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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
88/92

第88話 表の裏は…… その①


 8月も後半に入ってきた。

 あれだけ長かった夏休みも、もうそろそろ終わりを迎えるのだ。

 怒涛の夏休み、と言うべきだろうか。様々なことがあった。


 けれども、いまやるべきなのは……そんな思いにふけることではない。

 私は学校近くの図書館で様々な書類を見ていた。

 ここ10年で起きた……『殺傷、および毒を用いた殺人事件』を調べていたのだ。

 そう、鶴愛さんのことだ。

 黎矻先生曰く、鶴愛さんの殺され方は殺傷なのだが、毒も盛られていたというのだ。


 第2の刃、と言ったところだろうか。用意周到で腹が立つ。

 私は怒りを抑え、紙をめくる。

 様々な事件がある中で、こんなにも限定的な殺人事件は少ない。だからこそ、一発でわかるというものだ。


「……犯人は何人もの死人を出して……そして、壁に打ち付ける……()()()()()()()


 資料は集まった、けど……一つだけ違う。

 この8年前に起きた事件だけ、死体が壁に打ち付けられていないらしい。

 ただ、それだけを除けば……連続殺人の犯人が……鶴愛さんを殺したことになる。鶴愛さんと同じ死に方をしている被害者が何人も出てるからだ。


 ……こいつが、この犯人が……鶴愛さんを殺した。

 逃がすものか。必ず見つけ出して、報わせてやる。


「……香蔵さんに、みんなに伝えよう。その後は……」


 色々考えながら、図書館を出る。

 っていうか、図書館にこんな本が置いてあることも問題だけど……。

 ……あれ?


「……快弦ちゃん、かな?」


 確かにあの後ろ姿は快弦ちゃんだった。

 けれども、なんでこんなところにいるんだろうか。特に今日は用事もないはず……なのだが。

 快弦ちゃんは周りを気にするかのようにして、歩いていく。私はその後ろをつける。


(って、何をしてるんだろう私は……)


 後ろをつけるだなんて、最低だろう。普通に話しかければいいのに……。

 ふと、風が吹いて、快弦ちゃんの髪の毛が揺れた。






 ……これは、これは、香蔵さんからも、狸吉さんからも説明されていた。

 だからこそ、目印になるねと意気込んだのだ。

 奴らは、私たちの敵対している『クリフォトの樹』と呼ばれる集団は…………体の各部位どこかに、『数字』と『i』という文字が一緒についているらしい。


 快弦ちゃんの、首筋。

 正しくいえば、うなじの部分。


 『6i』の文字が彫られていた。


 嘘だ、嘘だと脳内で無理やり思考を抑える。

 それを見て、思考し、理解してしまった今、私は吐き気と目眩に襲われた。

 そんな、そんなことがあるわけがない、と汗を垂らす。だが、現実は……。

 私は、隠れて後をつける。

 嘘だ。きっと、なにかの冗談に決まっている。

 メイクとか、火傷とか、悪いことだけど、もしかしたらそういうタトゥーなのかもしれない。


 だが、心の中で何度も何度も思考を否定しようとしても、それは事実だと現実は押し付けてくる。


「……学、校……?」


 彼女は、もう閉まりかけている学校へと入っていった。

 夕焼けが、肌をヒリヒリと刺す。

 蒸し暑い。どの教室も、既にクーラーを切っているようだった。


 セミの鳴き声がする。

 野球部は帰ったのだろうか、練習している声は聞こえてこない。

 セミの鳴き声しか、しない。嫌ってほど、静寂に近かった。


「……シェ……それ……どくさい……」

(誰かと、会話……してるの、かな?)


 私はドアから隠れ見る。

 ゾクッという気配に襲われ、口元を抑える。

 初めてだ、こんなに寒気に襲われたのは。


 ……教室に、ヤバいのがいる。

 感覚というか、感触というか、とにかくこの教室に入っちゃいけない感覚がする。

 さっきまでの吐き気が襲ってくる。いや、さっきよりも強い。

 声が出そうになる。助けてと叫びたい。


(飲み込め、飲み込め、飲み込め、飲み込め!!)


 必死に黙り込む。

 ……ふと、会話が終わったのか、双方が黙り込み、なにか物音が響いたあと、止まった。


 私は、再びドアから隠れ見る。

 今度は、快弦ちゃん一人だけだった。左手で右腕を抑えていて、その場に立っていた。

 ふと、快弦ちゃんが振り返ってきた。


 目と目が合う。


「……ぁ」


 小さく、快弦ちゃんの声が響いた。

 彼女の隠れていた瞳が見えた。……顔が、ぐちゃぐちゃだった。

 グロテスクというか、肉が(ただ)れてて、赤く染まってて……とても、人のような顔ではなかった。


 瞬間、ガラスが割れて、快弦ちゃんがいなくなった。


「……か、い……つるちゃん……」


 私はその場を勢いよく離れて、追いかけることしか出来なかった。


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