ゴブリンクイーン その2(6)
2週連続で休みが取れず、投稿間隔が延びてしまってすみません
-元の世界の時代が違うだけです-
出陣式も終わり、軍と冒険者たちはクレアモン村を出発する。
「あれはヨシモトか」
村を出たと同時に、アレックスさんが何かを指さして叫ぶ。
指の先には、アンペラトリスの親衛隊4人が抱える輿に乗っている聖女アンペラトリスがいる。いつも、輿で移動しているのだろうか。
これは吉○新喜劇のネタなのだろうか。
「元の世界で、戦争に輿で移動して討たれた総大将の名前なんだ」
ヨシモトはヨシモトでも、今川義元らしい。
アレックスさんは単なるやられ役と言うが、それは不吉じゃ無いかな。
「あれに眉をひそめる人も多いですが、孤児院に寄付をしたり、疫病の流行っている地区に赴いて率先して治療を行ったり、聖女としてきちんと働いていますよ。
それに実力は、帝国でもトップクラスです」
クリスの話によると外見と違い、真面目に聖女をしているみたいだ。
「輿の運び手は、この世界のアッシー君ですの。
電飾で飾ってボディコンでジュリ扇持って踊ればナウいシティーガールですの」
ココが意味不明なことを言い出した。
どう考えても、『軽トラのデコトラ』みたいで可笑しいので、吹き出してしまった。
「俺たち同じ世界から来たのか?」
アレックスさんの問いにココと顔を見合わせる。
そう言えば、元の世界の話をしても、全然話がかみ合わないのよね。
「一番の野球選手は」
アレックスさんの呼びかけに答える。
「バースですの」
「大魔神佐々木」
「オータニ」
「「「誰それ?」」」
お互い、知らない選手の様だ。
うん、やはり別世界だ。
3人とも納得した。
「おいおい、ミスターに決まっているだろ」
フルプレートのしたり顔のおっさんが話に割り込んできた。
聖堂騎士団のリーダーのシュバリエさんらしいが、彼も異世界転移者らしい。白銀のフルプレートに赤十字架が描かれていて世界史で習った十字軍の挿絵だ。
「「「誰それ?」」」
3人の返事がハモった。
誰も知らない人で間違いない様だ。
「お前ら、ミスターを知らないで、野球を語るのか」
フルフェイスなので、表情は分からないけど、たぶん怒っているとだろう。しかし、ミスターだけで名前も言わないで何を言っているのだろうか。
「ミスターねぇ。赤ヘルの山本選手かしら」
「ミスターベイスボールって外国人選手の映画だね」
「ミスターのお名前は?」
ココとアレックスさんも、このおっさんが何を言っているか分からない様だ。
「ミスタープロ野球チョーさんだよ。
ジャイアンツの4番打者だ」
ようやく、おっさんが名前を明らかにしてくれる。
なんで、最初にそれを言わないのだろうか。
「4番は満塁で打たない原でしたの」
「いやいやゴジラ松井だろ」
「ジャイアンツってサンフランシスコで良かったかな。
チョウさんってことは中国人?」
シュバリエさんは『お前らふざけんな』と放言して、怒って去って行った。大リーグの選手はみんなMrだし、カルシウムが足らないのだろう。
たぶん、異世界転移の転移元は似ているけれど、違う世界なのだろう。
-聖女と親衛隊-
初日の行軍が終わり野営をする。
夕食時にあの輿がやってきた。
「皆さん、ごきげんよう」
アンペラトリスさん優雅に挨拶をしてきた。
ところがそのあとは親衛隊が対応する様だ。
金髪で背が高くスタイルが良いが下々の者と話をする気が無いという態度は、お姫様と言うよりも女帝だろう。だろうか。
どうやら、ボディコンやジュリ扇を知りたい様だ。
ココが自慢げに話をしているが、身体のラインを強調した服や羽毛の付いたふさふさな扇を地面に棒で描いて説明している。
それ以前に、これを聖女が着るのか?
「フィル。
私が、その格好をしたら似合うかしら」
クリスが、目をキラキラして聞いてくるので、人のいないところに連れて行く。
「そんな身体のラインがくっきりした露出の多い格好をしたら、男が劣情を催してジロジロ見ますよ」
クリスに伝えると顔が真っ赤になる。
男性の性的視線を考慮していなかった様だ。
クリスが落ち着くまで待ってから2人で戻ると、『アッシー君、行きますよ』と優雅に輿に乗る女帝様を親衛隊が『アンペラトリス様、最高!!』と叫びながら輿を担いで帰って行った。
まさかだけど、大丈夫だよね。
-5/10 ゴブリン集落近郊-
クレアモン村から北上すると、何度かゴブリンたちに遭遇する。
「ゴブリンなんぞ所詮は烏合の衆だ。
奴らに狩りの時間だと教えてやれ!」
エペのエイペストが冒険者組に指示を出しているが、こちらの数が多いため戦う機会が少ない。戦った場合も、複数人で攻撃するためほぼ瞬殺になる。
「歯ごたえのある奴は居ないな。
明朝、本拠地まで乗り込むぞ」
キャンプの夕食時にエペのラムが酒をあおりながら叫んでいる。あんなに飲んで明日の作戦は大丈夫なのだろうか。
「もう作戦が終わったと思い込んでいる奴が多いな」
アムールさんが、酒盛りをしているほかのパーティーを見て嘆いている。
私たちは、この前の遺跡調査で夜に襲撃され酷い目に遭ったので、酒飲むことを控えている。
「アンペラトリスさんのパラパラダンスが様になってきましたね」
ココがアンペラトリスのダンスを褒めている。
こんな調子で、明日は大丈夫なのだろうか。
-夜襲-
キィキィ
ギャギャギャ
敵襲!!
騒がしいので起きたが、周囲を確認しなくてもゴブリンたちが夜襲を仕掛けてきたのだろう。武器を手に取り、迎撃の準備をする。
ゴブリンは夜目が効くため量子核魔法で光を発生させる。
襲撃してきたゴブリンは50体ぐらいで、ウォーリアやホブゴブリンがたくさん含まれている。
「我が輩の土魔法の効果を思い知れ。
アーススキン」
グエンが精霊魔法による防御魔法を使った。
皮膚が硬くなり防御力が上がるが、敏捷が下がる魔法だ。
グエンには悪いが、フレッドと同じく敏捷が下がると都合が悪いので抵抗する。
襲撃の混乱が落ち着き、光によって夜目の利点を奪われたゴブリンたちは、数が同数になり実力差があるため、次第に討ち取られていく。私もホブゴブリンを倒し、アムールさんと協力してゴブリンウォーリアを討ち取る。
日が昇る頃には、キャンプにゴブリンたちの亡骸が量産されていった。
ジャーンジャンジャーン
本陣から進軍のシグナルが鳴る。
ゴブリンの夜襲で陣形が崩れているのに、なぜだろう。
「相手も体勢が崩れているから今がチャンスなんだ」
アムールさんが理由を教えてくれた。
さぁ、治療を受けて鎧などの防具を身につけら、ゴブリンの集落に向かって進軍だ。
お読み頂きありがとうございます
ブックマーク・評価ありがとうございます
第86話の異世界転生者のデータに転移元の年を記載




