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Lvが1.2Gでした  作者: ねろっと
ゴブリンクイーン
74/92

鉱山都市ヴィルバンド(5)

-2/18 夕方-

 グエンの指導でハードな魔術のトレーニングが終わったころ、クリスたちが検査と治療が終わって帰ってきた。


「性感染症は、殆ど解決しました。

 今日は、怪我人が多かったですが、何かあったのでしょうか?」


 クリスは、少し疲れ目だが、仕事が終わって解放された表情だ。

 怪我人が多い?


「たぶん、グエンが鉱石の精製を行って鉱石が無くなって鉱夫たちの仕事が増えたからかな」


 グエンが精錬所の鉱石を全部抽出して、鉱夫たちが慌てて仕事をしていたから、それが原因だろう。


「お、グエンか

 パシオンから聞いたがお前さんもこっちに来たのか。

 そういえば、ゴブリンクイーンの件は、軍の管轄になったみたいだが何か知らないか」


 グエンを見つけたアムールさんがゴブリンクイーンの件を確認している。

 どうやら、パシオンさんもグエンと一緒に来たようだ。


「某が聞いた話では、冒険者ギルドで登録を更新した冒険者が想定より百数十人少なくて、ゴブリンクイーンの捜索に冒険者を割り振るだけの冒険者が確保できないらしいです。実際に、今は冒険の数が多くて処理しきれないので、ゴブリンクイーンの捜索を軍に代わって貰い、対応するそうです」


 グエンの話によると、今年は、冒険者賞の更新を行う冒険者の数自体が少なかったようだ。毎年、冒険者登録証を更新する簡易鑑定で、カルマがマイナスになり冒険者登録が更新できない冒険者が2-30名出るそうで、彼らは、『闇落ち』と言われるそうだ。

 ただ、今回は更新しない、予想よりも遙かに多く、討伐対象を確認しない依頼で亡くなったり、廃業したりした冒険者が多かったのが原因かもしれない。


「某の様に東部の混乱で帝都に戻ることができない冒険者が多いかもしれません。

 そのまま、あそこで仕事が見つかるかもしれません」


 グエンは、帝都に戻るのが遅く途中の町で私たちに合流したため、今年の簡易鑑定は受けていない。もし、彼らが帰還できれば、登録者は少しは増えるかもしれない。


「アムール。

 たしか、ミラージュは、パーティーとして更新してないみたい」


 パシオンさんが、名前を出したミラージュは、アムールさんたちのレーヌと対立していたパーティーだったはず。彼らも闇落ちしたのだろうか。


「あいつらが闇落ちか。

 自業自得だろ」


 アムールさんは手厳しい。

 まぁ、資金不足で女性メンバーを色町に売ろうとしたら、カルマは下がるか。


「ところで、パシオンさんは軍の命令だから、このまま残ると思いますが、グエンさんは、どうするのでしょうか」


 クリスの質問に、グエンさんは、困った表情で頭をかく。


「実は、某は冒険者登録証を更新していなかったので、軍に徴発されてしまった。

 今いる精霊術士が働いていないのはフィルたちも見ていただろう。しばらくヴィルバンドで働くことになりそうだ」


 冒険者登録証を更新しないと、冒険者として認められないフリーランスになって、軍などに徴発されることがあるそうだ。

 あれ?私たちは冒険者だけれど、徴発された。鉱山労働者も半数が囚人だし、歓楽街の女性も年増、元の世界の熟女が多いそうだ。このヴィルバンドは、本当に人が集まらないところらしい。

 江戸時代の金山みたいなものだろう。

 宿や食堂の食事も残念なので、役人のアレックスさんに作って貰っている。




-魔法の訓練-

 クリスも、性病の治療と検査も目処がついた上に、聖女のパシオンさんも来て、余裕が出てきた。

 しかし、ヴィルバンドには、歓楽街以外に娯楽施設がなく、その歓楽街も、他の町では勤まらないような相手しかいない。実際に、ドンさんとアレックスさんも初日以降は行っていないようだ。

 他に誘惑が無いため、武術の稽古や魔法の修行に明け暮れる日々だった。


「その光を出す魔法面白そうですね。

 私も試してみます」


 クリスが、私の量子核魔法の修行を見て、冗談で試したところ、青い光が光ったり消えたりした。青い光がチェレンコフ光と思い一瞬びっくりしたが、青色のエネルギーの光だろう。多分、消えているときはエネルギーがさらに強い紫外線の光となり、人間には見えないのだろう。


