: はるかに及ばない


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12/24

― バッサバサの姉妹 ―

伯爵家の朝は、今日もいつものように始まった。

お姉ちゃんは鏡の前でまつ毛を整え、優雅に《ラッシュ・フリューゲル》を唱える。


お姉ちゃん:「今日も静かに過ごせますように……」

フワッ……

まつ毛が一筋、金色に輝いて空を舞った。


しかし、そのまつ毛は偶然、妹の寝顔に――ピトッ。


妹:「ん……なんか、チクッとした……」



翌朝。


妹:「お姉ちゃん……なんか、目の周りが重いの……」

お姉ちゃん:「えっ!? 目を見せて!」


妹が顔を上げた瞬間――


お姉ちゃん:「な、なにこれぇぇぇぇ!?!?」


妹のまつ毛が、庭の雑草のようにボリューム満点に伸びていた。

いや、もはや「まつ毛界の森」。


女神(空から覗く):「あー……多分、スキルの“癒し成分”が移植されたわね」

お姉ちゃん:「女神様!? まつ毛が進化してるんですけど!!」

女神:「自然現象よ。ほら、人も植物も、受粉みたいなもので」

お姉ちゃん:「まつ毛を花粉扱いしないでぇぇぇ!!」



妹:「……なんだか目が涼しい……風が、まつ毛で起きるの……」

お姉ちゃん:「それ物理的におかしいわ!」


妹:「ねぇお姉ちゃん……私も言ってみていい?」

お姉ちゃん:「まさか……!」

妹:「ラッシュ・フリューゲルッ!」


ビュオォォォォォォォ!!!

――屋敷全体に風が吹き荒れる。


カーテンが翻り、紅茶が渦を巻き、

両親のウィッグが飛んだ。


両親:「おおおおおぉぉぉ!?!?!?」

執事:「お嬢様、台風警報でございます!!」



お姉ちゃん:「妹っ! そのままじゃ屋敷が吹き飛ぶわ!」

妹:「ごめんなさい! でも止まらないの! まつ毛が勝手に羽ばたいてるのぉぉぉ!!」


お姉ちゃん:「……仕方ないわ。《ルクス・オクルス》!」

ピカーッ


光と風がぶつかり合い、伯爵家は幻想的な輝きに包まれた。

光の姉 vs 風の妹――まさかの姉妹まつ毛頂上決戦。


女神(上空で紅茶を飲みながら):「うん……芸術点は満点ね」



そして――風が止んだ。


屋敷の屋根が半分無くなり、庭の木々がすべて“ふさふさ”になっていた。

(※妹のまつ毛エネルギーが飛散した結果)


妹:「……ごめんなさい、お姉ちゃん……」

お姉ちゃん:「いいの。まつ毛なんて、いくらでも生えるわ」

妹:「でも……これからどうすれば……」


お姉ちゃんは微笑んで、妹の頭に手を置いた。


お姉ちゃん:「この世界でまつ毛が濃いのは、誇りの証よ」


女神:「(メモしながら)……“伯爵家まつ毛道”……いいタイトルね」



エピローグ ― 風のまつ毛伝説


数週間後。

妹のまつ毛は落ち着きを取り戻したものの、

ときおり風が吹くたび、バサッと鳴って蝶が逃げていく。


村の子どもたちは噂した。

「伯爵家の妹さん、まばたきで風を起こすらしいよ!」


お姉ちゃんは笑って言う。

「それでも静かになった方よ。……たぶんね」


女神(小声で):「次は、鼻毛にいかないことを祈るわ」



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