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ようこそ!超能力部です!  作者: YY-10-0-1-2
1章 一学期編
24/92

第24話 からかい


 次の日。

 私は登校してから冷世ちゃんに話を聞こうと思い、教室に入る。

 けれど、速く来すぎたのか、部屋には誰もいない。


 「あれ? 速く来すぎちゃった……」

 「そーでもないよ?」

 「ヒャァッ!?」


 後ろから誰かに話しかけられる。びっくりして後ろを振り返ると、ニヤニヤとしてやったりと言った顔をしている蟹菜ちゃんが立っていた。


 「何すんの!」

 「悪かったって! ほら、春乃ってビビりでしょ? だからからかいがいがあるっていうか…」

 「私だって怒る時は怒るよ……?」

 「ご、ごめん!」


 私が睨むと、蟹菜ちゃんは素直に謝った。よし。なら許そう!

 私は、蟹菜ちゃんなら冷世ちゃんの居場所分かるかな?と思い、声をかける。

 

 「ねね、冷世ちゃんのいる場所分かる?」

 「ん? あ〜冷世なら多分、陸上部の部室じゃない? 朝練やってるとこ見たことあるし」


 あっ、そういえば陸上部だったんだっけ。

 私は蟹菜ちゃんにありがと、と言ってから外に出るために教室を出た。

 陸上部の部室は、外にある。なので、わざわざ外に出る必要があるのだ。


 しばらく走っていると、陸上部の朝練がやっているのか、声が聞こえてきた。

 そこには、探していた冷世ちゃんが立っていて、今から走るようだ。


 「……ん!?」


 冷世ちゃんがクラウチングスタートの構えを取った時に、地面に違和感を感じた。

 と言うよりも、何か肌寒いものを感じた。6月中旬なので、寒いということはないと思うのだけど…。

 すると、スタートの掛け声がされる。距離的に400m走だろうか?


 「へ?」


 冷世ちゃんの走り方を見て、違和感を感じた。

 冷世ちゃんの走り方は、なんというか、普通の走りではなかった。

 普通、走り方というのは足の向きは真っ直ぐになると思う。だけど、冷世ちゃんの走り方はどちらかと言えば、スケートに近い?


 そう考えていると、冷世ちゃんは400mを走り終えた。400mって結構きついと思うんだけど……息切れひとつも起こしてないや。


 「凄いよ冷世ちゃん!400m走、70秒! 高校生の平均がだいたい80秒ぐらいだから、平均を大きく超えてるよ!」


 嘘っ!?

 確かに、速かったけど…平均を大きく超えてるなんて……!


 「これなら、夏の大会でもいい記録出せるよ!」

 「……はい。善処します」


 夏の大会……そっか。県大会があるのか。頑張って欲しいな。

 すると、私に気付いたのか、冷世ちゃんはこっちに走ってきた。


 「なんだ、見てたの?」

 「うん。速かったね!」


 あれ?冷世ちゃんを褒めたつもりだったんだけど、そんな嬉しそうじゃない……? いや、むしろ……。


 「それで、話って?」

 「……」


 黙りこみ、私の耳元に顔を近づけてきて、囁いてきた。


 「放課後」


 冷世ちゃんの声で体がビクビクとなるが、放課後と言われたのに対して頷く。

 冷世ちゃんは深刻そうな顔を一瞬見せてから笑顔を作った。


 「それじゃあ、私戻ってますね!」

 「おう! 頑張れよ!」


 顧問にそう伝えた冷世ちゃんの姿は……なにか、前のような、クール毒舌美人の冷世ちゃんではなく。

 何かに、怯えてるって言うか、助けを求めてそうに見えた。





 ◇◆◇




 氷雪冷世は、部室にあるロッカーを開いて、その目からハイライトを消した。

 そのロッカーには、紐が切られた靴が入っていた。

 冷世は靴を手に取って、部室にあったゴミ箱に捨てる。


 「……また、か」


 冷世はそう呟いてから、服を脱ぎ、制服に着替える。

 すると、同時に部室のドアが開く。


 「あれ?まだいたんだ」

 「……なんだ。またアンタ達か」


 そこには、ニヤニヤと笑っている女子生徒の姿が。

 冷世は貶すように言うと、その後ろにいる女子生徒が部室に入り、ゴミ箱を覗いてくすくすと笑う。


 「あれぇ?これ冷世ちゃんのじゃな〜い?」

 「……あぁ、元々汚かったし」

 「でもこれぇ〜? ()()()に買ってたよね?」


 女子生徒が煽るように言うと、冷世は顔を歪める。

 それを見て、目の前の女子生徒が高笑いし始めた。


 「アンタ、なかなかに強いね?まだ続けてるとか……頭おかしいんじゃないの?」

 「……アンタこそ。こういうズルをしないと私に勝てないもんね?」

 「……調子に乗るなよクソ女…。ま、何時まで続けられるか見物だね…」


 女子生徒の言葉を無視して部室を出る冷世。

 その拳は震えていて、血管も浮かんでいた。冷世はふぅ、とため息をついてから、いつもの顔に戻す。

 なんの変哲もない、ただ完璧少女の仮面を、今日もつける。

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