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50話「疑問」(2)



「ルタ様。どうかされましたか?」


考え込みながら歩いていると私の隣を歩くルタ様が眉根に皺を寄せながら心配そうな面持ちでこちらを見ている事に気がつく。


「どうかしましたか?」

「……怖くはないか」


そう言って優しく頬に触れ私の髪を耳に掛けた。


──怖い、か。

一番にそう思ったのは幼少期に魔物に襲われたルタ様を完璧に癒すことが出来なかった時だ。いくら詠唱しても塞がらない傷口と止まらない血液。瞬く間に青ざめていく彼の顔。今でも思い出すだけで恐ろしくて手が震えてしまいそうだ。


でも今は違う。沢山学び知識を付けて沢山魔法を訓練した。実際に怪我をした人々を救う事が出来た。


襲い掛かる魔物は恐ろしいと感じる間もなくルタ様が倒してしまうし、例え私が怪我を負ったとしてもマーシュが癒してくれるだろう。


「ルタ様もマーシュもとってもお強いので何も怖くありません」

「……そうか。だがな、今から君は引き返してもいい。先程よりも危険な目にあうかもしれない」


ルタ様としては私をこれ以上任務に参加させたくないのだろう。本来ならば元々Aランクの依頼だとしても精鋭である第2騎士団が魔物を一掃するはずで脅威度は高くとも安全に討伐が行えて怪我人はここまで多発する事も無かった。


それがいざ蓋を開けてみれば脅威度の誤認定による不適切な人員配置と妊婦であるロージュの急遽参加だ。イレギュラーな事が続き、私はルタ様との約束である”マーシュと共に行動する”事が出来ていない。


本来なら約束を守れなくなった時点で戦況がどうであれ、治癒魔術師はマーシュが居るし私は森の入口へと引き返すことになっていただろう。


それなのに無理に引き返させたりしない。あくまで私の意志を確認し尊重してくれている。


「最初の約束、守れておらず申し訳ありません」

「どのような事でもイレギュラーな事は起こる。マーシュとの別行動は俺が指示したし、あの選択をしてよかったと思っている。ただ……」


「無理をしないかが心配だ」と彼が言おうとしているのが分かってしまう私はどれだけ心配をかけてきたのだろう。


クラリスの街で魔力の使い過ぎで倒れた事はは記憶に新しいし、私が寝込んでいた間にルタ様には心労を掛けたに違いない。


ただ、ルタ様も分かってくれていると思うけれど魔法の使い方を知らなくて我武者羅に魔力を使ってしまったあの時とは違う。魔法について学び、魔力の使い方も学び身につけた。もう無茶な事はしない、はず。


「むっ、無茶はしません。先程のように後方で治癒に務めます」

「……」


こういう事に関しては信用ならないのか、ルタ様は先程と変化の無い心配気な眼差しを私に向けている。


「た、多少なら自分の身だって自分で守れるところを見てくれたでしょう? 私が無理したところで迷惑を掛けるだけですし、本当に無茶はしませんから!! それにルタ様が下さったローブがありますし!! 」


納得させるために下手に饒舌になってしまう。それを誤魔化そうとローブを少しバサバサして見せるとルタ様は目を大きく開いてからニコッと微笑んだ。


「……ふ。分かった。引き続き無理はしない事とローブは御守りぐらいの気持ちで。いいね」

「はい!!」


ルタ様の安堵の表情はなんだか私に勇気をくれる。それに少しは無理をしないって信じて貰えた……かな。




*おまけ*


魔物のランクについて(単体の場合)


F 幼い子供でも追い払える。基本的には逃げてしまうので襲ってこない。

E 危害を加えなければ安全。子供でも追い払える。

D 魔術や剣術を扱えるなら子供や老人でも問題なく対処出来る。(クラリスの街の冒険者たちギルドに属している人々なら大体は対処できる)

C 一般的な冒険者なら対処出来る。

B 一般的な冒険者グループ複数もしくは精鋭ギルドなら対処出来る。人数が揃わない、精鋭ギルド不在時等には安全に討伐するために騎士団へ依頼が来ることも多い。

A 基本的には騎士団へ委託される。精鋭ギルドが加えて参加する場合もある。

S 各騎士団総出で出向く。

SS 国単位で仕留める。


何となくのゆるい設定ですので本編ではなくこちらに記載しました!


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