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44話「討伐任務」(5)



『──ホーリーウォール!!!』



私達が前衛の元へ辿り着くと、既に戦闘は始まっていた。


前衛に配置されている第3騎士団はラインハルト様とロージュを含め50名程度。


第3騎士団は、おおよそ16名ずつで班を組み、A〜Cのチームに分かれている。役割としては、ロージュとラインハルト様が属するAチームが最前線を担当し、BとCチームが後衛とその補佐をする。……とのことであったが。



「「──うわぁああっ!!!」」



凡そ数20程度の狼の様な姿形をしている真っ黒な魔物が兵士達に飛びかかっている。


第3騎士団の兵達は半数以上程度が負傷し後方へと退いており、遠目から見ても体制が崩壊し統率が取れていない様に見えた。


「るっ、ルタ様……!」


負傷者を前に駆け出そうとする私の手をルタ様が優しく引いた。


「ケイ、落ち着いて。今直ぐに君が駆け出してしまってはいけない」


ルタ様の指摘は最もだ。

治癒魔術師(ヒーラー)である私が前衛に駆け出し負傷しては誰が負傷者を治癒するのか。余りの光景に頭よりも身体が先に動いてしまい、反省する。


「すみません……」

「大丈夫だ。第3騎士団の体制が完全に崩壊してしまっている。俺とマーシュが前衛のフォローに回るからケイは先ず後方の負傷者を」

「……はい」


当初はマーシュと一緒に居ることを条件に前衛に出る予定だったが、予想外の状況に後衛を任されるようだ。


(戦闘経験の無い私はやっぱり足でまといという事よね……)


「この状況ではマーシュと一緒に前衛に来るより、後衛での治癒が最優先だ。ケイが邪魔だと言う事ではない」


私の頭の中はルタ様には筒抜けなのだろうか。余計な気を使わせてしまう。


「ケイ様、最前衛の負傷者は私に任せてください。後衛を完全に任せてしまう事なりますが大丈夫ですよ。貴女様なら訓練通りに出来ます」

「はっ、はい……」


マーシュはそう言って私の頭をぽんぽんっと優しく撫でたが、それを見たルタ様はすかさずに私の頭を軽く撫でた。



(そういえば、ロージュは何処に)


『ホーリーウォール! ホーリーウォール!!』

生い茂る木々で見えにくかったが、よく見てみると最前衛にロージュとラインハルト様の姿はあった。二人を囲う様にして騎士たちは剣を構えている。ロージュは戦闘のサポートに回っているのか兵達へ飛び掛ってくる魔物達の前を阻む様に次々と防御魔法(ホーリーウォール)を繰り出していた。


……が。


「──うわぁ!!! 」

兵士を守る筈の光の壁は繰り出すタイミングが悪く、魔物を切り裂こうとした太刀筋の前に出現して剣を弾いてしまう。防御魔法の強度が不足している為なのか剣に弾かれた衝撃で防御壁は割れてしまい、兵に魔物が襲いかかっている。


結果としてロージュの魔法は戦闘の障害物となっていた。


「ロ、ロージュ様は後方へお下がりください!!!」

「何を言っているの!? 私がいなければ皆死んでしまうわ!!」

「お、お言葉ですが!! 魔法が割れてしまい意味がありません!! 貴女様は負傷者の治癒に徹してください!!」

「そんなの貴方達の技量の問題ですわ!! 口を動かす暇があるならさっさと魔物を討伐しなさい!!」

「これは訓練ではありません!! 今すぐフォルクング団長と共にお下がりください!!」

「煩い!!! 黙りなさい!!」


必死の状況に兵士もハッキリと迷惑だと伝えているがロージュは全く引く様子がない。傍にいるラインハルト様も兵の声を気にする様子もなくロージュに飛びかかる魔物を剣で切り落としているだけだ。


「……瞬く間に体制が崩壊した理由が分かりましたね」

「行くぞ。ケイは後方で兵の治癒を」

「はい……っ!」


ルタ様とマーシュは新兵を引き連れて前衛へと駆けていった。



体調を崩し今年の3月まで休職しておりましたが仕事復帰し執筆を再開しました。遅くなってしまい申し訳ありません。

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