聖女救出(2)
「このパーティーは、スタニスラス殿下が率いておられる。
我々の実力を理解しているのは、見事だ。
さぁ、案内したまえ」
グエン君。君はいつからパーティーのリーダーになったのか。
私たちに何の相談もなく勝手に決めて、フロヒオンが聖女を攫った場所と主張している共同墓地の地下施設に向かうらしい。うん、共同墓地の地下施設だ。
「あそこは、あたいたちが、3カ月ほど前に捜索した場所だよね。
マミーがいて、フィルがクリスのためにハッスルした場所。
攫った聖女を隠す場所には向いていないわよね。たぶん、罠だから警戒してね」
パティーさんは、クリスと何か話をして薬の小瓶を受け取り、その小瓶に他の小瓶の中身を足していた。
私も罠だと判断して、ココに話をして一緒に彼らを警戒しておく。
-共同墓地-
お昼ごろ、共同墓地についたが、薄暗くなり、細かい雨が降り始めてきた。地下施設の前に3人組の冒険者がいる以外は閑散としている。新年の前後に里帰りで家族全員集まって墓参するから、この時期に墓参する人はいないらしい。
パティーさんが3人組のうち、ローブを着ている男をちらっと指さした。ローブの男?あ、聖女協会に駆け込んだ男だ。
パティーさん、クリス、ココと目で確認する。やはり罠なのね。
軽装の男を含めて、4人でトゥルヌソルと呼ばれるランク2の冒険者らしい。フロヒオンが盗賊でローブの男が精霊術師、ロングソードとシールドの戦士、槍を持つ戦士だ。
精霊術師はクリスがマークし、私とココは戦士をマークする。
-地下施設-
パティーさんとグエンを先頭に、私たちが中列で、3人組とクリスが後列になって、中に進んでいく。パティーさん、クリス、私は、ここのMAPを知っている。私達をマミーの居た部屋に案内したいようだ。
あと少しでマミーの居た部屋に着く場所で、パティーさんが持っていたたいまつを部屋に投げた。
「ちっ、バレたか」「もう少しで不意打ちができたのに」「だから、こんな作戦嫌だったんだ」
部屋には、女性ばかり6人の冒険者がいた。あと知ったけれど、レーヌと言うランク3のパーティーだった。
パティーさんが、ポーチから小瓶を取り出して、先ほど投げた松明の火のあたりに投げた。
「グエン、部屋のドアにウォールの呪文をかけなさい!!」
グエンが無詠唱で壁を作りだし、部屋を封鎖した。壁ができる前に、投げた小瓶が割れて中身が松明の炎で燻されて煙が出ているのが見えた。
私が振り返った時、既にクリスはローブの男の腹を刺していた。
残りの戦士2人組は、警戒して後ろに下がっていたため、クリスと戦士2人組の間に割り込むことができた。
ココと2人でトゥルヌソルの2人組と戦っている間、ウォールを叩く音とレーヌのメンバーから凄い叫び声が一緒に聞こえてきた。
「クソ、この煙、何か薬が混ざっているぞ」「汗が止まらない」「体が火照ってきた」「なんか変な音が聞こえる」「集中ができない」
パティーさんが先ほど投げた薬の効果だと思う。体が火照るって、パティーさんの事だから、媚薬茸だと思う。それと何を混ぜていたのだろうか。
可哀想に。
ランク2の戦士との戦いだが、この地下施設は、道幅が広いので、それぞれ別個に戦っている形になり、ココの相手はロングソードとシールドだったので、槍のリーチの前に、徐々にダメージを蓄積しているみたいだ。私の方は、お互い槍なので、決め手がなく持久戦になる。
「フィル。
グエンの壁が限界に近い。
私が替わるので、そっちを頼む」
スタンに言われたので替わる。
クリスに治療してもらった後、壁の前に立つ。
「男だぁ」「早く、早くよこせぇ」「もう我慢できねぇ」「早くエクスタシーに昇ろうぜぇ」
壁をたたく音とともに、レーヌのメンバーの叫び声が聞こえる。叫び声だけで壁が壊れそうだ。
「アムールとパシオンだ」「奴らに犯される」「吾輩はこの壁を維持でも死守する」
グエン君が全身にびっしょり汗をかきながら必死に耐えている。アムールとパシオンと言うのは、レーヌのメンバーなのだろう。
派手な攻撃魔法しか使わないグエンが、地味な魔法の維持に必死な姿は初めて見た。そう考えると、レーヌの連中は非常にヤバいのだろう。
「壁が解除されたら、あたいはこいつを投げるから、突っ込まないでね。
あ、どうせならこいつらも投げ込むわよ」
私たちの呼び込みをしたフロヒオンとクリスが腹を刺して半麻痺のローブの男がいる。
もう、グエンの壁は持たない。
彼らを犠牲にするしかないのか。
「俺たちは、抵抗しない。
頼む。
仲間をレーヌのおもちゃにしないでくれ」
彼らの仲間の戦士たちが命乞いをした。
メンバーの意思を確認。
よし、全員で逃げるぞ。
私がグエンを、トゥルヌソルの戦士たちが、残りのメンバーを担いで、地下施設から逃げる。数秒後、グエンの張ったウォールが壊れる音がした。効果範囲外、物理的破損、グエンの気力が尽きたのいずれが理由か不明だが、今はそんなことを気にしている余裕はない。
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