第94話 たった一輪の華 その①
■TOPIC:オーラについて
一部の超能力者に備わっている光のこと。基本的に何かをしてくれる訳じゃないので、意味があるかと言われれば微妙。
作中にも出ているように、その人間の感情の起伏などを表している。
超能力部、及び+αの人々
鬼円:オレンジ色のオーラ、某戦闘民族みたいなオーラをしている。
香蔵:山吹色のオーラ、上から降り注ぐようなオーラをしている。
狸吉:実はない。ただ、空気中の摩擦で熱を起こしているので周りで火花が散ってる。
金之助:赤色のオーラ、金之助の鼓動と同期してオーラが揺れ動く。
氷雪:水色のオーラ、まるで氷に包まれているかのようなオーラをしている。
悪噛:紫色のオーラ、悪噛が向く方向にトゲトゲさせるようなオーラ。
などなど。
8月25日。
私たちはエアコンをガンガンにつけた部室に集まって地図を見ている。
「金之助、ほんっとうにここなんだね?」
「間違いないッス。アイツ、ここを拠点にしてます」
アイツ。たしか、アクゼリュスとか言ったやつ。
あいつは殺さないといけない……。金之助君が見つけてくれた拠点は、海沿いの工場らしい。
ならば、ここを全力で叩く。
「……鶴愛ちゃん、そして……快弦ちゃんの仇討ち、行こっか」
「「「「はいっ!!」」」」
私たちは、頷いた。
◇◆◇
「えーっと、これは?」
「あん? 木刀と鉄の鉞だろ」
「いや違くてね?」
なんでそんなもんを二人が持ってるのって話なんだよね。君たちに言ってんだよ鬼円と金之助君。
っていうか、木刀は分かる。鉄の鉞は危ないっていうか、持っちゃダメって言うか。
「護身用ッス。ま、鬼円先輩がいる限り大丈夫だとは思うんすけどね」
「あぁ、助けるつったしな」
そりゃそうだけども……。
私はなんとも言えない顔で手に持つ。……あんまり、重くない? 木刀の方は軽いし……。
「凄いっすね、その鉞、俺でも片手で持つの辛いんすけど」
「えっ?」
「お前いつの間にそんな力手に入れてたのか?」
「えっ? えっ?」
私は汗を垂らす。
狸吉さんがちょいちょい、と手招きする。鉄の鉞を渡すと、両手で持ってプルプル震えている。
「これっ、お、おもっ!?」
「えっ」
私今片手で持ったんですけど。え、片手で持ってたんですけど。
香蔵さんは顎に手を当てて私をマジマジ見る。
「ん〜、なんかあったのかなぁ。リミッターが外れた、のかな?」
「よ、よく分かりませんけど……た、戦えるならそれに超したことは……!」
「ダメだよ、春乃ちゃんは後ろで見ててね」
「そ、そん、な!」
当たり前だろ、と言わんばかりに鬼円が頭を撫でてくる。
そして、次に狸吉さんも肩にポンッと手を置いてくる。
「……分かり、ました」
「俺らで勝つから任せろっての」
鬼円の言葉に私は仕方なく頷く。
やっと、アイツを殺せると思ったのに。クソッ、よく分からないけど、筋力? とか、脚力が上がってるのに、戦えないだなんてもどかしい。
……っていうか、今までも肉弾戦的なのはやってきた気がするんだけどね。
私が、やりたかったな。
「……金之助」
「…………」
鬼円の言葉に金之助君は反応しない。
不思議に思ったのか、香蔵が近づいてみる。目の前で手をひらひらと振る。
「!? ……あっ、えーっと?」
「お前、気張りすぎだ。突撃するにしても、人気が無くなる頃……だからな」
「分かってますよ、それぐらい〜」
うへへ〜と、笑う金之助君。
本当に大丈夫なんだろうか……。いや、いちばん悔しいのは、おそらく彼女の近くに一番いた……寄り添っていた、金之助君なのだろう。
それなのに、私みたいに激昂しないで、凄いなぁ。
とはいえ、やはり……思う節はあるのか、オーラが揺れている。
金之助君のオーラは、意外にも……赤色のオーラだった。
鬼円のオーラや香蔵さんのオーラとはまた違う雰囲気の……オーラが定期的に揺れ動くのだ。まるで、心臓のように。
色んな人にオーラがあることを知った。
それが、その人の感情の起伏を表しているのも知った。
だからこそ、これが……金之助君の決意の証なのだろう。
それを分かっているからこそ、鬼円はニヤリと笑って、肩を叩いて親指を立てるのだった。
「そんじゃあ、作戦決行は今日ね」
香蔵さんの声に私たちは頷いて、その場から離れる。
風が靡く。
強く強く頬を撫でるその風は、まるで私たちを後押しするかのような暖かい風だった。
真夏の夜のはずなのに、不思議と暑さはやんわりと無くなっていて、嵐の前の静けさを物語っていた。
作戦決行まで、残り……わずかだった。




