クレアモン村のゴブリン
投稿した作品を読み易いように改行してみました。
-ゴブリン退治の依頼-
翌朝、パーティーの自己紹介をした食堂に集合した。
「何もすることが無かったけど、報酬をもらってもよいのかな」
ジェニーさんが気にしていたが、報酬は均等に分配された。
『誰がどれだけ働いた』を評価するのは難しいからね。
「クエストクリアしたばかりだが、次はゴブリン退治だ。
しかも、ゴブリン退治なのに、こいつはランク2だ。
どうも、ランク1のパーティーが3連続で失敗してランク2に格上げになったのだ。
おかげで報酬も破格の3,000エキュだ」
3,000エキュと言う高額報酬と、前回の依頼があっさりクリアできたこともあって、誰も、疑問には思わなかった。
このクエストが破滅への道につながるとは。
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依 頼:ゴブリンの退治
ランク:冒険者ランク2
場 所:リバーサイドから東に徒歩3日のクレアモン村周辺
内 容: クレアモン村周辺の洞窟に出現したゴブリンの退治
注意点:ランク1パーティーが3度壊滅している
報 酬:3,000エキュ
※ 普通の生活1日分が10エキュです
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-クレアモン村への道-
リバーサイドからクレアモン村に向かうには、リバーサイドから東に延びる街道を使う。この街道は港湾都市コルマールやカンペ-ル王国に続くため、馬車がすれ違い出来る車幅分を石畳で舗装している。
東に向かい、1時間ぐらい歩くと大きな河がある。私が災害で流された河のはずだ。
石畳のアーチ橋を越えると、緑化地帯になる。ここから徒歩1日半の距離は、建築禁止で街道沿いは森になる。
パティーさんとジェニーさんが獣を狩ってくれたので、夕食は豪勢だった。狩りのスキルもあると便利だな。
この辺りは緑化地域になっているため、野営用の場所が設けられている。
『最近は、ここで野営すると西の方に人魂が発生するんだよなぁ』
西の人魂って、この前の災害で亡くなった人かなぁ
「人魂なんてオカルトだろ」
フレッドさんと話をする機会があった。
元の世界の話をすると、やはり彼も異世界転移者だった。
半年前に公爵の七男坊に転移したらしく、能力はチート級だ。
元の世界に戻るすべはないらしい。
フレッドさん、エアコンもテレビもコンビニもない世界は辛いが、冒険で名を挙げて、豪勢な生活をするのが夢とのこと。
「貴族の生まれか、羨ましいな。
冒険で名を上げるということは、すでに跡取りが決まっているの?
さすがに、日本みたいに平等に相続されないのか」
日本の常識をそのまま口に出したところ、
「お前、本当に何も知らないのか。
この世界の相続は、鑑定盤の評価が一番高い奴と決まっているだろ。
跡取りが決まった時点で、それ以外は平民さ。
特に俺様の公爵家は5代目で断絶だからな。
俺様が跡取りに決まっても、皇子、皇孫を正妻に迎えないとお家は断絶だ。
もっとも、領地のない年金がもらえる名誉称号みたいなものさ」
フレッドさんに真顔で返された。
鑑定盤があるから、誰が一番か評価でき、一番が総取りする。とんでもない競争社会だ。
しかも、上に行くほど厳しいらしい。
人間が鑑定されるって、SFの様に社会の幸福度は上がっても、個人は不幸になるのかな。
私にも、チートな能力はあるのだろうか。
冒険者証の能力をみると、耐久の53と敏捷と筋力がある程度あるくらいかな。
フレッドに比べて心もとないなぁ。
本当にLv1.2Gなのだろうか。
そんなことを考えていたら、パティーさんが話しかけてきた。
「あのね。
シャーリーって男よ。
秘密だからね」
え?
男!?
トランスジェンダーかな?
フレッドのチーレム計画は、徐々に崩壊していくのね。
ークレアモン村-
クレアモン村に着き、情報収集を行う。
ゴブリンは15匹前後らしい。
討伐に向かったパーティーの情報も入ってきた。
4-6人のパーティーでゴブリンの巣に向かっていったが、誰一人帰ってこなかったとのこと。
3回とも全滅は珍しいそうだ。
もしかしたら、ゴブリンに変異種でもいるのだろうか。
フレッドさんは、『ゴブリンの10体は自分一人で大丈夫だ』と豪語しているけれど、当てにしてよいのかな。
夕食後に、クリスと話をしていたら、パティーさんに、成人した息子がいるそうだ。
やはり、ハーフエルフの年齢を予想するのは難しい。
フレッドのチーレム計画は、崩壊の危機です。
-ゴブリンの洞窟-
翌日、ゴブリンの洞窟に向かう。
腰ぐらいまで下草が生えている森の中を進んでいく。
さすがに、ゴブリンの巣穴まで、けもの道が続いているようなご都合主義はない。
パティーさんの捜索(屋外)で洞窟を探す。
一緒に手伝いをしてスキルを磨く。
2,3時間すると、それらしい洞窟を見つける。
洞窟の前に、見張りが一匹いたので、パティーさんの弓で倒す。
そのまま、全員で洞窟に乗り込む。
洞窟内にゴブリンはいたが、成人3匹と子供5匹だった。
洞窟内には、ゴブリンに虐待されていた冒険者らしき女性が2人いた。
一人は金髪長髪で胸が大きいので聖女かもしれない。
もう一人は、金髪ショートカットの丸顔で体中に切り傷や刺し傷がある。
エロゲとかだと、ゴブリンは、人型種族の女性の腹を借りて生殖をする設定がある。
この世界だと、メスゴブリンもいるので、ゴブリン同士で繁殖しているらしいので、大丈夫だと思う。
しかし、最後のパーティーは20日前に討伐に向かっていたので、ここまで生きているのは、ある意味疑問だ。
「お嬢様方。
不肖フレッド、救出に参りました」
さすが、フレッドさんは、ブレない。
チーレム作りに余念がない。
「カティー。大丈夫?」
クリスが聖女さんに声をかけていたから知り合いかも。
カティーさんともう一人の女性の治療を始めている。
治療をしているクリスは女神の様だ。
クリスの姿をそのまま見つめていた。
外から「敵が来たよ」と声がしたので、全員で外に向かう。
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