遺跡調査
更新が遅くなりまして申し訳ございません
次は水曜日に更新できる様に頑張ります
-3/16夕方 クレアモン村-
クレアモン村に着き、食べられるものを目指して食堂に向かおうとしたところ、本陣への呼び出しを受けた。
「俺たち、何か悪いことしたっけ?
本陣と言うことは、ここに駐屯している軍隊の偉い人だよね」
アレックスさんは、不安がっている。
「悪いことを何もしていないなら、気にしなくて良いよ」
アムールさんが、笑いながらフォローしている。
しかし、アレックスさんは、余計に不安になっているようだ。
「悪いこと以前に、普通は軍の偉い人に呼び出しを受けることは無いでしょう
アムールさんたちは、何か身に覚えはないのですか」
「身に覚えねぇ
ありすぎて、分からないなぁ」
アムールさんが、笑いながらとぼけている。
うん、私も、クリスも、身に覚えがありそうだ。
「冗談言っている場合じゃ無いですよ
一体どうなるんですか」
そんな会話が続いた頃に、本陣の中に入ることになった。
-本陣-
本陣に入ると、3名の武官と5名の兵士と将官がいる。
兵士の方は、外にいる兵士たちと装備が変わらないが、武官の方はマントや外套が質の良いものになっている。中央にいる将官は、予想通り大公に就任したばかりのガブリエル卿だ。
「お前たちもヴィルバンドまで行くとはお疲れ様。
見覚えのない奴が2名いるな」
武人として最高峰に上り詰めたにもかかわらず、そういった雰囲気を微塵も感じさせない。まぁ、堅苦しいガブリエル卿は似合わないか。
「旦那。
昇進おめでとう。
それで、アムールたちに何をさせたいのだい」
アムールさんが挨拶をしているが、現大公を旦那と気安く呼ぶのはどうなのだろうか。周りの武官や兵士も面食らっている。
私とクリスも大公就任のお祝いを言ったが、アムールさんにつられて職名を抜いて昇進おめでとうと言ってしまった。
「今回のゴブリンクイーンの調査で遺跡を見つけた。
ところが、クイーンの調査を軍が引き受けたので、冒険ギルドに依頼しづらくてな。
アムールたちよ。やってくれるな。
隊商には、私の方から話をしておく」
いきなり、気軽に、遺跡調査を頼まれた。
しかも、報酬なし。
「遺跡の探索ですか。
まだ見ぬ神秘を見つけ出せるのは楽しみだ」
ドンさんが遺跡の話を聞いて心を躍らせる。
ところが、ガブリエル卿はドンさんとアレックスさんが何者か部下に確認している。
部下の一人が、ドンさんとアレックスさんの説明をしている。
「ふむ。
このまま隊商と一緒に帝都に戻り、ギルドの再教育か。
クリスたちも経験したことだな。
まぁ、頑張れ」
ガブリエル卿の言葉に、意気消沈するアレックスさん。
ヴィルバンドに1ヶ月もとらわれて、今度は帝都の訓練場だからね。
「おかしいです。
同じパーティーなのに、なぜ私たちは帝都送りなのですか。
すでに、ヴィルバンドで鍛えられて訓練など不要です」
ドンさんは、ガブリエル卿に抗議している。
気持ちは分かるけれど、ガブリエル卿に噛みついても仕方が無いと思う。
「閣下に対して無礼だぞ。
ゴブリンにすら勝てないのに遺跡探索とか大概にしろ」
ガブリエル卿の部下が、ドンさんに注意をしている。
しかも、指摘が厳しい。
実力不足で遺跡調査は危険ですよね。
「まぁ、俺と対決してかすりでもしたら特例で許してやろう。
おい、外に出るぞ」
ガブリエル卿が冗談みたいな提案をする。
普通に考えて、勝てるわけ無いよね。それどころか、あの2人では、かすることすら難しいと思う。
ただ、ドンさんとアレックスさんは、目の前のガブリエル卿が誰か分からないため、一応提案を受けるみたいだ。
-天幕の外-
外に出て、訓練場所と思われるところに行くと、すでに話を聞きつけた兵士たちが集まってくる。
「おいおい、また決闘という名の訓練だぞ」
「あの人に勝てる人は居ないだろ」
「冒険者で噛みついてきた奴も、みんな返り討ちだったよな」
「やるだけ無駄なんだけどねぇ」
これまで何度も繰り返されてきたのね。
まぁ、勝てる人なんて居ないよね。
「さぁ、2人纏めてかかってくるが良い」
ガブリエル卿は右手に持った棒を右肩に担ぎ、左手で手招きの仕草をしている。
どう見ても、どこかのボスキャラの様にしか見えないが、隙だらけの格好だ。
しかし、ドンさんとアレックスさんは、そんなガブリエル卿に踏み出せない。
「威圧されているね
スキルの差か格なのか分からないけど、凄いね」
アムールさんが感心する様に見ている。
ガブリエル卿を見ると、わずかに気を放っている気がする。
気闘法か何かその類いのものだろうか。
「おいおい、突っ立て居るだけじゃ勝負にならないぞ」
「怖じ気づいたのか」
