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Lvが1.2Gでした  作者: ねろっと
聖女を護れ
53/92

イベントの襲撃者(5)

真夏の暑い中、真冬の景色を描写している自分に違和感を感じています。

暑いので、文章で少しは涼んでいただければ幸いです

-12/24 宿屋-

 今日は、クリスが聖女協会のイベントに参加するので、笑顔で見送る。聖女協会が主催で女性の自立を歌って護衛も女性戦士が行うので、男の私は憲兵訓練所でリバーサイドの治安を守ろう。

 外を見ると、昨晩から降り出した雪が足首ぐらいまで積もっている。歩くには支障が無いが、雪景色の雰囲気を出すには十分な量だ。そう言えば、北陸出身の同級生が、寝る前には雪が全然なかったのに、目が覚めたら20cm以上も積もるときが年に2-3回はあると言っていた。

 外に出ると、住民がスコップの様な物で除雪をしているが、リバーサイドには、側溝が無いため、道の真ん中に雪を積み上げていっている。元の世界だと車道の雪を側溝に流すか、歩道に積み上げていたので、逆だね。自家用車優先の社会と徒歩が主体の世界の違いだろうか。





-憲兵訓練所-

 私が憲兵訓練所に到着した時に、すでに先客としてスタンが居た。ガブリエル卿と一騎打ちで訓練をしている。打ちのめされても、聖女に治療をしてもらって、また立ち向かっていく。もしかして、毎朝、私たちが来るまで訓練をしていたのだろうか。


「フィルも来たか。

 スタン、私以外の者と手合わせをするのも勉強になる」


 ガブリエル卿が私に気づいて、スタンと一騎打ちの訓練を薦める。

 スタンと手合わせをしたが、練兵訓練所の時に比べて格段に腕が上がっている。もう、甘ちゃんではなくて一人の漢に成長している。私も負けないようにしないといけないな。


「フィル様。稽古ありがとうございました。

 私は、これから事務所の方で書類仕事を行います。

 兄上。また、明日早朝にお願いいたします」


 仕事を夜遅くまで頑張って、朝練をしているのか。凄いハードな生活を送っているな。これがペナルティーなのだろうか。




-夕暮れの憲兵訓練所-

 通常は、ガブリエル卿やフレッドと訓練をしているのだが、今日は近所の雪かきらしい。普通は高齢者や空き家に雪が残り周辺の住民が行うのだが、年末に不在者が多いエリアは、手伝いをする人が少なく雪が残っているので、私たちが雪かきをする羽目になる。ガブリエル卿も率先して行っているので、サボると言う選択肢はなさそうだ。

 夕方になり、今日は雪かきだけで終わると思ったころ、1人の憲兵が馬に乗って駆け寄ってきた。


「ガ、ガブリエル卿。

 聖女イベントでクリス殿下が、テロリストに襲われました」


 テロリストにクリスが襲われた!?

 ガブリエル卿と一緒に訓練場の馬でイベント会場に向かう。ガブリエル卿は愛馬で向かうが、私は駄馬のオリゾンなので、徐々に引き離されていく。しかも、雪道で走るのが大変だったが、オリゾンが落馬しない様にバランスをとり走ってくれた。

 他の馬だったら、間違いなく落馬していただろう。




-某所-

 漆黒のローブを着たテネーブルが右手にワイングラスを持ち、薄ら笑いを浮かべながら大きな鏡を眺めている。鏡には、青ざめた顔色で焦点の定まらない女性がクリスに向かって刃物を振り回している様子が映っている。次に、倒れているクリスと心配そうに見つめている女性たちが鏡に映っている。


「守護者が居なければ、あの毒を治すことは出来まい。

 キャトルよ。そなたの仇はとったぞ。

 安心して闇の神の元に召されるがよい」


 高笑いをしながらワインを飲み干す。




-カサンドラ広場-

 聖女協会が12月24日に行っているイベントは、前皇帝聖女カサンドラが20年以上前に、聖女養成所の同期と一緒に、年を越せない生活困窮者を救済する救済活動が原点になっている。我々の世界のホームレスなど生活困窮者の炊き出し活動と同義の活動と言えばよいだろうか。