「クリス。

 少し、エネルギーを減らした方が見える光になるよ」


 そうアドバイスをしたが、たまに青く光る光が、弱くなっただけだった。横で、ドンさんまで真似をするが、こちらは、全く光らなくなった。


「光は、光子という粒子の集まりなんだ。

 色は光子のエネルギーで決まって、明るさは、光子の数で決まるんだ」


 私が説明したが、クリスもドンさんも、理解していないようだ。

 ”光とは何か”は元の世界でも、理解している人は少数だ。

 科学への理解が進んでいないこの世界で、どのようにしたら光子を理解できるのだろうか。


「この虹の様に、光はエネルギーで色が異なり、低い方から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と変わるんだ。

 人間は赤から紫までしか見えないので、エネルギーが低すぎたり高すぎたりすると見えなくなるんだ。

 あと、明るさは光子の数で決まるので、エネルギーを一定にして光子の数を増やせば好きな色を光らせることができる」


 水を霧のように宙に舞わせて、虹を発生させる。

 もっとも、この世界の虹は、赤、橙、黄、緑、青、紫の6色だそうだ。まぁ、細かい事は気にしないようにしよう。


「某は土の精霊使いなので、光の事はよく分からないが、精霊魔法でも同じような力加減が必要になることがある。

 例えば開墾だと、土を耕す力の加減が必要でね、力を入れすぎると無駄に穴を掘ってしまうことになる。それと、開発面積を広げるために同じ力を均等に同時発動する必要がある」


 グエンが開墾作業の話をする。

 しかも、地盤は均等で無いため、すべてを均等に土を耕しても駄目だそうだ。

 区域ごとの土の具合を確認して、調整しながら作業をしているらしい。

 田植機で例えるなら、稲を植える作業、同時に田植えできる列数(横)、進行速度(縦)の調節が必要だそうな。光の発生も、色は光子のエネルギー、明るさは単位面積当たりの光子の数、範囲の3つが必要になるので、魔法の使い方という点では同じものらしい。


「土を耕す力を調整しつつ、同時に並行することができるんだ。

 コツを教えてもらえないだろうか」


 ドンさんが、グエンにコツを聞いている。

 ただ、調整の方法は抽象的だ。


「地盤の善し悪しはね……」


 この後、グエンから良い土壌とは、開墾の方法など、土の話ばかり聞かされる。

 土いじりのオタクでは無いから誰もついていけない。


「グエン殿、もっと、感覚的に分かる方法は無いかな。

 目で見えるとか、わかりやすい方法があれば良いのに」


 ドンさんがぼやいている。


「某には、その光は見えるから、わかりやすいと思う」


 グエンが指摘するまでもなく、光は見えるよね。

 クリスは納得したようだが、ドンさんは納得していないようだった。

 ドンさんは、線香花火程度の光を数秒間出すのが限界なので、光を出すことに集中していて、見るだけの余裕が無いのだろう。

 なお、爆発魔法の調整をグエンに見つかり、鉱石の採掘に駆り出されるとは思わなかった。坑道で砕いた鉱石は鉱夫が運搬しているが、鉱山の外まで運び出したときに、クリスとパシオンによって治療を受けるので、運搬作業で休憩は治療の間と昼食だけだったらしい。

 夕食後は仕事がないので、光の練習をしていたら、グエンはパシオンさんに光の発生を教えていた。


「聖女は、精霊親和度は0なのですが、光を出すことができると聞いたことがあります

 今まで試したことが無かったですけど、面白いですね」


 どうやら、パシオンさんに好評らしく、グエンからコツをいろいろと聞き出して実験していた。

 守護者が欲しいパシオンさんと、聖女が欲しいグエンなら利害関係は一致するから、ほっておこう。




-3/5 ヴィルバンド-

 ようやく、ヴィルバンドの長官が戻ってきた。

 金の採掘結果を聞いて、私たちに、さらに残留するように求められたが、部下の役人たちが「このままだと鉱夫が過労死します」と訴えて全力で止めていた。

 長官は聖女と精霊術士の両方を補充するため陳情に行っていたらしいが、どちらも1月以上先にならないと来ないそうだ。それまでは、軍が徴発したグエンと軍所属のパシオンさんが対応しないといけないとのこと。


「非常に残念ですが、某たちは、ここでもう少し頑張ります」


 グエンの表情は、とても残念そうに見えないが、残念と言うことにしておこう。

 私とクリスとアムールさんは、ガブリエル大公に呼び出しを受けているので、今回の長官に同行していた隊商と一緒にクレアモン村に向かうことになる。

 ん?

 ここの長官は、大公の呼び出しがあるのに、私たちに残留を求めたのだろうか。

 この人の行動に一貫性が見えないのは、気のせいと言うことにしておこう。

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