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与える姉と、欲しがる妹の終わらない朝  作者: はるかに及ばない


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10/24

― 光、分かたれて ―

《ルクス・オクルス》の力で屋敷は平穏を取り戻した。

姉の目が光るたび、空気は澄み、鳥がさえずり、紅茶はなぜか理想の温度になる。


だが、ある日。

妹がその光を見つめながら、小さく呟いた。


妹:「……いいなぁ。お姉ちゃんの光……私も欲しいなぁ」


お姉ちゃん:「え?」


妹:「だって、その光、あったかくて、優しくて……

 見てるだけで、なんだか泣きたくなるの。

 ねぇ、お姉ちゃん、その光……少しだけ、ちょうだい?」


お姉ちゃんの背筋に、かすかな緊張が走る。



妹:「お姉ちゃんの光、ほしい……」

お姉ちゃん:「だ、だめよ! これはあなたを守るためのものなの!」


妹:「そんなのイヤ! 守られるより、一緒に光りたいの!!」


――キィィィン

妹の胸から微かな光が漏れ、

空気がざわめいた。


女神の声が天から響く。


女神:「……あらあら。また始まったのね」


お姉ちゃん:「女神様!? どうすれば……!」

女神:「あなたの“光”は優しすぎて、分けようとするだけで他人を照らしてしまう。

 でも、妹さんが本気で“ほしい”と言えば、その光は――分裂するわ」


お姉ちゃん:「まさか、また爆発とか!?」

女神:「……今回は、光だから爆発しない。ただ、世界が少し眩しくなるだけ」



妹:「お姉ちゃん、私、もう我慢しない!」


お姉ちゃん:「妹っ!!」


光が奔流となり、屋敷全体を包み込む。

風が止まり、時間がゆるやかに歪む。


――そして、ふたりの姿が浮かび上がった。


お姉ちゃんの瞳は月のように柔らかく、

妹の瞳は朝日のように眩しく輝いていた。


女神:「ふふ……片方は“静寂の光”、もう片方は“希望の光”。

 どちらも、この世界に必要なのよ」


お姉ちゃん:「……妹、もう“ほしい”とは言わないの?」

妹:「うん。だって今は、“一緒に光ってる”から」



その後、伯爵家は再び騒がしくも温かな日々を取り戻した。


両親は相変わらず感情的だけれど、

「譲りなさい!」の代わりに「照らし合いなさい!」と叫ぶようになり、

屋敷では“光る姉妹”が名物になった。


執事:「お嬢様方、少々眩しすぎて……サングラスを発注いたしました」

妹:「ふふ、まぶしいのは平和の証よ!」

お姉ちゃん:「……まぶしいのはあなたのテンションよ」


女神(遠くから):「はぁ……やっとバランスが取れた。

 でもこの姉妹、また何か起こすんだろうなぁ……」



エピローグ ― 光の果てに


夜。

お姉ちゃんと妹はバルコニーに並んで座っていた。

それぞれの瞳が、静かに星空を映している。


妹:「お姉ちゃん、ねぇ、次はどんなスキルが欲しい?」

お姉ちゃん:「もういいの。私は、この光で十分」

妹:「……そうだね。私も」


お姉ちゃん:「でも、もしまた“何か欲しくなったら”……」

妹:「その時は、一緒にお願いしようね」


ふたりの光がひとつに重なり、夜空に金色の軌跡を描いた。


――それはもう、誰も壊さず、誰も傷つけない、

“優しさのかたち”だった。


眼光スキル編

――完。

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