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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
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第68話 パフェ……雨?


「お待たせしました! こちら『魔法のストロベリーホイップクリームパフェ』になります!」

「デカイね……」

「そうだね……」


 私と快弦ちゃんは目の前のパフェに冷や汗をかく。

 いやぁ、多少なりとも美味しく食べれるだろうなと思っていたんだけど、私の顔ぐらいあるパフェに恐れ入った。


 快弦ちゃんは震える手でスプーンを手に取り、一掬い。

 そして、そのまま口の中へと入れて……


「ん、甘い……甘っ!」


 その甘さに悶絶していた。

 甘すぎってことなのかな……。私も一掬いで頬張って……。うん、確かにこりゃ甘いわ。甘っ!!


「甘すぎだね……」

「失敗した……」


 快弦ちゃんはそう言う。

 私は快弦ちゃんを見ながらふと、疑問にも思ったことを呟いた。


「片目隠れ……」

「っ!」


 そう言うと、快弦ちゃんは目を見開いて、その隠れている片目を抑える。

 私はそれを見て、余計困惑した。

 何かしらあるのか……もしかして、顔? 火傷とかか!


「あっ、ご、ごめん! そんなつもりじゃなくて……!」

「…………いや、分かってる。春乃は優しいから」


 呼び捨て……。

 やっぱり、快弦ちゃんの考えてる事は分からないや。

 えーっと話題話題……。


「快弦ちゃん、金之助君と仲良いんだよね?」

「えっ? ん、まぁ……」


 少しだけ困惑したかのような顔をする。

 そんな快弦ちゃんを私は首を傾げてみていた。それが分かったのか、快弦ちゃんは続ける。


「仲良いというか、絡まれてるというか……」

「あぁ、あの子……凄いというか、物凄く仲良くしてくるからね……」

「ほんと! この前なんか、『もっと食べるッス!』とか言って唐揚げを5個くらい乗せてきやがって……!」


 あぁ、やりそう……。

 その後も、快弦ちゃんの愚痴は留まることを知らなかった。


 やれ『もっと運動するッス』と言われ、無理やり走らされたり。

 やれ『楽しくやるッスよ!!』と言われ、グループ活動に無理やり捻り込まされたり。

 やれ『クラスのためにやるッス!』と言われ、無理やり学級委員にさせられたり……。


 なんかその、うん…………大変だね。


「ほんっと、いい迷惑って言うか……」

「……快弦ちゃん、意外と金之助君と仲良くやってるんだね」

「ふざけないでよ!?」

「……っふふ」


 私の笑い声に快弦ちゃんは訝しげにこちらを見る。

 私は首を横に振って、悪気は無いことを示してから言った。


「いや、最初はクールみたいな感じだったからさ。そういう感情はあるんだと思ってさ」

「……! ……いや、私は……その……」


 言い淀む快弦ちゃん。

 その後、快弦ちゃんはふと、窓の方を向く。

 ……ん? ざぁって、雨みたいな音が……。私も釣られて窓を見て……


「……あっ」


 雨、降ってきちゃった。









◇◆◇









「いやぁ、私の家の近くで助かったよ」

「……お邪魔します」


 どーぞどーぞ。

 私はそう言って中に案内する。とは言っても、アパートの一室なのでそこまでいいものは無いけれども。

 まさか雨が降ってくるとは思わず、2人で顔を見合せてパフェを思いっきり速く食べてきたのはさすがにまずかったな……。なんか、甘いものが口の中から出てきそう……。

 既に帰ってきていたのか、鶴愛さんが服を織りながらこちらにぺこりとお辞儀をする。


「……あっ、鶴愛さんって言うの。超能力部の……えー……マスコット……?」

「えっ、わたしって「ますこっと」でありんしたんでありんすか!?」


 鶴愛さんはそう言って自分を指さす。

 うーん、多分……そう? 私がそんなことを言っていると、快弦ちゃんは私の布団にぼふんっと飛び乗る。

 私はその光景を見て、おもむろに携帯を取りだして……


「……撮ったら殴りますよ」

「……あっはは、撮らない撮らない」

「そう言ってカメラ構えられるとさすがに信じませんよ?」


 いやぁまさかぁ? 別に私が今からシャッター音の鳴らないカメラのアプリをインストールするわけ……。

 私はニッコリ笑いながら隣に座る。


 快弦ちゃんは少しだけ顔をうずくめた後、こちらを向く。


「……春乃さんは、人生に絶望したことあります?」

「えっ?」


 いきなりそう聞かれ、戸惑う。

 それも、快弦ちゃんからの問いなので余計であった。

 とはいえ、答えないとダメだよなと思い、考え込む。


 ……人生に、絶望……か。


「あんまり? って訳でもないな」

「……」


 些細なことで、それも、ほんっとに些細なことで。

 例えば、テストで点数を落とした時。例えば、好きなアニメの推しキャラが死んだ時。例えば、例えば……。

 数え上げたらキリがないが、ほんの少しの些細なことでも私……というか、ほとんどの人は絶望してると思う。

 それこそ、金之助君みたいな人生をちゃんと楽しく謳歌してる人を、素直に羨ましいと思うし。

 ……だけど、そんな絶望は軽く済んでいるんだと思う。


「……だって、そうじゃなきゃ……人なんて死なないでしょ?」

「……。死ぬ?」

「うん、戦争とか、紛争とか……小さな争い事がぬでっかくなって、それが人を襲う……。それは、大きな絶望ってやつじゃないのかな?」


 私の言葉に、ほんの少しだけ目を見開く快弦ちゃん。

 鶴愛さんは機織りしながら、黙って聞いていた。


「……今日、ここで寝る」


 快弦ちゃんは、そう言った。


 うんごめんなんて?


「なんで!?」

「……なんとなく?」

「なんとなく!? 親とかは!?」

「いなーい、というか、まず家もない」


 ……家もない!?

 快弦ちゃんは私を驚かせる単語をポンポン言って、服をポンポン脱ぎ始めた。

 何故!? なんで!? 何故!!??


「お風呂入る。春乃先輩、風呂借りますね」

「あっ、先輩呼び……じゃなくて!」


 お風呂に飛び込み、扉をぴしゃんと閉めて気付いた。

 そうじゃん、雨降ったじゃん。


「……やっぱりかぁ……」

「……明日、干さなきゃですね……」


 若干ながら雨に打たれた。

 それを物語るかのように、布団は湿っけを帯びていた。


 ……布団、乾かさないと……。


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