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Lvが1.2Gでした  作者: ねろっと
聖女を護れ
56/92

クリスの父親

 12/29夜 デュポア未亡人宅-

 憲兵訓練所で、朝から日が暮れるまで訓練したため、かなり疲れていた。実は、聖女の治療で、回復するのは肉体的な疲労などだけで、精神的な疲労は回復しないし、睡眠不足なども治療の対象外だ。

 明日は、クリスパパに挨拶に行き、そのまま1/15までご厄介になるので、デュポア未亡人宅に居候するのは、今日が最後になる。数日であったが、急遽宿泊させていただいたお礼もかねて、クリスと二人で料理をする。

 そう書くと格好良いのだが、実際には、何処に何があるかわからず、結局は、デュポア未亡人が作ることになった。おかげで、ご飯の時間が一時間ほど遅れてしまって、逆に迷惑をかけてしまった。申し訳ないので、デュポア未亡人には、年明けにディナーを招待する約束をした。

 わずかな期間だが、お借りしたので、綺麗に掃除するはずが、掃除道具を探しているうちに、結局、デュポア未亡人のお世話になるおまけまでついた。


「若い人が、年寄りを思いやると言う気持ちだけでもありがたいのよ」


 本当にご迷惑ばかりかけてすみませんでした。

 あと、この台詞に、もう一つの意味が事を知るには、もう少し先になるのだった。




-12/30 デュポア未亡人宅-

 数日間お世話になったデュポア未亡人宅をあとにする。

 別れる時に、『そのうち学生が帰ってくるので、また賑やかになります』と言っていたが、実際に帰ってくる学生はいないはずである。それが分かっているので、少し寂しく感じた。

 そのままクリスの父親の家に向かうが、その道中でクリスが意外なことを言った。


「あの部屋は、亡くなった娘さんの部屋です」


 一瞬足が止まった。

 デュポア未亡人の娘さんは、聖女だったそうだ。そして、聖女の修行中に亡くなったとのこと。修行中に亡くなるは5人に1人よりも多く、その殆どが、冒険中の死亡らしい。冒険者ギルドがいい加減なのが主な原因だろう。そのような事情があるにもかかわらず、受け入れてくれたデュポア未亡人に感謝したい。




-ジェイムズ・ド・スタール邸

 クリスと一緒に、クリスの父親の家に向かう。大通りから曲がった先の大きな庭付きの住宅が並ぶ高級住宅街だ。クリスがお嬢様と言うことは、ある程度予想していたが、ここまでとは思わなかった。たしか両親ともに冒険者だったはず。かなり腕が立つけれど、何か財宝でも見つけたのだろうか。


「私の家は、ここですよ」


 紹介された家は、塀に囲まれていて、他の住宅よりも警備が厳重で門の前には衛兵が2人もいる。周辺の家には、門番は居ないし、家主の強さから考えると、門番が必要なのだろうか。

 昨日と同じ仮面を着けたクリスが、門番に封書を渡したところ、門番が封蝋の家紋を確認して、1人が中に封書を持って入っていく。数分後に、門番が初老の執事の様な男性を連れて戻ってくる。


「クリスティーナお嬢様。

 陛下がお待ちです。

 中にご案内いたします」


 ん?

 陛下?

