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22話「火災」(1)





「──ルタ様!ルタ様は居られますか!?!?」


同日昼頃、一人の男がクラレンス家の屋敷へ飛び込んできた。


「ジャック、どうしたのですか。ルタ様は現在自室に居られますが」


かなり慌てている様子のジャックと呼ばれたその男に、クラレンス家侍女のアンは冷静に応答する。


「大変です!!クラリスの街で火災が発生しました!!規模は大きく被害もかなり出ているようです!!」

「──なんですって!?」




彼によるとクラレンス領の中心部、クラリスの街で大規模な火災が生じたとの事だった。


火災が生じた原因等の詳細は不明ではあるが、既に多くの怪我人が出ているという。


強力な炎の魔力を持つルタ様なら炎を操り、火災を収める事が出来るとの事でクラリス町長のジャックが代表して屋敷を訪れたとのことらしい。


「……た、ただ今お呼びしますわ!!」


アンはメイド服の裾を持ち上げ、ルタ様の自室がある2階へと駆け上がって行った。






「──事情は分かった。直ぐに街へ向かおう。ケイ、すまないが少し屋敷を離れる」



アンから話を聞いたルタ様は駆け足で階段を降りてきて、クラリス町長のジャックと同行することになった。


街では既に多くの怪我人が出ている為、一刻も早い消火活動が必要となっているらしい。


あれから治癒魔法は使っていないし、今も使えるかどうか分からないが、魔法がなくとも怪我人の初期対応くらいなら家にあった本を読んでいたし、父がまだ優しかった頃に簡単に教わっているのを覚えている。


現場は混乱しているだろうし、今はきっとどんな人材でも人手が欲しいはず──




「──る、ルタ様!私は何も出来ないかも知れませんが、お手伝い出来ることがあるかもしれません。同行させてください!!」



少しでも彼の役に立ちたい。

そんな気持ちから咄嗟に言ってしまった。



「け、ケイ様、危険ですのでお屋敷にてお待ちください」

「アン、気持ちは嬉しいのですが、私に出来ることを何でもいいのでさせて頂きたいのです。現在の私は治癒魔法を使うことは出来ませんが、ロレーヌ家にいた頃に知識として多少の応急処置は学んでおります。軽傷者であれば、手当のお手伝いが出来るかもしれません」


ロレーヌ家は代々治癒魔法に秀でている家系である為、治癒魔法だけではなく魔力切れなどの時に魔法が使えなかった場合の怪我人への対応の仕方が記載してある本は沢山あった。


学校に通わず貴族令嬢としての必要最低限の知識しか教師から学ぶことは出来なかったが、本を読む時間は沢山あった。


家にこもりがちであった10年間、何冊もの本を読んだ。


実戦経験はなく知識のみではあるが、軽傷者への初期対応の手伝いであれば出来るかもしれない。



「……分かった。だが、危険な事は絶対にしないでほしい。それが約束だ。アン、救護セットを持ってケイと来てくれ」

「畏まりました」



ルタ様は私の意志を尊重し、街へ来ることを許可してくれた。


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