 参加する聖女が増えてきて、規模が大きくなり、10年前に、女帝に就任したカサンドラがこのイベントでピカルディー王国のテロリストによって殺されている。

 その後、聖女協会がカサンドラの遺志を引き継ぎ、毎年イベントを開催している。この広場が、カサンドラ広場と言われるようになったのは、彼女の死後2年たってからである。



「フィル。

 こっちだ。急げ」


 人の集まっている場所の方からガブリエル卿の呼ぶ声が聞こえる。

 そこに駆け付けると、クリスが右胸のあたりを着られ顔に薬品による火傷を負った状態で倒れている。


「フィルさん。

 はやく、治療を。

 ここには、聖女4までの人しかいないから、毒を治療できるのはあなただけなの」


 クリスの右手が、わずかだけれど動く。左手でクリスの手を握り、右手を右胸の傷に添え、クリスから流れてくる弱々しい魔力を右胸の傷に流す。テロリストが傷つけた毒が消えていくが、クリスから流れてくる魔力がどんどん弱くなっていく。

 左手で握っていたクリスの右手が力なく、重力に従って垂れ下がる。




-別意識-

 もう一度意識を失ったのか、漆黒の空間にアインシュタインがいる。

 今回は、白黒反転したネガポジ反転の状態だ。

 この状態で、なぜ奴が出てくるのかわからない。

 

「大切な彼女は死んだ。

 相手を許せないのだろう。

 お前の力を示す時が来たのだ」


 背筋が凍るような声がする。

 確かに、クリスが居ないのに、私がこの世界にいる意味があるのだろうか。

 いや、クリスの居ないこの世界の存在が必要だろうか。


「さぁ、今こそ、量子核魔法を解放するのだ。

 世界を破滅させる力を解放させるのだ」


 ネガポジ反転のアインシュタインが世界を破壊するように唆す。

 まぁ、数kgの質量をエネルギーに変えたらできるだろうけれど、それで得られるものは何だろうか。


「フィル。

 闇に呑まれてはダメ」


 脳裏にクリスの声が聞こえる。

 まだ、クリスが亡くなったと確定したわけではない。

 闇に呑まれてはいけない。

 元の姿のアインシュタインが現れる。


「お主には、大切な者がいる。

 短慮はせぬことだ。

 光あるところには闇があり、闇に覆われた世界にも光はある。

 光と闇は表裏一体。この世界の真理として心に留め置いてほしい」


 白黒反転したり、言うことがころころ変わったり、良くわからない。

 それに、アインシュタインが光は理解できるけれど、闇って何だろうか。

 この別意識は、いつも良くわからない。




-カサンドラ広場-

 元の世界に戻ると、抱えているクリスは、わずかだが息をしている。日が暮れ、気温が下がりだし、雪が再び舞いだしてきた


「フィル。

 毒は、除去できているのじゃ。

 安静にできる場所に運ぶのじゃ」


 カティーさんが、症状について説明してくれる。

 病人の症状は聖女にしかわからないので、指示に従いたいが、安静にできる場所はどこだろうか。


「フィル。

 あそこの、三角屋根の家に行け。

 主人は、こういうことに心得ている」


 ガブリエル卿の指示で、クリスをお姫様抱っこした状態で三角屋根の家まで向かう。

 50代後半の白髪の男性が家の主と思われるが、私が近づいてくることを認めたらしく、外まで出てきて家の中に案内してくれる。


「寒くなってきましたので、暖の取れる部屋に案内いたします。

 大したことはできませんが、使ってください」

お読みいただきありがとうございました

誤字脱字等がありましたら教えてください


ブックマーク評価ありがとうございます

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