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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
3章 夏休み編
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第56話 その少女、個性的につき


 入部をしたいと言ってきた片目隠れの……フードの被った女の子は「快弦(かいつる) 惡良(あくら)」と紹介した。凄い名前してる。

 とはいえ、なんで『超能力部』に入ろうとするんだろう。


「なんで超能力部に?」

「私の勝手でしょ?」

「うぐぐ……!?」


 クール系なのか、私の質問をスパッと斬ってしまう。

 そして、ソファに座るとため息をついた。


「もしかして、いないの?」

「こんのクソ(アマ)ぁ……!」

「こら鬼円!!」


 汚い言葉を使うんじゃありません!!

 とはいっても、困ったものだ。

 この子について分かってることが名前と『超能力部に入部したい』ということだけだ。

 それだと会話が続かないため、取り敢えず困った時の必殺技「質問攻め」を開始しようと思う。


「に、入部しようと思った理由は?」

「だからアンタ達には関係ないってば」

「それじゃあ、能力は?」

「それも言わないでおく」

「……し、趣味とかは?」

「特にない」


 【悲報】私、撃沈。

 ここまであしらわれるとさすがの私でもへこむなぁ……。

 すると扉が開く。


「鬼円先輩! 今日はリベンジするっス……って、あれ? 快弦さん?」

「あっ、面倒臭いのが来た」


 金之助君が快弦ちゃんと顔を見合わせるとニコニコになる。

 隣で鬼円が「このコミュ力化け物め……」と呟いているので、どうやらすぐさま話をかけているようだ。


「へぇ、快弦さんも入部したいんっすね!」

「うるさ。って言うか忘れてたわアンタがいるの」

「いやぁ、俺ってば影薄いんすね。もっと精進して影を濃くするっス!」

「なんなの……」


 これには快弦ちゃんに同感せざるを得ない。

 確かにこの言葉責めをされたら誰だって仲良くなってしまうだろう。っていうか私との初対面の時もこんなのだったよね。

 さて、金之助君のコミュ力に驚かされながらも部長である香蔵さんが来るのを待つ。


「あ? 快弦? なんでお前ここに?」


 扉を開けて邂逅一番にそう言ったのは黎矻先生であった。何となく会うのは久々な気がする。

 黎矻先生を見た快弦ちゃんはビックリしたかのように顔を見開く。


「そういえば先生もか」

「おい」

「先生、私を超能力部に入部させてよ」


 そう言って紙を取り出す快弦ちゃん。

 黎矻先生はポリポリと頭を掻きながら私の方を向いてくる。

 まるで、アイツはどこだ? と言いたげな……あぁ、絶対香蔵さんのことだ。


「まだ来てませんよ?」

「はぁ……とりあえず部長が来てからな」

「おっはよ〜! 皆さん〜!」


 噂をすれば何とやら。

 香蔵さんは元気に部屋に飛び込んできた。

 快弦ちゃんと目がバッチリあった香蔵さんは首を傾げる。


「ん? 君は?」

「1年C組の快弦 惡良……です。超能力部に入部したくて来ました」

「ほうほう、それで、入部しようと思ったのは?」


 香蔵さんがそう聞くと、快弦ちゃんは一瞬、眉間に皺を寄せたが、口を開いて説明する。


「人を……助けたくて」

「ふむ、なるほどね。……よし、OKそれじゃあ先生ヨロシク!」

「チッ、即決かよ」

「あのね、超能力部ってちょっとしか部員いないんだよ!? だから大歓迎なのさ!」


 鬼円が舌打ちをすると目を輝かせながら香蔵さんがそう言う。

 黎矻先生が入部届けに名前を書いた後にその紙を鞄の中にしまう。どうやら、書き終えたようだ。


「これでよし、だ」

「よろしく」


 一応、ぺこりとお辞儀した快弦ちゃん。

 それを見て香蔵さんはうんうんと頷き、私の方を見る。


「春ちゃん、超能力部について教えたげて!」

「必要ない。知ってるから」


 香蔵さんの言葉に私が口を開こうとすると、会話の流れを切るかのようにそう言ってきた。

 この子、会話をズバッと切るの好きだなぁ……。


「あのボックスの中に入ってるんでしょ? 依頼的なのが」

「えっ? ま、まぁ簡単なものだけどね」

「それじゃあ行こうよ」


 快弦ちゃんはそう言ってボックスから手紙を取り出す。

 それを見て、鬼円は黙りこみ、香蔵さんですら固まって黙り込んでしまった。

 こ、この学校にはだいぶ個性的な人がいると思っていたけれど、それを凌駕するぐらい……個性的だなぁこの子。


「『ハンドボールが高い木に引っ掛かってしまって取れません』……これ行きましょう」

「えっ、あっ、ちょ……は、春ちゃん! 行ってあげて!」


 1人で出ていってしまった快弦ちゃんを追いかけるように私に指示する香蔵さん。

 私は頷いて快弦ちゃんを追うのであった。





 ◇◆◇










「快弦ちゃん! ちょ、ちょっと待ってよ!?」

「遅い。それに、ほらあそこ」


 快弦ちゃんにそう言われ、木を見上げる。

 確かに、あんな高いところにあったら取れないね。枝と枝の間に上手いこと入ってしまったようだ。


「あれ取ればいいんですよね?」

「えっ、う、うん。そうだけどね?」


 すると、快弦ちゃんは勢いよく飛び上がって、太い木の枝の上に昇った。

 ……へ? え? いま、どうやって上がったの?

 私の疑問を無視するかのように快弦ちゃんは再び木の枝を蹴って飛び上がる。

 そして、空中に飛んだままハンドボールを手に取り、落下してくる。が、途中で木の枝を掴んで威力を殺した後に静かに降り立った。


 わずか数秒のことなのか。そう思わされるほど速い仕事であった。

 私が呆けていていると、快弦ちゃんはハンドボールを持ったまま、歩き始める。


「えっ、えっ、あっ」

「何してるの?ハンドボール部の所まで行くよ」

「う、うん……」


 先輩のはずが、何故だか負けたような気持ちになる。

 快弦ちゃんはハンドボール部の所まで行って、大きく振りかぶる。

 私が止めるより先に、ハンドボール部の使っているコートのゴールエリアに投げ入れた。


 その速度は、まるでボールが横向きの『U』になっているんじゃないかと錯覚するほど速かった。

 実際、構えていたハンドボール部員が反応出来ていなかったし。あっ、ハンドボール部員が腰抜かしちゃった。


「依頼完了。次行こう」

「……こ、個性強めだなぁ……」


 私はそうつぶやくことしか出来なかった。

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