見物をしている兵士たちがヤジを飛ばす。
後に引けなくなった2人はアイコンタクトをして勝負を仕掛けに行く。
ドンさんが、ガブリエル卿の目の前に光の球を発動させて目くらましをかける。その隙にアレックスさんが襲いかかるが、あっさりと返り討ちに遭い、ついでにドンさんも倒された。
「あんな微妙な光じゃ目くらましにならないだろう。
そもそも、目くらましが成功しても、簡単に対応できるだろうけどね」
アムールさんの言うとおり、あの光の強さでは目くらましにはならない。
元の世界ではフィクションだったけれど、この世界では武術を鍛えると視覚に頼らなくても相手が見えるらしい。
クリスが、ドンさんとアレックスさんの治療を行っている。
「これでは運動にならないな」
あっさり終わった勝負に、ガブリエル卿がぼそっと本音を漏らす。
スキル6のガブリエル卿に、スキルが1程度のドンさんやアレックスさんでは相手にならないだろう。
「ガブリエル卿。
次は、私がお相手いたします」
クリスが、いきなりガブリエル卿に勝負を挑んだ。
やはりバトルジャンキーなのだろうか。周りの兵士は、聖女がガブリエル卿に挑むことにびっくりしている。
さすがに、ガブリエル卿が相手では分が悪く、10合渡り合わないうちに武器落としで槍が宙に舞う。
実力の差があるってこういうことなのね。
「次は、アムールとフィルが二人纏めてかかってこい」
ガブリエル卿のご指名か。
アムールさんとコンビを組むのであれば、アムールさんに攻撃を任せて、私は防御やフェイントに特化しよう。ガブリエル卿と数十合渡り合う。
「さすがアムールだな。
では、私も本気を出そう」
ガブリエル卿が、そう言うと急にガブリエル卿の動きが速くなりアムールさんを打ち据える。その後、ガブリエル卿のラッシュが始まる。攻撃をしてくる場所がなんとなく分かり十数合防げたが、一撃一撃が重く力負けする。
「腕を上げた様だな。
久しぶりに全力が出せた。
機会があれば、また手合わせを頼む」
兵士たちが喝采をあげている中、ガブリエル卿は満足して本陣に戻る。
私たちも本陣に戻ると、武官が遺跡の説明をしてくれる。
遺跡は、クレアモン村から北側に3日ほど行った場所にあり、徴発した冒険者が案内するが、現在ゴブリンクイーンの捜索に出ていて、村に戻ってくるのが明日になるため、出発は明後日以降になるそうだ。
「旦那。
明日は、近くにある妹の墓参りに行って良いか」
「ジェニーの墓か。
私も参りに行こう」
アムールさんの提案をガブリエル卿が同意する。
-3/17 ジェニーさんの墓-
ガブリエル卿と一緒にジェニーさんの墓参りをする。
ガブリエル卿は大公だが、護衛は付けないらしい。まぁ、寝ているとき以外は本人が撃退できるだろうし、周辺地域は軍隊が捜索しているため、そもそも不審者がいないらしい。
墓参りの後、アムールさんとジェニーさんの昔話が聞けた。
アムールさんとジェニーさんは、帝国東部の狩猟民族国家との境界にある部族出身だそうだ。
狩猟民族国家は、部族を纏めるリーダーが出てくると、その人物が中心となり周辺部族を纏めるため、国と言うよりは個人が運営する国家らしい。纏める人物が亡くなるか力を失うと別の人物が纏める。そして、どの人物が纏めても、作物の収穫時期に周辺の農業国家を襲撃して作物を収奪するため、周辺の農業国家が帝国の庇護下に入ったそうだ。
これらの国家を傘下に加えた帝国は防衛するために派遣されたガブリエル卿と知り合ったそうだ。
「あいつの好きなコロッケを墓場に供えてやりたいが、ここまで持ってきたら食べられないよな。
本当は、ジェニーを殺したゴブリンたちを皆殺しにしてやりたい」
アムールさんが呟くが、みんな無言になる。
今朝聞いた調査の情報によると、殆どのゴブリンが飢餓状態らしい。
クレアモン村からの北側は、西側の大河沿いの食料となるものが殆どとれない地域と東側の森に分かれるらしい。西側の森は熊が出没するため、ゴブリンが餌になっているのが確認できたそうだ。特に熊が冬眠に入る前に根こそぎ食料になるらしく、冬に入り熊が冬眠した後に入植したゴブリンも、冬眠から開けた熊の餌になっている様だ。
大河沿いの地域は、春までは食料の調達が難しい地域らしく、仮に春に入植しても梅雨の時期に大河の水が溢れて溺死する様である。溺死を免れても、食料の調達が難しくまた餓死状態になるらしい。秋頃のみ活発になるため、この時期に討伐を計画するようだ。
それなら、なぜ軍隊は駐留し続けるのだろうか。
聞いたら、知り合いだからこそ教えられないと言われるのが分かっているので、聞かない様にする。
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