 えっと、元冒険者だよね。


「フィル。

 さぁ、中に行きますよ」


 クリスに急かされたので、頭の中が疑問符のまま、クリスの後をついていく。

 昨日、憲兵訓練場で会った仮面をかぶった男の人だよね。

 因縁をかけた兵隊さんたちは不敬罪に問われるのだろうか。

 自分のことがどうなるかわからないのに、他人の事を気にする。いや、単なる現実逃避だ。

 たぶん、近衛兵の隊長かなにかで、皇帝陛下が交際の同意の席に同席してくれるだけだろう。

 どんどん現実逃避をしていく私は、屋敷の中庭に案内される。

 中庭に入ると、昨日手合わせをした仮面の男性が稽古をしていた。


「陛下。

 フィルとの交際を認めていただきたく参上しました」


 ああ、やはり皇帝の一人娘らしい。

 その前に、きちんと挨拶しないといけないので、クリスに教えてもらった通り挨拶をする。


「は、初めま、えっと、昨日ぶりです。

 フィリップです。

 クリスティーナお嬢様との交際を認めてください」


 いきなり、最初から躓いた。

 昨日会っているから初めましてではない。


「ワハハ。

 確かに初めましてではないな。

 朕は、いや、堅苦しいのは面倒だ。

 我が名はジェイムズ・ド・スタール。一応、アルゲティー帝国の皇帝だ。

 そして、クリスティーナ・ド・ロンシャンの父親だ。

 本来は、ここで武術の腕前でもテストする予定だったが、どうするかな」


 やはり皇帝陛下でした。

 もっとも、厳格な印象が無く、親しみやすい感じだ。

 ところで、陛下とクリスで苗字が違うね。


「親子で姓が違うのは、私が母親の姓を引き継いでいるからです」


 クリスが補足をしてくれた。聖女は、通常ランダムで出生するが、聖女が母親の場合、受胎時に望めば聖女が生まれるらしい。その代わりに、その後は、子供が生まれ無くなるそうだ。


「うーん。

 クリスを幸せにしてくれるなら、それでよいのだが、テスト無しは、慣例に反するのか。

 よし、手合わせをするか」


 結局、稽古をすることになりました。

 昨日掴んだ感覚が活かせているのか、手合わせの最初のころに比べると、少しは様になっている。

 そして、ここでもクリスも稽古に挑む。

 クリスさん、あなたにテストはないと思いますよ。

 見ていると、クリスの表情が明るい。意外にバトルジャンキーなのだろうか。





-ジェイムズ・ド・スタール邸

 1時間ぐらい稽古をした後、昼食になる。

 クリスは、5歳で母を亡くし、10歳で聖女と鑑定されて聖女養成所に引き取られ、その間は皇帝が多忙のため、年2回に数日程度しか会うことができなかったそうだ。家族としてのつながりが薄いのだろう。もしかして、クリスが稽古を希望したのは、いや憶測で決めつけるのはよそう。


「来年は退位して、自由な時間が持ちたいものだ」


「その言葉は昨年もお聞きしました。

 確か2、3年前から同じことをおっしゃっていますが」


 話を聞くと、どうやら退位させてくれないらしい。

 2-30代の若手を重要ポジションに大抜擢して、高齢の保守層から反発を受けているらしい。ところが、ジェームズ帝が退位しても、次の皇帝候補筆頭が、それ以上の若返り推進派とみなされていて、ジェームズ帝を退位させず若返り阻止を画策されているらしい。

 確かに、自分が抜擢して任命した人を別の若手に替えることはできないか。元の世界と同じで、政治は難しそうだ。

 その後、冒険者ギルドの話になった。近年、修行中の聖女の死亡者が増えていて、問題になっていたそうだ。


「いつの間に、こんな問題のある組織になってしまったのだろうか。

 皇帝を辞めたら、ここの立て直しに尽力したいな」


 元冒険者だけあって、ギルドの問題は気になっているようだが、立場上、直接手を出せない様だ。そんな話をしている頃に、玄関で対応した老執事が、数名の冒険者を連れて入室した。


「陛下。

 護衛の冒険者が揃いました。

 本当に、近衛兵全員を休暇にしてよろしいのでしょうか」


 ジェームズ帝は、老執事も含め、全員が10日まで休暇をとるように命じた。その後、それでも勤務を申し出る近衛兵に、『それなら配置換えするよ』と笑いながら命じるジェームズ帝。

 この世界にもワーカーホリックな人がいるのですね。

 護衛の冒険者には、アムールさんたちレーヌの面々がいた。もう一人は明日から来るそうだ。

 ジェイムズ帝は、護衛の冒険者から冒険者ギルドの内情を聞きたいらしく、私とクリスは部屋での休憩することになった。

お読みいただきありがとうございます

誤字脱字などがありましたら、教えてください


 ブックマーク、評価、ありがとうございます

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