イベントの襲撃者(2)
キーボードを買い替えました。
これで、少しは筆が進むと良いなぁ。
-12/16 憲兵隊事務所-
昨日、グエンとパティーさんが里帰りした。1/16まで、パーティーの活動は一時休止となる。グエンの故郷は知っているが、パティーさんの故郷は何処なのだろうか。パティーさんみたいな人だけの集団か、それともパティーさんだけが異常なのか、興味があるが、首は突っ込みたくないかな。
クリスとココは、聖女のイベントに行き、私は憲兵隊の事務所に行く。
「フィル。
相棒が居ないと不安か?」
憲兵隊事務所の入り口でフレッドに声をかけられた。
クリスと別行動をするのは3カ月ぶりだけれど、私は一人だと頼りないのだろうか。
「フレッド。
私は、クリスのおまけか?」
「ん?
金魚の糞だろ。違ったのか?」
「相変わらず口が悪いな。
ところで、カティーさんとクリスが一緒にうまくやれるのか」
「無理だろ(笑)」
フレッドとたわいもない話をしていたところ、憲兵に中に入るように怒られた。憲兵隊事務所の入り口でしゃべっていたので当然ですな。
憲兵事務所の中に入ると、忙しそうにしているオリヴィエ卿が目についた。フレッドと私に気が付いたスタンが、オリヴィエ卿に私たちが入室したことを伝えた様だ。
「フィル、フレッド。よく来たな。
君たちが、警邏を行うだけの法律を理解していないのは把握している。
この時期は、強盗などが発生しやすいし、酔漢が暴れる事件が良く起きる。
君たちは憲兵訓練所で待機し、応援として向かうのが業務だ。
暇な時は、皇族聖女の守護者を、ガブリエル卿が鍛えるそうだから楽しみにしてくれたまえ。
スタン。彼らを憲兵訓練所に案内してあげてほしい」
業務内容はわかりましたが、最後は何でしょうか。反論どころか、疑問に思うことも許されず、ガブリエル卿の待つ憲兵訓練所に向かうことになった。
-憲兵訓練所-
「よく来たな。フィルとフレッド。
さて、訓練を開始しよう」
憲兵訓練所に着くと同時にガブリエル卿が笑顔で迎えてくれた。スタンはガブリエル卿に敬礼をして帰っていく。ガブリエル卿もスタンに敬礼をしているので、スタンが帰るのは問題ないらしい。その前に、一か月の再教育中だったけれど、何の再教育なのだろうか。
一日中、ガブリエル卿の相手をさせられた。打ちのめされるたびに聖女が治療をしてくれるので、直ぐに復帰して、また打ちのめされる。この憲兵訓練場には、4人しか居ない。もしかして、ガブリエル卿の稽古相手として、雇われたのだろうか。
夕方、憲兵所に一人の兵士が駆け込んできた。ある酒場で喧嘩が発生したらしく、増援の依頼だ。現地に駆け付けると、酔漢どもが喧嘩をしていて、スタンが仲裁している。
仲裁中は待機のため、スタンを見ていたところ、お互いの酔漢の話を聞きながら上手に仲裁している。そう言えば、孤立していたグエンの話し相手も務めていたし聞き上手なのだろう。
スタンが言い争っている酔漢を、うまく宥めたようだ。
「スタンにこの様な才能があったのか。
我々の出番は無い方が良いな」
-私の横で、ガブリエル卿の頬が緩んでいる。
そんなガブリエルの期待を、別のテーブルの酔漢たちが裏切り、ダガーやビール瓶などを持って暴れ出した。私が2人組、フレッドが3人組を抑えた時、玄関に待機していたガブリエルの周りには騒動に乗じて、支払いを逃れようとした7、8人が倒れていた。ガブリエル卿が相手では運が悪かったとしか言いようがない。
―12/19 とある小売店舗
今日は、ある小売店で強盗が発生したので応援に向かった。
すでに憲兵隊が駆けつけてスタンが2人組の強盗犯を説得している。強盗犯の説得に1時間以上かかったが、無事に解決した。
「今日も空振りだな。
毎回、坊ちゃんはやるねぇ」
フレッドが愚痴るように、これまで出番が無い。ガブリエル卿が言うには、年末は年越しのお金が無くて突発的に強盗や盗みを行う者が多く、犯行を思いとどまるように説得すると成功することが多いそうだ。忙しくてバタバタする時期だが、根気よく親身になって説得するのが無事に解決する秘訣らしい。
そう説明するガブリエル卿の表情が明るい。
2日目以降は、我流の修正や、体捌などの基礎と、ガブリエル卿による熟練者の攻撃の防ぎ方がメインになる。フレッドは、高い敏捷性を生かした独自の剣術のため、模擬戦のみとなっているみたいだ。
-同日 某所 テネーブル視点-
漆黒のローブを着たテネーブルが右手にワイングラスを持ち、薄ら笑いを浮かべながら大きな鏡を眺めている。鏡には、フィルが映っている。
「トワよ。
24日の襲撃は、あの女が行うので、お前は東部の作戦に専念するがよい。
あと、力技が必要な時にこれを使うと良い」
トワは、テネーブルから黒く丸い石を4つ貰う。
「テネーブル様。
私のために、力を貸していただき、ありがとうございます。
ところで、お荷物になっている聖女たちを介抱してよろしいでしょうか。
お守の連中も東部の作戦に参加できますし、イベントの警備も緩むと思います」
「それは名案だ。
良いショーを偉大なるディユ(神)に捧げることにしよう」
テネーブルの高笑いが響く
-12/21 ある酒場-
お昼に小売店の強盗事件に出動したが、憲兵隊員が説得をして待機だけだった。ガブリエル卿に槍術を教えていただいて、お金が貰えるのは非常においしい。
夜になって、肉体労働者が集まる酒場に出動した。今回も待機だけと思ったが、到着したとき、既に憲兵隊員と酔っぱらった労働者たちが乱闘を始めていた。
「相手の数が多いので、まずは数を減らすことを意識しろ。
逃亡者に手を出す必要はない」
ガブリエル卿の指示のもと、酔漢どもを叩きのめす。相手が素人のため、鎮圧するまで、数分もかからなかった。暴れるものが居なくなったので、退散する。
市民の安全を守るとか使命感が無いと、やりがいを感じにくいかな。
そこが、冒険者と憲兵や兵士との違いなのだろうか。
「俺様は、こういう事よりも冒険者の方が性に合っているな」
フレッドも同じことを考えているみたいだ。
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