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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
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第90話 表の裏は…… その③


『お前は、いらない子なんだよ!』

『近付かないで。ただのガキが……あぁ、こんな子産まなきゃ良かったわ』

『バチカル様に近づくな。化け物になれないただの人間が……!』

『テメーはどっちの味方だァ? まだ人間のことを思ってんのかァ?』


 たくさんの、言葉が胸を刺す。

 刺して、刺して刺して……それでも、あの人たち(超能力部)は、私に手を差し伸べてきた。

 私は、何が出来るんだろう……?


 ふと、冷ややかな目が……冷たい感触が、私の背中を襲ってきた。

 ……きっと、これは…………走馬灯、なんだろうな。


















「……じゃあ、帰ろうか」


 私は、カイツール……快弦ちゃんの手を、自分の手で包み込む。

 快弦ちゃんは、私の言葉を聞いてこちらをバッと向く。


 そして、口を開いた。


「なんで?」


 そのまま続ける。


「私は……あなたを騙したのよ…? なんで、それなのに……そんな……真剣な目が……優しい目が出来るの?」


 私は口を開けた。

 それは、私が本心から思ってる言葉だ。


「こんな話を聞いて、こんな泣かれてるのに……許さないわけ、無いでしょ?」

「……っ!」

「まだ終わってないよ。あなたの人生は、私たちが保証するからさ」


 快弦ちゃんは、目をうるわせて、口をつむぐ。

 それに……快弦ちゃんが本当に私を殺す気なら、私はもうとっくに死んでるはずだから。


「きっと、やり直せる。ここからなんだよ」

「……私が……?」

「うん。だから、帰ろう? みんなも待ってる。きっと、香蔵さん達も許してくれるよ」


 快弦ちゃんは遂に、目から涙を零して、嗚咽する。

 私は黙ってそれを、微笑みながら見ていた。


「私も、仲間に……なれる?」

「なれるよ」

「私も、一緒に……海に行ける?」

「行けるよ!」


 快弦ちゃんを抱きしめて全てを肯定する。

 きっと快弦ちゃんは……やり直せる。それほどまでに、優しいんだもの。


「ありがとう。春乃先輩……」

「うん」


 私はニッコリと笑って、快弦ちゃんと共に立ち上がる。


「それじゃあ、帰ろ……」


 私は帰ろうと言おうとして、止めた。いや、止まらざるを得なかった。

























 ……快弦ちゃんが赤い液体を吐いた。















 吐き出した赤い液体が飛び散り、私の頬に付く。









 私はそれを手で拭い、見る。






 ……生暖かい、血が……手に付いている。


「……へ?」

 

 私が声をあげると、快弦ちゃんが前へ倒れこむ。私はそれを体を使って支える。


「快弦ちゃん? 快弦ちゃん!!」

「……ゴフッ……?」


 また血を吹き出す快弦ちゃん。

 私はパニックになっていた脳を抑え、周りを見る。


 上の階から物音が聞こえる。拍手のような音だ。見上げると、誰かが手を叩いていた。

 軽快な拍手。それが、耳元でずーっと鳴り響いている。


「ナイスだよ春乃ちゃん……だっけ? おかげで楽に殺せたよ」


 快弦ちゃんの体が段々と冷えていく。


「快弦ちゃん!お願い!」

「……ゴホッ…ゲホッ……!」

「ダメだよッ!!! なんで! なんでこんな!!」


 何回も呼びかける。止まれと望む。なのに、なのに……快弦ちゃんの血が吹き出している傷口を押さえているはずなのに。

 止まらない。赤い液体が次々と。


「待って! お願い!! 止まってっ!! まだ、話も出来てない!!」

「春…乃……」


 快弦ちゃんは私の名前を小さく呟く。

 その後に、私の顔に片方の手を伸ばし、もう片方の手を私の手に…強く握りしめた。

 私は涙をこらえて、彼女の顔を見つめ続ける。やだよ、死なないでよ!


