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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
83/92

第83話 恨みは続くよどこまでも


「アクゼリュス……アクゼリュス!!」


 黒い通路を歩く1人の少女が、名前を叫ぶ。

 アクゼリュスは持っていた鎌をしまって、振り向く。

 片目を髪の毛で隠した少女が強い勢いで歩いてくる。そんな様子を見て、アクゼリュスはへっ。と鼻で笑う。


「なんだよ、カイツール?」

「なんでだ。なんであんなことをした!!」

「なんでって……あぁ、あの鶴の話?」


 アクゼリュスはヘラッという。

 カイツールの眉間にさらにシワが入る。その様子を見て、おいおい、と声を上げるアクゼリュス。


「なんでそんなにキレるんだよ? あいつらは敵だぜ?」

「敵だとしても、やり過ぎだ!!」

「ッカ〜! これだから人も殺したことねぇ〜甘ちゃんはさぁ」


 カイツールの目が光る。アクゼリュスの手が鎌を握る。

 お互い、睨みつけ合い、己の武器を握る。

 そして、ぶつかり合うその瞬間、声が響く。


「やめなさい。バチカル様が来るわ」


 その声に、2人が止まる。

 廊下の奥からやってくるのは、バチカルと呼ばれる大男。瞳に、「1i」という文字が見える。

 バチカルの雰囲気に飲まれ、二人は黙り込む。


「カイツール、監視はどうだ?」


 バチカルがそう言う。

 カイツールは、少し躊躇ったあと、口を開けて話し始めた。


 カイツールは、春乃のことや、鬼円の特技、癖。超能力部に関する情報を全て、バチカルに報告した。

 カイツールの情報を聞いたバチカルは二度、三度頷いた。


「なるほど。あんまり怪しまれるような行動はするなよカイツール」

「分かってます。バチカル様」


 カイツールは言う。

 ……ここまで来て、分かっただろう。


 カイツールは、快弦(かいつる) 惡良(あくら)なのだと。






◇◆◇








 私、快弦(かいつる) 惡良(あくら)という少女は、クリフォトの樹のメンバーである。

 現在は、バチカルと呼ばれる男の命令で、超能力部に入って潜入調査、みたいなものをしている。

 ……理由は、一つ。仲間であるツァーカブとキムラヌートが超能力部に殺られたからだ。それだけの事で、ここまで警戒するなんて思ってなかったけど。


 私のやるべき事は奴らの弱点を暴いて……殺すこと。

 無駄な情なんてない。奴らに何の思いもない。……なのに。


『ん? そりゃあ、『()()』ッスから?』


 アイツの言葉が、頭に回る。


『快弦さんが、可愛いからそう言ったッス。隠されてても、笑顔は隠れませんから!』


 アイツの言葉が、グルグル回る。


『俺、快弦さんと色んなことしたいッスから』


 何も知らないくせに。

 何も分かってないくせに。

 私の事なんて知らないくせに。


 それなのに、なんであんなこと言えるの?

 なんで、私の決意を揺らがせてくるの?


 春乃も、香蔵も、鬼円も、狸吉も…………金之助も。

 みんな、私のことを怪しんだりしないの? どいつもこいつもどいつもこいつも……なんで、なんで。


 私は静かに拳を握りしめる。

 そんなことされたら、もう……どうしようもないじゃない。

 あいつの言葉がグルグルと回って仕方がない。

 なんで、可愛いとか言えるわけ? 女誑しなの? それとも、本心なの?


 分からない、分からない分からない。


 ……やめてよ。変なこと、言わないでよ。

 そんなこと言われたら、そんなことされたら……。


「私、好きになっちゃうよ……」


 その言葉は。

 私の、心の底からの本心であった。


 だからこそ、超能力部のみんなを悲しませたくない。どうすれば、いいんだろう。

 考えろ。私は、どうすればいいんだろう。

 ……とにかく今は、奴らの言うことを聞いてないと。その後に、金之助達と一緒に攻めこめば、きっと勝てる。

 そうだ、そうしよう。


 鬼円達を見てきたからわかる。超能力部は、必ず勝てるはず。

 クリフォトの樹なんてすぐにぶっ潰せるはずだ。

 なのに、どこか不安になっている。


 ……今のみんなのテンションはダメだ。完全に下がりきってしまっている。

 なにか、何かこれを挽回するような『何か』が無いとダメだ。


 ……どうやって? 私なんかがどうやってみんなのテンションを上げるの?

 分からない、分からない。分からないことだらけだ。


 けれども、諦めちゃダメだ。

 それでもやっぱり、自分の正体を明かすことは怖い。

 きっと、私の正体を明かせばずっと楽になる。

 でも、みんなはどう思うんだろう。それが、怖い。

 私が弱気になってどうする。もっと頑張れるでしょ。


「……金之助。あなたみたいに……前向きになれるかな……」


 今その場に居ない、そいつのことを考える。

 私は、人じゃない。人じゃないから、誰かを助けるだなんてことが出来なかった。

 ……私も、金之助みたいに……超能力部みたいに、誰かを助けることが出来るのかな?


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