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46話「討伐任務」(7)




「後衛はもう大丈夫ね。前衛の方は──」


兵士達の協力もあり、周囲の負傷者の治癒が想定よりも早く終わったので前方へと目を向ける。


ルタ様とマーシュが先に戦闘していた兵の前に立ち、第3騎士団の兵士達は負傷者も多い為か後方へと退いていた。


『ファイアスピア』

『ホーリーシールド!!』


ルタ様は炎の槍を一度に複数繰り出し、魔物をまとめて焼き貫く。


生い茂る木々の隙間から奥からどんどん魔物が湧いて来るが、討伐速度があまりにも速いためか数に押される気配は全く無い。


マーシュは前衛の負傷兵を治癒し、自身に襲い掛かる魔物を光の盾(ホーリーシールド)で壁にぶつけ怯ませた後に光の弓矢(ホーリーアロー)で射抜き自身と負傷兵の身を守っている。


また、最前衛のルタ様の後ろで新兵達はどんと大きな盾を構え後方へ魔物がすり抜けてこないようにしてくれている。新兵達は日頃からよく訓練されているのか、慣れない戦闘にも関わらずとても落ち着いている様に見えた。


「……凄い」


彼らの戦う様は事前に濃密な打ち合わせをしていたのかと思えるほどに連携が取れており、二人が加勢してから瞬く間に騎士団側が優勢の状況となっていた。




『ホーリーウォール!! ホーリーウォールー!』


その一方で、今だに前衛に立つロージュの放つ防御魔法は負傷者を続出させているし、ラインハルト様も彼女に飛びかかる魔物を楽しそうに剣で薙ぎ払うだけで周りの兵の事は放置している。


……彼女らを囲う兵も残り僅かとなっていたが、そんな事は目に入っていなさそうだ。



「救世主のルタ様、ケイ様は……聖女様だ……!」

「聖女様!!こちらの兵も癒してください!!」

「まさに聖女だ……」

「聖女様!! 次は彼をお願いします!!」


その状況を見てか、兵達からはルタ様の事を救世主、私の事は聖女だと呼ぶ声が上がり始める。



「──ちょっと貴方達!! お姉様は聖女では御座いませんわ!!!! 」


地獄耳なのか戦闘中にも関わらず物凄い勢いでこちらを振り向き、私が聖女と呼ばれた事に対してロージュが食いついた。



「──グワァアアアアッ!!」

「ロージュ!!目を離してはいけない!!!」

「──ひぃい!!!」


ロージュへ複数の魔物が飛びかかる。咄嗟にロージュは逃げようとするが、裾の長いふわふわのドレスに脚を絡ませその場に前から転んでしまう。



『ホーリーシールド!!』


ロージュを正方形で囲うように同時に5枚の防御魔法(ホーリーシールド)を出現させる。壁となった防御魔法に魔物は衝突し、衝撃で怯んだ狼をすかさずルタ様が炎の槍で貫いた。


(距離が少しあったけど、間に合って良かった)


ロージュは腰が抜けてしまったのか直ぐに立ち上がろうとせずにその場に座り込み震えている。その間、魔物の攻撃が止む事は無いため私が防御魔法を詠唱し、ルタ様は魔物を駆除していく。


先程まで彼女の近くにいたラインハルト様は何をしているかというと、自分に飛び掛る魔物を楽しそうに切りつけており、転んだロージュを気にも止めていない。




「──ケイ!! あと数匹だ。すまないが、耐えられるか」

「大丈夫です。自分とロージュは守れます……っ!」


ロージュに近づく事が出来たので防御魔法で箱を作り身を守る。ルタ様の攻撃を潜り抜けた魔物が飛び付いてくるが防御魔法の強度は訓練の甲斐もあって壊れる事はない。



──防御魔法で守りを固めて数分。ルタ様の活躍で魔物の数も大分減った。

残った魔物たちは勝機が無い事を察したのか森の奥へ逃げていこうとするが、ルタ様の炎はそれを許す事は無く呆気なく魔物は燃え尽きてしまった。



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