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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
62/93

第62話 エンカウント その②



(……クソっ、クソクソ!)


 心の中で自分に悪態をつく春乃。

 そして、折れた肋骨を抑えながら、立ち上がる。


(痛い、痛い……! 直ぐに誰かを……呼びに行かないと……!)


 携帯を取り出す春乃。

 だが、そこに書かれているのは圏外という文字。


「……圏……外…………?」


 ここは、東京だ。そう考える春乃。

 なんとか歩き、作られたフィールドの端につき、そこから下を覗く。

 そして、その光景を見て絶句した。


「私たちは……空中にいるの……!?」


 下には、()が映っている。

 それはつまり、自分たちは空に浮いていて、地上の電波が届いていないということを示していた。

 現在の東京の電波は相当強いが、それでも上空には伸びていない。東京の電波は、約300mが限界なのである。

 春乃の携帯が圏外になっているということは、春乃達は300m以上の高さにいるということを示していた。

 300メートル上空とは、小型無人機(ドローン)の飛行が禁止されているほどの高度。


「こんな高度……アイツ一人で……抑えてるの……!?」


 そう言ってキムラヌートの方を見る春乃。

 香蔵とキムラヌートは大きな音を鳴らし、ぶつかり合っていた。

 香蔵の頬には血が垂れ、キムラヌートはニヤッと笑みをこぼす。まだまだ、どちらも満身創痍ではない。


「どうした? 笑みが剥がれつつあるぞ……?」

「……うっさいわ。ボケ」


 と、言いつつも香蔵は内心考えていた。

 どうすればこの状況を打破することが出来るのか、である。


(可能であれば、春ちゃんを今すぐにでも()に下ろしたい……)


 香蔵は、自身の能力を発動させ、地面に落ちている小石や、岩を蹴る。

 それは、キムラヌートには当たらず、キムラヌートは自身の背中から尖った岩を鞭のように振るう。


「動け動け!! ほらほらほらァァ!! クッハハハハハハ!!!」


 片方の目を見開き、大きく口を開けて笑うキムラヌート。

 香蔵は、『月魂(ルナアルマ):皇帝の幻想イルシオンエンペラードール』で攻撃を防ぎつつ、春乃に近づく。


「どぉっ?!」

「無理です! 圏外! それに、よく分からないけど……下の人達が騒いでないから……()()()()()かもです!」

「透過、いや……透明にして見えなくしてる。それによって、仲間に気付かれずに私たちを殺せるわけだ……」


 なぜ下が騒がないのか。透明化が理由であると2人は踏んだのだ。そして、それは正解に近く、不正解であった。


 唐突だが、石灰岩というものをご存知だろうか?

 炭酸カルシウムを50 %以上含む堆積岩の事である。

 石灰岩は比較的風化されにくいので、山脈中の高いピークや大きな山となっている場合が多い。例えばヒマラヤ山脈のエベレストの頂上や、例えばアルプス山脈のアイガー等は石灰岩で出来ており、日本では伊吹山や藤原岳や武甲山が全山、石灰岩である。


 石灰岩は、白く見える岩だ。

 水色の岩石は、とても珍しいものだ。


 だが、空には何がある?


「不正解だな……俺たちはいま、()()()だ……!」

「……!! 雲と、一緒に動いて……バレないようにしてるのか!」


 例え、雲の下を見たところでそれは白い。

 白い上に、白のものを重ねても白しか見えない。

 雲に乗るかのようにして、土地を隠していたのだ。


(なんつーやり方……!! こんなん、漫画とかアニメとかでしか出来ないでしょーが!!)


 香蔵が心の中で叫ぶ。

 力技と言うには、あまりにも力が過ぎると。

 だが同時に、香蔵は内心ほくそ笑む。


「だけどそれ、結構な力使うでしょ……?」

「……チッ。あぁそうだよ」


 香蔵は齢5歳にて超能力を持ち、そして今でも使っている。経験と知識は超能力部の中でも負けていないが、それら(経験や知識)は自分の武器にもなる。

 超能力は便利な一面や攻撃的な一面を見せる中、どうしても避けられない問題がある。


 それは、エネルギー問題である。

 筋肉を酷使し過ぎれば、筋肉が炎症するように。

 機械を酷使し過ぎれば、どこかでガタがくるように。

 超能力も、酷使し過ぎれば、自身のエネルギーを使う。とどのつまり、ゲームなどで言うMPのようなものなのだ。


「アンタ、いま本気出せないでしょ?」

「……話は、終わりだ!!」


 痛いところを突かれたせいか、話を無理やり切り上げるキムラヌート。

 地面から生え出る幾つもの岩槍を粉砕しながら空に跳躍する香蔵。


「流石の私でも、この量は動かせない……! だけど……!」


 キッとした目つきでキムラヌートを睨む香蔵。

 その目には、ある決意のようなものが宿っていた。


(減らせば、私だって……!!)

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