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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
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第61話 エンカウント


 ツァーカブと鬼円がぶつかるその前。

 春乃は帰宅するために、香蔵は鶴愛に会いに行くために歩いていた。

 たわいもない会話を続けながら歩く2人。

 その前に、とある人物が現れた。


「……あれ?」

「……っ、香蔵さん!」


 春乃はその人物の顔を見て、脳内で警報を鳴らし、香蔵に手を伸ばす。

 だが、その手は、浮き上がった()()により、届かなかった。


「うわぁぁぁぁ!!?」


 春乃の下の地面が浮き上がり、宙に飛ばされる。

 そして、いくつかの物体と物体がぶつかり合い、大きなフィールドのようになる。

 春乃は地面に手をつけて、それに驚愕していると、横から脇腹を蹴られた。


「ごホッ!?」

「貴様のせいだ……」


 脇腹を蹴られたことで、地面に転がり、咳き込む。

 そんな春乃に近づき、再び蹴りを入れる男性。何回も、何回も、何回も蹴りを入れる。


「貴様のせいで、俺は……失望されただろうが!!」

「ァア゛ア゛!!?」


 再び蹴りを放つ。それが春乃にとってまずかった。

 その蹴りは、脇腹ではなく、肋骨辺りにいく。そして、鈍い音と共に春乃に大きな痛みが走る。

 春乃は目を見開き、肋骨を抑えて叫ぶ。


「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」

「チッ、叫ぶなよ……五月蝿いだろうが!」


 コンクリートで作られた丸い球体のようなものを、口に詰める男性。

 その顔は、邪悪に塗れており、ニヤッと笑みを浮かべる。


(なんでこいつが……ここに……!?)


 春乃は脇腹を抑えながら睨みつける。

 その顔に見覚えがあると言ったものでは無い。何故ならば、自分が初めてバールを持ち、殴った相手だからだ。


「キムラヌート……!!」

「ははっ、覚えてやがったのか(アマ)ァ」


 キムラヌートは笑いながら春乃の首を掴み、持ち上げる。

 春乃は脚をバタバタと動かし、キムラヌートの腕を掴み、精一杯の抵抗をする。

 だが、それも虚しく、どんどんと力を込めるキムラヌート。呼吸が出来なくなり、肺にある酸素が減っていくのを春乃はどんどんと感じていた。


(死ぬ……? ここで……死ぬ……?)


 春乃の目から1粒の涙が落ちる。

 キムラヌートはさらにその笑みを横に広げ、口の中から声が出る。……尤も、それは笑い声だが。


「ハハハハハハ……ッハハハハハハハハハハハハハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」


 遂に、春乃の目の前が暗くなっていく。

 春乃の瞼が閉じかけた時、光が辺り一面を照らした。


「『皇帝の幻想イルシオンエンペラードール』!!!」


 剣が空を斬る。

 春乃が落ちると共に、黄色の髪の毛がその周りを舞った。


「大丈夫? 春ちゃん?」

「……か、香蔵……さん……ゲホッゲホッ、ケホッ!」


 春乃が喉を抑え、足りなくなった酸素を取り込み、走らせる。

 香蔵はそんな春乃を見て、微笑みかけてから、キムラヌートの方を向く。


「さて、続きをしようか」

「……てめぇとは戦わねぇつもりだったんだがな……」


 キムラヌートが構える。『皇帝の幻想イルシオンエンペラードール』が剣を香蔵の前に構えた。

 キムラヌートと、香蔵が睨み合う。


「行くよ、『皇帝の幻想イルシオンエンペラードール』!!」

「来いよ、幽霊女!!」


 悪意と満月が、衝突した。








 ◇◆◇











「始まったようだね、カイツール」

「……どうやら」


 カイツールと呼ばれた黒ずくめの人物は頷く。

 その前に座っている男は、グラスを持ちその中に入っているドス黒い液体を1口含む。


「……人間の悪意と血、そして……ワインを混ぜたものは美味いよ。君も飲んでみるかい?」

「……いえ、未成年なので……」

「そうかい、そうやって断られると悲しいねぇ」


 その混ぜ物のワインをもう一口飲む男。

 カイツールは瞳を閉じて、後ろを振り向き部屋から出ていく。

 男はそれを見つめたまま、だが、止めはしなかった。


「さぁて、期待してるよ、ツァーカブ、キムラヌート」


 男はそう呟き、グラスを割った。

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