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与える姉と、欲しがる妹の終わらない朝  作者: はるかに及ばない


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11/24

― まつ毛が風に舞う朝 ―

光に包まれ、姉妹が心を通わせた――

あの夜の感動も、朝になれば。


妹:「お姉ちゃーん! そのヘアブラシほひー!!」

お姉ちゃん:「……え? もう昨日の光とか感動とかどこいったの?」

妹:「だって、欲しいもんは欲しいんだもん!」


両親:「お姉ちゃんなんだからゆゆゆゆ譲りぃぃぃぃ!!」

執事(慣れた顔):「……おはようございます」


こうして伯爵家には、いつもと同じほひー日常が戻っていた。



お姉ちゃん:「……はぁ。光でもダメ。バリアでも爆発でもダメ。

 女神様、もう私、強いスキルはいりません。

 でもせめて、少しだけ“優雅な反撃手段”が欲しいんです」


風がそよぎ、ふわりと一枚の羽が舞い降りた。

その瞬間――


女神アモーレ:「呼ばれた気がしたわ」


お姉ちゃん:「女神様ぁぁぁ!!」



お姉ちゃん:「もう、派手なスキルは要りません!

 私の望みはたったひとつ!」


女神:「なに?」

お姉ちゃん(真剣に):「……“まつ毛を飛ばしたい”んです」


女神:「……え?」


お姉ちゃん:「だって、優雅でしょう?

 怒鳴る代わりに、スッとまつ毛が飛んでいって、

 相手がちょっと“はっ”とする感じ!」


女神:「(困惑)いや、発想が貴族的すぎない!?」

お姉ちゃん:「いいえ! それが私の最後の願いです!」



女神は苦笑しながら杖を掲げた。


女神:「……わかったわ。そこまで言うなら授けましょう。

 スキル名は《ラッシュ・フリューゲル》――“まつ毛の翼”」


お姉ちゃん:「(うっとり)美しい……!」

女神:「まつ毛を意識すれば、風に乗って一瞬だけ舞う。

 誰かの頬に触れれば、その人の心を静める効果があるわ」

お姉ちゃん:「……え、意外とちゃんと使える!」


妹:「お姉ちゃーん! そのリボンほひー!!」

お姉ちゃん:「落ち着いて――《ラッシュ・フリューゲル》!」


フワッ……

まつ毛が一枚、金色に輝きながら宙を舞い、妹の頬に触れた。


妹:「あ……なんか……どうでもよくなってきた」

お姉ちゃん:「成功!」


両親:「お姉ちゃんなんだか――」

お姉ちゃん:「……(スッ)」

両親:「……ウホ(静かに着席)」


屋敷が、静まり返った。


女神(上空で拍手):「やっと……まともに平和なスキルに出来たわね……!」



夜。

お姉ちゃんは鏡の前でそっとまつ毛を整えた。


お姉ちゃん:「……飛ばすたびに減っていくのかしら」

女神(小声):「だいじょうぶ、夜に生えるから」

お姉ちゃん:「……リサイクル式!?」


妹(寝言):「お姉ちゃんのまつ毛……ほひー……」

お姉ちゃん:「(笑いながら)だめよ、これはもう飛んでるの」


風が吹き、どこからか一筋のまつ毛が舞った。

静かに光りながら、誰かの夢の中へ――。



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