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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
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第76話 浴衣ってイケメンが着ると映えるよね


 7月26日。

 夏休み入って1週間が経って間もなく。私たちはそれぞれ、学校に集まっていた。

 午後に何しに来たのか、と言われれば……


「さぁ、先生も行きますっすよ!」

「ほらほら! 諦めてください先生!!」

「んだお前ら!!」


 香蔵さんと金之助君が黎矻先生の服を引っ張っていた。

 なんでも、花火大会があるから絶対来てください、と約束していたのにも関わらず中々準備をしていないからということで強制連行するんだとか。

 私と快弦ちゃん、そして狸吉さんはそれを苦笑いで見ていた。


「あんなにしなくてもねぇ?」

「いや、あそこまでしないと来ないって言うか……」

「先生にも先生の用事があると思うんですけど……」


 私の言葉に、狸吉さんと快弦ちゃんがそう言う。

 いよいよ、香蔵さんと狸吉君の持っている部分がちぎれそうになってきたところで、黎矻先生が折れた。

 黎矻先生はため息をついて言った。


「行ってやるから、行ってやるから!! ……もって2時間だ分かったな?」

「ケチ!!」

「2時間だけっすかぁ!?」

「あたりめぇだろ!!」


 黎矻先生と鬼円ってなんか似てるかも。

 なんかこう、2人に振り回されてるっていうか……怒り方とか、折れる時とか……とにかく色々と。

 黎矻先生はパソコンをパタンと閉じて、立ち上がる。


「……今日の業務は明日に移して……あ〜……」

「先生も大変だね……」

「そうですね……」


 私と快弦ちゃんはそう言い合う。

 黎矻先生が駐車上まで行き、車のドアを開けたところで……着いてきた私たちの方を向いた。


「……何してる?」

「えっ、乗せてってくれないんですか?」

「お前ら先生のことなんだと思ってんだ!?」


 私は元々電車で行く予定だったのだが、香蔵さん曰く……


『あの先生なら必死に頼めば絶対折れるから! ね!』


 とのこと。

 それを聞いた黎矻先生は大きなため息をついた。

 ふと、何か……ペンダント? のようなものを見つめた後に、小さく「分かったよ」と呟いてからドアの扉を開けた。


「……シートベルトはしろ」

「やった! ありがとねクロッチー」

「次それ言ったら下ろすからな」

「……ごめんなさい」


 香蔵さんと狸吉さん、快弦ちゃん、金之助君が後ろに。私が助手席に座ることになった。

 私は隣に座ってシートベルトをして、黎矻先生の方をチラッと見る。


「……それ、ペンダントですか?」

「あぁ」


 私がそれを取って、中身があることに気づいた。俗に言う、ロケットペンダントと言うやつだ。

 カパッと開けると、そこには……イケメンだなぁ警察官の姿が。

 そして、その隣には……黎矻先生のような人がいる。


「……警察官?」

「……あぁ、俺の親友の」


 へぇ、と呟く。

 黎矻先生、警察官の親友がいたんだ。この人は、今、何をしてるんだろう?

 私が聞こうとすると、いきなりの衝撃にボフッと背もたれに体を埋めた。


 なになに!?


「先生!?」

「……んだ?」


 前を見ると、渋滞していたらしい。

 何が起きてるのか、と窓から顔を出して前を見ると、なにやら……事故、が起きたようだ。


「……チッ、脇道行くぞ」

「……へ?」


 先生がハンドルを切り、曲がる。

 その道は……ほんっとにギリギリの脇道であった。

 私達はそれを見て、みんな揃って真ん中の方による。しかも、30kmぐらいのスピードで走ってる!?


「ぅぅぅうううおおおっ!!?」

「先生! もう少し! もう少しスピードを落としてください!!」


 私達の絶叫がその場で響いた。








◇◆◇










「……し、死ぬかと……思った……」


 私達は車から降りて、息を吐く。

 リアクションが大きいな、と呟く黎矻先生。いや、黎矻先生……脇道を30kmで走って、しかも、段差がある場所でノンストップ走行なんてしたら、内蔵が浮きますって……。

 私は、気持ち悪さを少々抑えて、鬼円に電話する。


「鬼円、今どこ?」

『俺と鶴愛はもう着いてる。着物屋んとこだ』

「ん、分かった。そっち行くね」


 着物屋……ということはつまり、浴衣の貸し出しをしている例の店だろう。

 先生も連れて、着物屋の方へと向かう。鶴愛さんと鬼円が立っていて、こちらに気づいたのか鶴愛さんが手を振る。


「よぉ、貸し出しなら……お前らどうした?」

「いや、ちょっと……ジェットコースターっていうか……そんな気分……」


 鬼円の問いに香蔵さんがそう答える。

 黎矻先生はその場から離れようとするが、金之助君と香蔵さんに逃げ場を囲まれる。

 黎矻先生は、仕方がないと言ったふうに着物屋の中へと入った。

 私たちも、その後を追いかけるかのように中に入る。


「どーせ、浴衣を着ろってことだろ?」

「はい!」

「そうっすよ!」


 香蔵さんと金之助君のにっこり笑顔。

 黎矻先生はそれを見て、観念したかのようなため息を吐いて貸し出し出来るかを聞いている。


 私たちも、浴衣とか借りないとね。

 それぞれ、選んだ浴衣を手に取って着用する。着物って意外と難しいんだな……。


 香蔵さんは、金に染まった浴衣を。狸吉さんは、赤色とオレンジ色が混ざったような浴衣。

 鶴愛さんは白色の浴衣と、快弦ちゃんは黒色っぽい浴衣を着ている。

 ……黒っぽい浴衣、あったんだね。


「おぉ……春ちゃん、可愛いじゃん!」

「やめてくださいよ……」


 私は、ピンク色の浴衣を着て、出てくる。

 しかも、顔がいいからもっと出しなさい! と店の人に言われてしまい、簪まで……。ううう、なんだか恥ずかしいっていうか……。


 ふと、男性組の方を見ると、先に鬼円が出てきた。


「……おっ、簪か」

「えっ、う、うん……」


 鬼円も浴衣を着て出てきた。鬼円は元々和式な家に住んでいるからか、浴衣がとっても似合う。

 特に、胸元の部分。鎖骨が見えてなんかちょっと……。

 変なことを思っていると、金之助君がバッと出てくる。そので、思考を切り替える。

 金之助君も出てきたところで……。


「なんで俺が……」


 皆でおぉ……と声を上げる。

 黎矻先生が出てきた。白い縦縞に黒を基調とした浴衣……顔がいいから、余計それが映える。


「やっぱ着て良かったじゃん!」

「敬語。……とっとと帰りてぇ……」


 もう少し乗り気で行きましょうよ……。


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