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Lvが1.2Gでした  作者: ねろっと
ゴブリンクイーン
82/92

遺跡調査(7)

-3/22 遺跡そばのキャンプ-

 丑三つ時を越えた頃、大河の近くのため霧が漂い、月にもやが出ている中、周囲からガサガサと物音がする。


「みんな起きて。

 ゴブリンたちの襲撃だよ」


 パティーさんが、寝ている仲間を起こす。

 ゴブリンの気配が結構多い。数体では無く30体を超えるかもしれない。


「クイーンが近くに居るだけあって、出てくる数も半端じゃないな。

 しかも、ゴブリンウォーリアまで来やがる」


 アムールさんが、感心しているが、そんな悠長なことを言っている場合では無いと思う。ゴブリンウォーリアが10数体のゴブリンたちを率いていて私たちを挟み撃ちにする布陣を引いている。

 しかも、ゴブリンウォーリアはホブゴブリンより一回り大きく、戦闘能力も高いらしい。

 

「アムールとフィルがそれぞれのウォーリアと対峙して。

 他の人も、孤立しない様に注意して」


 パティーさんから指示が飛ぶがこの数だと、かなり難しいだろう。

 ゴブリンたちは、数の優位を生かし、徐々に包囲網を狭めてくる。


「ああ、リョウシカク魔法を使えれば、戦況を一変させることができるのに」


 ドンさんが、リョウシカク魔法を習得できない事を悔やんでいる。確かに、習得していれば、ゴブリンウォーリアに撃ちこむのは、良い選択肢だと思う。

 そうか、私が撃ち込めば良いのか。


「みんな、爆風が来るので、気をつけて」


 私は、そう叫んだあとに、片方のウォーリアを目がけて、通常の100倍分の質量を消費する量子核魔法を放つ。質量が100倍になれば、当然エネルギーも100倍になり、効果範囲は縦・横・高さのそれぞれに広がるため、半径だと4-5倍程度になるはずだ。

 

 ゴォォォ


 指定エリアで青白い光が舞った後すぐに、凄まじい爆発音とともに、爆風が舞う。爆発したエリアは、目標よりやや左にずれた上に、予想よりも範囲が狭いが、周囲のゴブリンたちが悲鳴を上げている。

 爆発後も1秒ぐらい青白い光が光っていた。


「綺麗」「幻想的」


 そんな声を上がるが、この青白い光はチェレンコフ光と言って、高エネルギーが霧の水分子と反応して発生する。爆発に使われなかったエネルギーが反応したのだろう。そうすると、爆発以外にエネルギーが回っていたのだろう。目標位置もずれているし、もう少し制御がうまくならないと、厳しいかもしれない。


 グガァ


 爆風に巻き込まれたゴブリンウォーリアが起き上がる。

 本来は、ウォーリアを中心に爆発させたかったが、爆発範囲がずれたせいで、右腕を失って大怪我をしているが、まだ戦う力が残っている。量子核魔法の直撃を受けたグループのゴブリンたちは逃げ出したり及び腰になったりしているので、アムールさん、パティーさん、クリスは、もう一つのグループに向かった。いろいろな場所で、光が点滅し、ゴブリンたちの悲鳴を聞く。ドンさんが威嚇のために光を放って、爆発と光の区別が付かないゴブリンたちを牽制している様だ。

 私は、大怪我をしたウォーリアの相手をするため、ウォーリアが接敵してくる前に、通常の量子核魔法でホブゴブリンを1体倒す。これで、残りのゴブリンたちは無視しても大丈夫だ。


 キン!

 ガシン!


 ゴブリンウォーリアは右腕を失い出血が止まらない状況だが、攻撃は的確でしかも一撃が重く、アムールさんと同じくらいの実力がある。もし、無傷の状態のウォーリアと一騎打ちをしたら、私は勝てないだろう。卑怯と言われても仕方が無いが、ウォーリアの攻撃を防御優先で受けて消耗を狙う。数十合渡り合った後、ウォーリアの動きが急激に落ち、私はこれまでの防御から攻撃に切り替えて倒す。

 周りを見渡すと、リーダーであるウォーリアが敗れたため、こちら側のゴブリンたちは逃走している。反対側は、アムールさんとウォーリアが一騎打ちを継続していて、パーティーさんの弓がゴブリンを排除している。ホブゴブリン数体はクリスが受け持っているため、クリスの元に駆け寄り、ホブゴブリンの一部を引き受ける。

 数分後、アムールさんがゴブリンウォーリアを討ち取り、ゴブリンたちは敗走していた。


「あーキツい。

 こいつにソロで勝てたらランク4になれるはず。

 もう、動けない」


 アムールさんは肩で息をしながら大の字になって倒れている。

 私自身も、急に糸が切れた様に、ふらついてしゃがみ込む。

 ほかのメンバーも負傷と疲労で動けない様だ。


「どなたか治療の必要な方は居ますか」


 クリスが弱々しい声で確認してくる。

 クリスが疲労困憊だと、治療に差し支えるのでまずは、クリスを治療する。その後、みんなの治療を行うが、治療が終わった頃には、太陽はすでに昇っていた。




-遺跡内のキャンプ

 遅い朝食をとった後、襲撃したゴブリンの確認を行うことにした。


「凄い爆発だね。

 ゴブリンウォーリアも、直撃すれば一撃だったかもね」


 爆発跡を見てパティーさんが褒めてくれるが、全然嬉しくない。

 目測がずれて、爆発の跡地はカタカナの『ト』の字の様になり、ゴブリンウォーリアに直撃しなかったのだ。しかも、範囲は予想の半分しかないため、出力は1/10ぐらいなのだろう。

 量子核魔法の出力を上げると制御が難しくなる様だ。必要なスキルが量子核魔法か魔力制御か分からないが、練習を繰り返して慣れていくしか無いだろう。


「やはり、ゴブリンクイーンのテリトリー内だと襲撃が多くなるな。

 依頼はどうする?」


 アムールさんが、みんなに意思を確認してきた。

 現在は昼前で、このまま遺跡にこだわるか、撤退するか決めないといけないらしい。


「依頼をクリアするには、調査書を作る必要があるので、半日はかかりますね」


 ドンさんが、遺跡調査の依頼について説明する。

 あれ?

 ドンさんが居ないと遺跡調査の依頼は完了しなかったのかな?

 もしくは、依頼者が軍なので、何があるかだけ確認できれば良かったのだろうか。


「今晩もここに滞在するのでしたら、遺跡の中にキャンプを作れば良いのでは」


 クリスがコロンブスの卵の様な発想の転換を口にする。

 屋外にキャンプを作れば、夜行性のゴブリンに襲撃されやすくなる。

 それならば、何も無い遺跡の中にキャンプを作った方が安全だろう。

 日が暮れるまでに、キャンプをたたみ、物資を遺跡の中に運び、遺跡の報告書を完成させた。遺跡の中でたき火を焚くわけにいかないため、入り口に4つのたき火を用意する。


「これで、ゴブリンが夜襲してきても大丈夫だね」


 パティーさんが満足そうに呟くが、多分フラグを立てたのだろう。

 遺跡内部は、洪水の影響で、湿気の多いところが多いため、入り口の近くに、泥を除いて寝床を確保する。

 朝から運動しっぱなしだったため、夕食はいつもよりおいしく感じた。アレックスさんのおかげでヴィルバンドに居たときに比べて格段に食生活は改善しているね。

 さて、今日もゴブリンは襲撃してくるのだろうか。

お読みいただきありがとうございます

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