熊とゴブリンの巣穴を間違えたらしい
-10月28日 リバーサイド練兵場近辺 パティーさんの借りた小屋-
再訓練が終わる2日前。今日は休暇日だが、絶賛休みなしの修行中です。
お昼ごろに、パティーさんとフレッドが、やってきた。
「灰色熊の退治クエストを受けたのだが、さっき確認したところ、ミュータント(突然変異種)らしい。
ちょっと手を貸してくれ」
本来ランク2の依頼のはずが、ランク3の個体だったみたいだ。
場所が近くだったこともあり、アニアさんに許可をとって退治に向かった。
-ミュータント灰色熊の巣 近辺-
「おい、ゴブリンの巣にクマがいるぞ」「ゴブリンが、熊を傭兵に雇ったのだろう」「これは孔明の罠だ。熊に見えるだけのゴブリンだ」「すでにゴブリンは熊に喰われたに違いない」「某の魔法の前にクマとて問題はない」
冒険者たちの叫び声が聞こえる。
どっかで聞き覚えがある声もある気がするが、たぶん気のせいだろう。
「パティー。確かゴブリン討伐って、町に東の方だったよな?
あいつら、なんで、こっちに来ているんだ?」
「あたいに聞かれても知らない。
たぶん、ゴブリンと熊の巣穴を間違えるぐらいだから、地図が読めないはず。
その辺は彼らが生き残っていたら、確認しましょうよ」
彼らを救援するために、熊の元に駆け付ける。
体長3メートルぐらいで、熊パンチで冒険者の盾が腕ごと吹き飛んでいた。
フレッド、ココと一緒にクマと対峙する。クリスとカティーとジュジュは負傷者の治療にあたる。パティーさんは、弓で攻撃しているが、熊の面の皮ではなくて、毛皮に阻まれて、有効打を与えられていない。
「某の強大な魔術をご覧あれ。
土の精霊よ。今こそ、その力を顕現せよ。
ストーンブラスト!!」
いや、その魔法は、石礫を飛ばすから、熊の周辺の人も巻き込まれるのですけれどね。痛くないから我慢するけれど、当然熊も効いていない。全弾避けたフレッドは無事だが、ココは負傷をしたので、一時戦列から離れる。
「ココさんの治療は私が行きます」
軽傷のためジュジュさんが担当する様だ。
「な、なに!?
某のストーンブラストが効かぬか。
こうなれば、地の精霊よ。
某の呼びかけに応じて、その力を顕現し給え」
真後ろの某精霊使い君が、なんか凄い長い詠唱を唱えているが、嫌な予感しかしない。フレッドは補助魔法を使えよと文句を言っている。
なんか後ろから、魔力を感じる。
「フィル。
うしろ、うしろ」
その声が聞こえた時、後ろから何かが当たった気がする。
そちらに気をとられて、熊のフルスイングを喰らった。その衝撃で吹き飛ばされて木に直撃した。あれ?なんか、前にも同じことが。
-別意識-
そのまま気を失ってしまったのだろうか。
漆黒の空間に、目の前にいるのは、アッカンベーをしたアインシュタインだ。
またこいつが、ファンタジー世界に現れたよ。
『E=mc^2
質量をエネルギーに変える量子核魔法
この前より少しはましになったが、まだまだじゃな。
おなごに抱きかかえられておるとは、羨ましいのう』
-ミュータント灰色熊の巣 近辺-
目の前の景色が暗転して、ミュータント熊と対峙している戦場に戻った。
「フィル。
大丈夫ですか。
鎧は壊れてしまいましたが、怪我はしてないようで、良かったです」
クリスが心配そうにこちらを見ている。抱きかかえられていて、胸が背中に当たっているのですごく気持ちいい。このまま、ずっと・・・・
「おーい。
二人で暑いのは良いけど、まだ戦闘中だよ」
あ、やばい。
また二人だけの世界に行ってしまった。
慌てて戦線に復帰する。
ミュータント熊との戦闘は、決定打が出ないため長引いた。
戦線から離脱していたココが、熊に向かってチャージを仕掛ける。その槍が熊の口の中に直撃して、仕留めた。
RPGゲームで言うところのクリティカルヒットかな。
口の中で槍の魔力を感じたから、もしかしたら気槍術かも。
「チャージができるチャンスだったので、ちょっと色気を出して魔力を乗せてみました。
うまく魔力が乗って良かったです」
凄い。
未だに、発生させた魔力を槍に載せることができない私に比べて上達しているなぁ。
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