 それでも。


「いま、まで……あ……りが……と…………う……」

「快……つ、る……ちゃん…………?」


 快弦ちゃんは、静かに目を閉じた。 


「アッハハハ! 死んだんだ! 死んじゃったねぇ〜!! ダハハハハハ!」


 快弦ちゃんは最期。私の手を握ったまま。息絶えた。

 目の前が真っ暗になるような感覚に襲われる。



「……」

「死〜んじゃった死んじゃった! カイツール死んじゃった!」


 何も聞こえない。

 ただ、ただただ。ドス黒く、グツグツと何かが煮えたぎるような、そんな感情が流れ込む。


 私は上にいるやつを睨みつけて、そして、飛び上がり、殴った。思いっきり。自分の出せる全力の力で。



「……ハハッ、なんで飛び上がれるんだよ」


 私は、口を拭っているソイツを見る。







 多分、私には一生訪れないはずだったであろう感情。


 どんなに嫌なことをされても、どんなに最悪な状況にあっても、言わなかった言葉。


 どうしても、他人に言う勇気がなかったはずの言葉。


 私の中で出た言葉。


 その言葉を目の前のこのクズ野郎に放った。


 確実で、明白な……




 殺意(・・)を持って。



「ぶっ殺してやるっ…………!!!!!!」



























 ◇◆◇






























「茨城ってなんでそんな所まで行ってんだよあんの馬鹿共!!」

「先輩! フルスロットルっす!」


 俺と金之助は息を切らしながら走っていた。

 香蔵から聞いた話では、2人とも東京から茨城へと向かったらしく、さらに廃ホテルにいると言う。


 そんな情報だけで分かるわけないだろとは思っていた。

 香蔵だけではなく、狸吉先輩も、冷世も同じく探していて、虱潰しに廃ホテルを探していた。


 そして、やっと最後のひとつになったため、近くにいた俺と金之助で向かっていたのだ。


 廃ホテルだろうがなんだろうが知らない。

 友達を助けるために、それだけの為に俺は乗り込む。


 廃ホテルの目の前に着く。その瞬間、鳥肌が立った。


「先輩、なんかいるっすよ。ここ!!」

「間違いねぇ……!」


 ツァーカブと同じような気配……間違えるはずがない。奴らだ。


「金之助! 他の奴らに電話は?!」

「もう掛けたっす!」

「よし。俺から乗り込む! 付いてこい!」


 俺は廃ホテルの中に入り、上へ上る。その瞬間、大きな物音が廃ホテル内で響く。

 瞬間、上の階で大きな気配を捉える。


 俺は金之助を抱え、後ろへ飛ぶ。


「なんすか?!」


 上の階が崩落した。

 崩落した衝撃で、周りに煙が立ちのぼる。

 金之助は絶句し、俺は目を細め煙の中に誰がいるのかを見る。


 1人はクリフォトの樹のメンバーだろうな。もう1人は……


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっっっっ!!!!!!!!!!」


 叫び声。

 聞いたことある声。っていうか、何度も聞いたはずの声。


「春乃?!」


 春乃が勢いよくクリフォトの樹のメンバーに殴り掛かる。

 ソイツが勢いよく壁に叩きつけられる。


「春乃先輩そんな力ありましたっけ?!」

「いやねぇ!! あんな力どうやって?!」


 春乃は壁に叩きつけたソイツに向かって飛び蹴りを食らわせる。

 俺は金之助を壁の傍に置き、春乃を止めるために飛び掛る。


「春乃!」

「どいて!! 邪魔しないで!!」


 何があった!?

 敵は立ち上がり、口元を拭う。


「春乃! 落ち着け!!」

「おいおい、落ち着けよ狂犬野郎。俺はカイツールちゃん……快弦ちゃんを殺しちまっただけだぜ?」


 ソイツの言葉に俺が目を見開く。

 嘘だろ……? その言葉に金之助も驚いたように口を開ける。


「嘘だ……」

「事実なんだけど。てかお前ら誰だよ……」


 春乃が俺の腕をバッと押し、拘束から逃れる。

 春乃は敵に向かって再び拳を振り上げ、叩き付けようとする。


「……ハッ、成程なァ…カイツールのヤツ。やりやがる」

「黙れ……!」


 春乃が口を開いて、ソイツを睨む。

 その目は、とてつもない殺意に染まっていた。


「お前が、快弦ちゃんの名前を呼ぶな……! 絶対に、絶対にお前を……殺してやる……!!」

「殺してみろよ。狂犬野郎」


 敵は挑発して、春乃がそれに乗っかりそうになる。

 その瞬間に、俺は春乃の顔を思いっきり引っ叩いた。


「何してやがる。春乃」

「…っ………」


 春乃は腕を振るわせたままの状態で止まる。

 俺は腰につけている刀に手をつけ、鞘から刀を取り出し、そいつに先を向ける。


「てめぇが誰だかは知らねぇ。だが、お前はコイツが激怒するほどの……快弦の奴を殺しやがった」


 俺は能力を発動させる。

 ソイツは、目を見開いた後にニヤニヤと顔を歪める。


「殺される覚悟は出来てるんだよな? あぁ?」

「クククッ……いいねぇ、お前冷静じゃねぇか。だが、時間だ」


 そいつは窓の方へ後ろ飛びしながら口を開いた。


「俺はアクゼリュス! この名前覚えておけ! 特に狂犬野郎! また会おうぜ!!」

「逃がすか!!」


 春乃が走り出すも、アクゼリュスと言ったソイツは窓から外へ飛び出し、森の方へと駆けて行ってしまった。

 そのまま追おうとして外へ飛び出そうとする春乃の肩を俺は掴んだ。


「……離して」

「ダメだ」


 春乃は窓の縁に手を掴み、そのまま力を込めたあと、座り込んだ。


「……何があった」

「私のせいだ」


 俺が話を聞こうとすると、春乃がそう呟いた。


「……私のせいで、快弦ちゃんが……」

「…」


 俺は黙ることしか出来なかった。

 金之助はとっくに建物から出ており、外で香蔵達が何があったのかと聞いてる。

 すると、春乃が俺に抱きつく。


 びっくりした俺は春乃をバッと見る。


「…ごめんなさい……ごめんなさい……!」

「……お前は悪くないよ。悪いのはアイツだ」


 俺はそう言って、春乃の頭に手を置いて撫でて、抱きしめる。

 春乃は涙を零し、嗚咽を始めた。


 俺は何も言わないまま、春乃をジッと、そのまま眺めていた。




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